キャリア、ノンキャリアという言葉は特に国家公務員を目指していない人でさえ一度聞いたことがある言葉だと思いますが、この2つの違いは、主にどの試験を受けて公務員になるかというところにあります。
具体的には、
「国家公務員採用総合職試験」という試験を突破して国家公務員になる人を「キャリア」と呼ぶのに対し、
「国家公務員採用一般職試験」という試験を突破して国家公務員になる人を「ノンキャリア」と呼ぶのが一般的です。
キャリア、ノンキャリアという言葉を聞くとキャリア組の方が明らかに優れている印象を受けますが、それは実際その通りで、キャリアになるために突破しなければならない「国家公務員採用総合職試験」は、日本三大試験の1つともいわれるほど非常に難易度が高い試験であると知られています。
とはいえ、もちろん「国家公務員採用一般職試験」の方も、合格するためにしっかりと勉強をしなければ無理です。なので、いずれにせよ公務員になるということは簡単なことではありませんが、キャリアとノンキャリアとでは、やはりその間には格差というものが存在しています。
そこで今回の記事では、そのキャリアとノンキャリアとではいったい何がどう違うのか、詳しく解説します。
キャリアとノンキャリアの違い、その格差とは?
キャリア組とノンキャリア組という言い方はかなり昔からされていますが、この2つの違いについてまずは具体的に説明します。
まず、このキャリアとノンキャリアの主な違いの定義は、先ほども言いましたように、どの試験を受けて公務員になるかということです。
「国家公務員採用総合職試験」がキャリア組になるための試験で
「国家公務員採用一般職試験」はいわゆるノンキャリア組として採用されるためのものです。
では、具体的にこのキャリアとノンキャリアの違いは何なのかというと、より難しい試験である「国家公務員採用総合職試験」を突破して国家公務員になった人間は、将来の幹部候補として迎え入れられるのです。
一方、ノンキャリアといわれる人々はそのキャリア組より出世することはありません。キャリア組の下で、そのキャリア組を支えながら一緒に働きます。これが、非常にわかりやすい格差といえるところでしょう。
実際、キャリア組は超難関試験を突破して公務員になりますので、これは仕方のないことです。
では、具体的にもしキャリア組とノンキャリア組が同じ職場で働いたとしたら、その階級にはどのくらいの格差が生まれるのでしょうか。
財務省に入るのはかなり難しい…!
最近、財務省では文書書き換え問題やセクハラ問題などの問題が相次いでいますが、この財務省は実際はかなり人気の省庁で、まさにエリート中のエリートが集まる省であると知られています。
ちなみに、今年もその財務省には将来の幹部候補であるキャリア組として22名の若者が新たに入省しましたが、彼らが一体どれだけすごいのかというと、
まず、今年入省したキャリア組が受けた昨年の国家公務員採用総合職試験は、2万591人が申し込みをし、最終的に二次試験まで合格したのはその内わずか1878人だけです。この1878人は、すでにキャリア組と呼ばれる人たちです。
その後、この合格者らは自分の希望する省庁に官庁訪問をして、最終面接を見事突破すれば晴れて幹部候補として各省庁に迎え入れられるわけですが、
先ほどの1878人のうち、財務省に入るためには最低でも上位100人に入らなければならないといわれています。つまり、せめて2桁台ではないと入省は難しいということですね。
そもそも、最初に申し込みをしている2万591人は、もともとかなり頭の良さに自信がある人物達であることは間違いありません。
それなのに、そこから1878人しか合格できず、さらには100番以内に入らないとその時点で財務省入省への道は閉ざされてしまうわけですから、これがいかに難しいことかということは想像がつきやすいですよね。
財務省におけるキャリア、ノンキャリアの出世格差
財務省にキャリア組として入ることは非常に難しいわけですが、もちろん国家公務員採用一般職試験を突破して、ノンキャリア組として財務省本省に入省してくる人もいます。
しかし、実際はそれでさえかなり狭き門で、ノンキャリア組でも毎年10名以下の人数しか採用されていません。
ちなみに、財務省に配属されるキャリア組、ノンキャリア組は、初めから目に見えた格差があるわけではありません。
もちろん、お互いに初めから誰がどっちの試験で入ってきたかというのはわかっていますが、キャリア組も、最初から幹部として入省するわけではないのです。
具体的には、入省3年目あたりから、徐々にその間に出世格差が生まれていくといわれています。
そして、実際財務省の役職は下からどのような順になっているのかというと、
まず、キャリア組として入省した人たちは、入省から約5年で本省係長クラスへと出世します。
そして、その後は以下のような順に数年ごとに出世を繰り返していくのが一般的です。
- 本省係長(入省4~5年で昇進)
- 本省課長補佐
- 本省課長
- 本省筆頭課長
- 地方財務局長
- 審議官
- 本省局長
- 事務次官:財務官:国税庁長官(ここに来るまで入省から約30年)
そして、これはキャリア組の話ですが、ノンキャリア組は、上に示した中で本省課長クラスまでしか出世しないのが一般的です。
つまり、その上の役職、最終的に事務次官クラスになる人間はみんなキャリア組ということです。
さて、最近ではこの財務省の事務次官を務めていた福田淳一氏がセクハラ疑惑を受けて辞任を表明しましたが、実はこの人、先に説明した「国家公務員採用総合職試験」にあたる試験で、全体の5番で入省したという超エリートです。
また、セクハラ疑惑でかなり評判を落としてしまった彼ですが、実際はかなり仕事が出来、人柄も良い方だったそうで、財務省内部でもかなり評判がよく、その出世街道も王道中の王道を歩いてきた人物といわれています。
では、そんな彼は一体どのように出世してきたのかというと、
まず彼は、1982年にのちに財務省となる大蔵省へと入省しています。この大蔵省は2001年から財務省へと変わりました。
そして、その後の彼の経歴を見てみると
- 2004年:財務省主計局主計官(厚生労働係担当)
- 2006年:財務省主計局法規課長
- 2008年:財務省大臣官房総合政策課長
- 2009年:財務省大臣官房参事官
- 2011年:財務省主計局次長
- 2014年:財務省大臣官房長
- 2015年:財務省主計局長
- 2017年:財務事務次官
となっています。
福田事務次官は数年に1人の逸材とまで言われていましたが、そんな彼でさえ事務次官に上り詰めるまでには約35年もの歳月がかかっています。
まとめ
今回の記事では、キャリアとノンキャリアの違い、その間の格差などについて解説しました。
佐川元国税庁長官も、福田事務次官も、スキャンダルで辞任に追い込まれてしまいましたが、この人たちは実際はかなりの超エリート。
また、福田事務次官はかなり優秀な方だったといわれていますので、それがあのような形で辞任になるということは残念ですね。
また、実際はノンキャリアでも試験に合格するのはかなり難しいことなので、目指している方は気を引き締めて勉強をしなければなりません。
ちなみに昨年は、「国家公務員採用一般職試験(大卒程度)」の全申込者数は3万5142人で、最終的に合格したのは7205人です。どちらも非常に難しい試験のようですね(・_・;)