\ 2023年3月26日まで /
※カブトムシとクワガタムシの異種交配と雑種について!
男性なら、小さいころに必ず好きになるといってもいいカブトムシとクワガタムシ。
私なんて、小学生の夏休みの大半はこのカブトムシとクワガタムシを捕まえるためにその大半の時間を費やしていました。木の陰に隠れているクワガタムシを見つけた時にはワクワクしました。
ただ、この日本では、カブトムシといえば基本的には角の先が4本に分かれたヤマトカブトムシしか見かけませんよね?
細かい分類で見ていくともう少しいるのですが、
「THE・カブトムシ!」という感じがする個体は上の写真のようなカブトムシだけです。(笑)
しかし、世界を見渡してみると、カブトムシといわれている虫には様々な種類のものがいます。
そして、その中で特に最強と謳われているのが、
南米原産の「ヘラクレスオオカブト」
ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスの名前から名づけられたこのカブトムシは、角の先までのサイズを含めると、日本のカブトムシの2倍以上である180mmにまで成長する個体もおり、日本のカブトムシではなかなか太刀打ちできません。
しかし、こういったカブトムシ、およびクワガタムシ好きの方の中には、
色々なカブトムシやクワガタムシを異種交配させて、雑種を作ってしまえば、
いずれヘラクレス以上の最強カブトムシが誕生するんじゃないの?
と思った方もいるのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、そんな異種交配、そして雑種を生み出すことは可能なのか、詳しく解説していきたいと思います。
カブトムシとクワガタムシを異種交配させ、雑種を作ることは可能なのか?
カブトムシとクワガタムシ、もしもこの2つが異種交配し、その雑種を残せるとしたら、最強の新種が生まれることは間違ありませんね。
カブトムシが縦に持つ長い角に加え、クワガタムシの両サイドの牙を持つ新種が誕生することになりますが、
結論としては、
このカブトムシとクワガタムシの雑種は作り出されたことはありませんし、
そのようなものが誕生することはありません。
もしもこれが可能であるのであれば、日本でもカブトムシとノコギリクワガタの雑種がいるはずですが、そのような雑種は見たことがありませんよね。
「カブトムシ×カブトムシ」「クワガタムシ×クワガタムシ」はどうか?
では次に、
- カブトムシ×カブトムシ
- クワガタムシ×クワガタムシ
についてみていきたいと思いますが、
こちらは、なんと異種交配の結果、雑種を残すことができる!ということがわかっています。
ということは、ヘラクレスと並んで最強との呼び声高い、
「コーカサスオオカブト」と「ヘラクレスオオカブト」の雑種を作れる!?
とワクワクしてしまうところですが、
実は、そのコーカサスとヘラクレスでは、残念ながら異種交配をして子孫を残すことはできません。
ではこれは一体どういうことかというと、
カブトムシも、クワガタムシも、その分類上
「属」というものが同じである遺伝情報的にかなり近い存在同士の交配でないと、結論として雑種を残すことはできないのです。
例えば、生物の分類は今現在、
界⇒門⇒鋼⇒目⇒科⇒属⇒種
というように分類わけされることとなっているのですが、
カブトムシとクワガタムシは、同じ「甲虫目」に分類される生き物ではありますが、
カブトムシは
「コガネムシ科」に分類される生き物であり
クワガタムシは
「クワガタムシ科」に分類される生き物であるため、
結果的に、遺伝情報的にはこの時点でかなり遠い存在であると言えるのです。
このほか上科、族といったくくりなどもありますが、科が違う時点で異種交配は難しいです。
そして、
ヘラクレスオオカブトは
「ヘラクレスオオカブト属」に分類されるカブトムシであり
コーカサスオオカブトは
「アトラスオオカブト属」に分類されるカブトムシであるため、
この属が異なる場合にも、異種交配の結果子孫を残すことは難しいといわれています。
ただ、何をもってしてその属が別れているのかという部分が重要なわけですが、
そもそも、そのDNAが持つ遺伝情報の部分が違うため、相性が良くないのです。
私たち人間は、母親と父親から23本ずつ染色体をもらい、それらを2個ずつセットにして保存しているのですが、
カブトムシも同様に、その染色体を半々ずつ両方の親からもらいます。
しかし、その中の遺伝情報を記録した塩基配列が互いにバラバラだと、そこがうまく機能してセットにはならず、生命になるには至らないのです。
異種交配の結果雑種を作れるカブトムシ、クワガタムシとは?
では、結果として異種交配を行い雑種を作れるものにはどのようなものがいるのかというと、
例えば先に説明した「ヘラクレスオオカブト」は
- ネプチューンオオカブト
- サタンオオカブト
といった、
「ヘラクレスオオカブト属」に分類されるカブトムシとであれば、雑種を生み出せるということがこれまでに分かっています。
このネプチューンオオカブトと、サタンオオカブトは、どちらもヘラクレスと同じ上下に2本の角を持つ見た目も非常に似ている種類なので、その時点で遺伝子レベルで見た時にかなり近いということがわかります。
ちなみに、以下の画像で説明すると、手前がヘラクレスオオカブトで、奥がネプチューンオオカブトです。
ヘラクレスとネプチューンを並べて撮ると絵になるんだなぁこれが pic.twitter.com/874U5d0U1Z
— ぶちょ (@yt2hy8MkO500GNc) 2017年11月22日
また、クワガタムシの方では、
実はクワガタの王様である「オオクワガタ」は
なんと「コクワガタ」と雑種を作り出せるということがわかっています。
コクワガタは非常に小さく愛らしいクワガタムシですが、
このコクワガタは、実は「オオクワガタ属」に分類されるクワガタムシなのです。
というわけで、カブトムシ、およびクワガタムシは、
その「属」が同じ種類のものでないと雑種を生み出すことはできないんですね。
ちなみに、属が違うということはつまり、人とチンパンジーくらいの違いがあります。
そう聞くと、その違いは決して小さくないということがよくわかるでしょう。
そのため、カブトムシの中で強いものをどんどんかけ合わせることはできないのですが、
そもそも同属同士のかけ合わせ自体、現在あまりよく思われていないそうなので、
無理に交配させることはやめてあげたほうが良いかもしれません。(異種交配は寿命が短くなりやすいと言われています。)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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