
2004年に上場し、以降中古本を売買するビジネスモデルを基本として、
長く第一線で事業を展開してきた
「ブックオフ」
しかし、そんなブックオフはここ数年かなりの経営不振に悩んでおり、
特にここ2年は、利益が赤字となる深刻な経営危機に陥っています。
下手をすると、本当にここ数年の間に潰れそうなブックオフなのですが、
その理由はとはいったいなぜなのか?
ブックオフが今抱えている問題を詳しく解説します。
目次
ブックオフが潰れそうなほどの経営危機に、2016年度の利益がついに赤字に…

最近では、古本だけではなく、
衣類、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨、携帯電話などなど、
幅広い製品の売買に力を入れ始めたブックオフですが、
そういった努力も今のところはあまり結果には結びつかず、
1番の要であった古本の売買は年々減少し、ブックオフは現在かなり深刻な経営危機に陥ってしまっています。
具体的には、ブックオフの純利益はここ5年で次のような減少傾向を見せており、
なんと昨年2017年3月期の報告では、マイナス11億もの赤字になってしまったと報告したのです。
- 2013年3月期:10億5800万円
- 2014年3月期:9億5100万円
- 2015年3月期:1億5100万円
- 2016年3月期:-5億2800万円
- 2017年3月期:-11億5900万円
ブックオフはの営業利益は2007年以降段々と減少傾向にはあったのですが、これが赤字に転じてしまったのは、2016年が初のことでした。
この理由として、やはり1番は利用人口の減少があげられるのですが、
そもそもなぜブックオフはここ数年でその利用減少が大幅な低下を見せているのでしょうか?
深刻なブックオフ離れ…!理由は「ヤフオク」「フリマアプリ」の台頭

ブックオフといえば、立ち読みだけを目的に足を運んだこともある方も多いと思いますが、
当たり前ですが、ただ立ち読みをされるだけではブックオフには何の利益も入ってきません。
なので、結局はそのブックオフに本をまとめて売りに来てくれるお客、
そして、中古本を買い取ってくれる一部のお客によって商売が成り立っていたわけですが、
実は、そんなブックオフの利用客は、ここ数年の間にあることに気が付き始めてしまいました。
それは、
ブックオフで売るより、ネットで売った方が高い。
ということです。
近年、スマホが当たり前になってきたことは言うまでもありませんが、
ヤフオクや、メルカリなどのフリマアプリの台頭によって、自分自身で本やその他のものを出品することが気軽にできるようになりました。
ブックオフは、ただ持っていけば向こうで値段などをつけてくれますし、包装などもしなくて良いという意味では楽ですが、
実は意外と買い取り価格無しで引き取られることもあり、そういう意味では苦言を呈する方が沢山いたことも事実です。
そして、そういう現状に「二度とブックオフでは売らない」という方もいたようですが、
ネットオークションでは自分で価格を設定できますので、特に若い層の方はかなりブックオフ離れが深刻化しているようです。
また、以前副業の一種ともいえる「せどり」という手法が流行したことがあるのですが、皆さんはそれをご存知でしょうか?
これは、特殊な機械(バーコードリーダー)などを使い、例えばブックオフに並んでいる本のネット上での価格を瞬時に調べ、
ブックオフで販売されている値段よりも、ネットの方が高く売れるようなものがあれば、それらをまとめて購入し、ネット上で売るという転売手法です。
そして、せどりをやる方にとって、ブックオフはまさに良い仕入れ場所だったのですが。
ブックオフは、その排除のための対策を行ってしまったため、結局は本の購入者を追い出してしまったのです。
もちろん今でもせどりができないことはないのですが、
まとめ買いによる割引券の廃止などの措置をとってしまったため、ブックオフにせどりをしに行く人は激減してしまいました。
善良な顧客というわけではありませんが、本をまとめて購入してくれるせどらーを排除してしまったのは、
はっきり言ってブックオフにとってマイナスと言えるのではないでしょうか。
2014年にヤフオクと業務提携したものの…
紙媒体の売り上げが低迷していく中で、ブックオフは本以外のもの、
先に申し上げたような衣類やスポーツ用品など、様々な製品の買い取りに取り組むようになりました。
そして、2014年にはヤフオクと業務提携をし、そのブックオフで買い取ったものを、ヤフオクで出品するという形で新たな事業を展開しています。
ヤフオクはヤフオクで、仕入れをブックオフにしてもらえるためwin-winというわけです。
しかし、ここもまたメルカリなどのフリマアプリによって思ったように業績は伸びず、
結果は先に申し上げましたように、2017年度は11億円以上もの赤字に転落してしまいました。
また、実際に閉店する店舗も出てきているようで、
ブックオフは今後本格的に業務内容を見直していかないことには経営危機を脱することは困難な状況にあります。
売上高はここ数年ほぼ横ばい状態
先ほど、ブックオフはその「純利益」はかなり減少傾向にあるという話をしましたが、
実は、「売上高」は以下のようになっており、ほぼ横ばいの状態です。
- 2013年3月期:766億7093万円
- 2014年3月期:791億5903万円
- 2015年3月期:743億4792万円
- 2016年3月期:765億6406万円
- 2017年3月期:813億4400万円
これだけを見るとなんとなくうまくいっているかのように感じますが、
先ほども言いましたように、純利益はかなりの減少を見せています。
これはつまりどういうことかというと、
2014年の業務提携からもわかりますように、ブックオフは業務拡大を狙っているのですが、
結果売り上げはそれについてきておらず、毎年ほとんど変わっていないということです。
具体的には、実際はつぶれている店舗はあるものの、逆に店舗を増やしている場所もあるので、
売り上げが伸びないことには、利益も上がってこないのですね。
明日4/21、BOOKOFF浜松北寺島店(静岡県浜松市中区)が新規オープンいたします(^^♪ 本・CD・DVD・ゲーム・トレカの品数充実、他リユースショップも併設されていますよ。https://t.co/WzSZnUIdjw pic.twitter.com/qhD18XUCew
— ブックオフ (@BOOKOFF) 2017年4月20日
この辺りが、ブックオフとしても予想外といったところだったのでしょう。
ただ、全体としての店舗数は間違いなく減少しており、
2010年に1100店舗近くあった店舗は、2018年3月には約800店にまで減少してしまいました。
今後人件費やその他の削減できる部分を減らしていけば、再び黒字回復にもっていくこともまた可能かもしれませんが、
現状はかなり潰れそうであることには間違いなく、
もしかすると、今後10年の間にブックオフは消えてなくなってしまうかもしれません。
買い物はネットの時代へ
ブックオフといえば中古本の売買では右に出るものはいないというほどの大手でしたが、
ネットの販売が主流になりつつある今、その営業方針を大幅に変える必要性に迫られています。
また、アメリカでは最近
玩具販売大手の「トイザらス」も倒産してしまったため、
日本でもいずれはその名前が変わってしまうかもしれません
いずれは、というのは、
日本のトイザらスはフランチャイズ契約で、
「日本トイザらス」として運営されているので、
アメリカのトイザらスが潰れてもすぐに被害が及ぶわけではありません。
ただ、こういった経緯を見る限り、老舗の事業であっても、今後は今のネット社会に沿った経営の仕方を迫られていくことは間違いないでしょう。
今まさに潰れそうなブックオフですが、この経営危機をどう乗り越えていくのか、注目です。
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