ナメクジは日本ではしばしば害虫として扱われていますが、そんなナメクジによる被害に特に悩まされることになるのが、農家の方々です。
というのも、ナメクジは植物の葉や茎を食べてしまいますが、野菜も大好物なので、ひとたびその味を覚えてしまうと、人様が作ったということなど関係なく食べてしまいます。
そのため、農家の方々からすればまさにナメクジは害虫と呼ぶにふさわしい存在なわけですが、
実は、野菜を食べられてしまうというだけでは済まない危険な一面をナメクジは持っています。
それが、ナメクジの体内には、
「広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)」
という非常に危険な寄生虫がいる可能性があるということです。
出典:wikipedeia
もしこれがひとたび人体に入り込んでしまうと、最終的には脳にまで達し、脳を荒らして重い障害を残してしまう危険性などもあります。
そこで今回の記事では、生野菜を好む人には特に注意してほしい、広東住血線虫について解説します。
ナメクジに潜む寄生虫「広東住血線虫」とは?生野菜を食べる人は要注意!
広東住血線虫は、主にナメクジやカタツムリの体の中に住み着いている寄生虫ですが、もともと生まれた時からその体内にいるわけではありません。
実は、この生物は、ナメクジやカタツムリの体内に入る前には、ドブネズミやクマネズミなどのネズミ類の体の中に住み着いているのです。
そして、このネズミ類の体内で育った広東住血線虫は、その体内に卵を産みつけ、
その幼虫がその後糞とともに排出され、
それを食べてしまったナメクジ類が、その広東住血線虫に寄生されてしまいます。
そして、この広東住血線虫を体内に持っているナメクジ類をネズミが食べ…
という感じに、この寄生虫はネズミとナメクジ類の間を行き来しているのです。
そのため、ネズミやナメクジを生で食べるような文化のない日本では、この広東住血線虫が人間に寄生することなどあまりないことなのですが、
過去には、ナメクジがいたとされる生野菜を通して感染した例がいくつか報告されており、
そういった感染者の中には、命を落としてしまった方もいます。
では、この寄生虫が人間に感染すると、いったいどのようなことが起きるのでしょうか?
広東住血線虫が感染するとどうなる?
広東住血線虫は人間に寄生する機会がないだけで、寄生できないわけではありません。
そして、ひとたび人体に寄生すると、その体の中のあらゆる場所に移動するようになります。
具体的には、や腸の壁を突き破り、血管やリンパの中に入り込んで、体中を動き回るようになるのです。
そして、最終的には脊髄の中や脳の中にまで入り込み、その脳を荒らされてしまうと、重い障害が残ったり、最悪の場合死に至るようなこともあります。
この際、体中には強い痛みが生じ、吐き気やめまい、発熱のような症状も見られるといいます。ただ、脳にまで入り込んでしまうと、昏睡状態に陥ってしまう方もいるようです。
実際、過去にはオーストラリアでこの広東住血線虫に寄生されたナメクジをお酒のノリで食べてしまった19歳の青年がいたのですが、
その寄生虫が最終的に脳にまで入り込んでしまい、400日間以上眠り続けてから目を覚ましたものの、四肢麻痺が残り、体温調節もできなくなるという重い障害が残ってしまったというニュースがありました。
また、この寄生虫による感染者は小さい子も多いのですが、小さい子はカタツムリやナメクジを素手で触ってしまう子も多いので、そのままよく手洗いなどをしないまま何かを食べてしまったりすると感染してしまうことなどがあるようです。
そして、なんといっても生の野菜の上をこういったナメクジが歩き回ってしまうと、そのナメクジの排せつ物や粘液の中にこの寄生虫が含まれていて、それが野菜に付着してしまうことがあるようです。
また、野菜をよく洗わないと、気が付かないうちにそのナメクジの赤ちゃんを口にしてしまうことなどもあるかもしれません。
とにもかくにも、生の野菜を食べる際には、十分に洗うよう気を付けたほうがよさそうです。
沖縄ではアフリカマイマイが野生化
本州にはそれほど大きな種類になるカタツムリはいませんが、実は沖縄には、過去に食用として持ち込まれたアフリカマイマイが野生化し、道端などにいるのがよく見かけられるといいます。
このアフリカマイマイは非常に大きくなる種類のもので、成長すると手のひらより大きなものになるものもいます。
アフリカマイマイ pic.twitter.com/ZiVWhjK3Ae
— 巨大な画像集☆ (@kyodai_gazou) 2018年5月18日
どうですか…かなり大きいですよね。
このアフリカマイマイはエスカルゴ料理にも用いられる非常に美味しいカタツムリの一種だそうなのですが、普通食用に用いられるのは養殖のものだそうなので、沖縄ではこれを捕まえて食べることは今ではあまりないことのようです。
というより、食用として持ち込まれたにも関わらず、このアフリカマイマイは今では日本で有害動物指定も受けています。その理由が、先に説明した寄生虫を持っているものがいるからです。
そのため、沖縄などに遊びに出かけた際には、もしそれを見かけても絶対に触らないようにしましょう。
触ったからと言ってすぐに寄生虫に寄生されるわけではありませんが、もし怪我をしている部位がある場合には、そこから入り込んでしまう可能性は0%では無いといいます。
梅雨になると出てくるナメクジやカタツムリ、カタツムリはその可愛らしい姿からペットにする方も少なくありませんが、実は取り扱いには注意しなければならない危険な生物なんですね…!