シミュラクラ現象と
パレイドリア現象は、
どちらも、脳の誤った判断によって起こる、
「眼の錯覚」に関わる現象のことを言います。
今回の記事では、そのシミュラクラ現象とパレイドリア現象との違いや、
それらの目の錯覚と、「心霊」との関係について解説します。
シミュラクラ現象とパレイドリア現象の違いとは?
「シミュラクラ現象」と
「パレイドリア現象」は
どちらも目の錯覚に関するものなので、その意味が似通っていることから、少々その違いがわかりづらい方もいると思います。
しかし、
そのシミュラクラ現象と、
パレイドリア現象には、
ある明確な違いがあります。
例えば、まずは以下の画像をご覧ください。
こちらは、ただ3つの点が逆三角形の配置で並んでいるだけですが、
まるでそれが人の顔のようにも見えますよね?
そして、これがシミュラクラ現象と呼ばれているものであり、
人は、ある3つの点が逆三角形型に配置していると、
それを顔のようなものと脳が認識するようプログラムされている
という特徴があります。
例えば、以下の画像なんかもまさにシミュラクラ現象によってそこに顔があるかのように感じます。
今朝ゴーヤを切ったら可愛かった。http://t.co/q0pDt8jrdL pic.twitter.com/hsgpKZbpOv
— 中野龍三 (@nakanoryuzo) 2013年8月6日
一方、パレイドリア現象とは、人が視覚や、聴覚で感じたものを、
自分の知っているパターンに当てはめて、誤って認識してしまう現象のことを言います。
もう少しかみ砕いて解説しますが、
ここで大事なことは、すなわちパレイドリア現象は、
目の錯覚だけに限ったものではない
ということです。
例えば、以下の樹の画像を見てみると、
そこには、まるで顔があるように見えますよね?
しかし、これは顔ではなく、ただの樹の模様にすぎません。
このように、ただの樹の模様であるとわかっていながらも、それを別のものとして頭で思い浮かべてしまうことを、パレイドリア現象というのです。
そして、例えばパレイドリア現象の場合、
聴覚による錯覚もこれに含まれます。
例えば、猫の鳴き声は時に人間が話しているように聞こえることもありますが、
これもまた聴覚の錯覚に関するパレイドリア現象です。
つまり、
シミュラクラ現象は非常にシンプルなもので、3つの点が顔に見えるという脳の錯覚を意味する現象であり、
パレイドリア現象はもっと広義の意味を持つもので、そこにないもの、本来とは異なるものを、脳の知っているパターンに当てはめて錯覚してしまう現象のことを言います。
脳の知っているパターンとは、
例えば、人間の顔を見たことがない人は、先ほどの樹の模様を見てもそれを人の顔のようだと認識することはしませんし、
人と話したことがない方は、猫が人間の言葉を発しているように鳴いても、それを人の言葉のようだとは思いません。
つまり、脳は無意識のうちに、今見えているものが何なのか、聞こえているものがなんなのかを過去のデータをもとに判断しており、それゆえに錯覚を起こしてしまうことがあるということです。
シミュラクラ現象、パレイドリア現象と心霊との関連とは?
皆さんも、今までに一度は
「心霊写真」
と呼ばれるものを見たことがあるのではないかと思いますが、
実はその心霊写真は、その多くがこのシミュラクラ現象や、パレイドリア現象で説明することができると考えられています。
特に、幽霊の存在に対して否定的な意見を持つ科学者に、その心霊写真を見せれば、
顔のように見えるものに対しては、
すべてシミュラクラ現象やパレイドリア現象のようなものだといわれてしまうでしょう。
例えば、先ほどの樹の模様が顔に見えるのもそうですし、
揺れている水面の写真が顔に見えたり、目に見えたりするものも、心霊現象ではなく、目の錯覚が関係しているということで説明できるようです。
とはいえ、中にはそんな現象というだけでは到底説明がつかないものも沢山あるんですけどね…。
認知症とパレイドリア現象との関連
パレイドリア現象という言葉は普段はあまり聞きなれない言葉ですが、
実は、認知症の疑いのある患者に対しては、そのパレイドリア現象を誘発するような画像を見せる、
「パレイドリアテスト」
が行われることがあります。
というのも、認知症にはいくつかの種類がありますが、
その内、
「レビー小体型認知症」
という、神経細胞中に「レビー小体」というたんぱく質の増加が確認されるタイプの認知症では、
その特徴として、錯視、幻視、人物誤認のような症状が表れ、
パレイドリアテストで見せられた画像を、本当に写真に写ったもの以外のものとして錯覚してしまうことがあるという特徴があるのです。
例えば、以下の画像は、何かの顔のように見える模様を持った花の画像ですが、
レビー小体型認知症の方は、これを本当に花以外の生き物かのように錯覚してしまうことがあるのです。
なので、その病気の対応や、進行状況を見極めるためにも、パレイドリア現象は非常に重要なのです。