※人間のクローンが禁止されるのはなぜ?その理由や経緯を解説!

人間のクローンを作ってはいけないと言われているのは、皆さんももちろんご存知ですよね?

その理由は主に「倫理的に問題があるから」ということ。つまり、人間が人間の手で1人の人間を作り出すことは、「神の領域」に足を踏み入れることになってしまうからです。

もっといえば、命とはそもそも人と人の自然な行為によって誕生しますが、その過程を人為的に操作することは、まさに神を冒涜する行為であるといえるためです。

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ただ、もちろんそのような宗教的なことだけが、人間のクローン作成を禁止にしている理由ではありません。

もしも人間のクローンが作られることになったら、それによって様々な問題が発生する恐れがあるのです。

そこで今回の記事では、その人間のクローンの作成が禁止されているのはいったいなぜなのか、その理由を詳しく解説していきたいと思います。

目次

日本で人間のクローン作成が禁止された経緯

人間のクローン作成に関する問題が本格的に議論されるようになったのは、今からおよそ20年前の1990年代後半のことです。

このとき私たち人間は、「ウニ」や「カエル」といった「人間」からはまだ特徴的にかけ離れた生物のクローンの作成には既に成功していましたが、

1996年に、スコットランドにあるロスリン研究所のイアン・ウィルムット、ケイス・キャンベルらの研究グループが、「羊」の体細胞から取り出した遺伝子を使って、まったく同じ遺伝子を持った別の個体を作ることに成功し、世界で初めて私たち人間と同じ哺乳類のクローンが誕生しました。この羊はその後「ドリー」と名付けられました。

これは、医学の成長を考える上では非常に大きな進歩でしたが、それと同時に、人間のクローンを作り出せるという可能性がより現実的なものとなり、やがてこれは国連の話し合いでも議論されるほどの注目の問題となりました。人が人の手によって命を設計できる可能性があるということが、倫理的に問題になったのです。

そしてこういった経緯を踏まえ、2005年の3月の国連総会では、人間のクローンを禁止する宣言が、賛成84、反対34、棄権37の賛成多数で採択されました。

しかし、これはあくまで宣言であり、条約が作られたわけではありませんので、法的な拘束力はありません。なので、これを守らないとしても、特に罰則などがあるわけではありませんが、

我々の国日本では、その人間のクローン作成をさらに法律で禁じており、もしこの法律を破った場合には、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金を支払わなければなりません。

この法律は「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」と名付けられており、ドリーが誕生してから4年後の2000年に公布されています。つまり、先に説明した国連で宣言が出されるよりも前のことです。

また、この法律の禁止行為は、次のように定められています、

何人も、人クローン胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚又はヒト性集合胚を人又は動物の胎内に移植してはならない。

これはすなわち、他人の遺伝子を組み込んだ胚(分化して、生物になる前の1番最初の細胞)を、人や動物の体内に移植することを禁止するということ。

なので、裏を返せば

そういった胚を作ること自体は完全に禁止されているわけでありません。

人や動物の体内に移植して、それを生命として誕生させることを禁止しているのです。

というのも、そもそも日本は「クローン人間」を作ることには否定的ですが、例えば同じ遺伝子を持った臓器を作るためといった医療の発展のためにはクローン技術は使用されるべきだとの見方を示しており、

先の2005年の宣言時にも、クローン技術を全面的に禁止することに対して反対しています。反対意見が34と多いのは、この国連の宣言が、クローン技術、ヒトクローン胚を作ることそのものを禁止する宣言であったためです。

現時点で人間のクローンを作ることはできるのか?

1996年の時点で既に哺乳類のクローンは作り出すことに成功しているわけですが、

実はこのクローンの作成の禁止は主に人間においてのみ当てはめられているものなので、人間以外の哺乳類では、これまでに様々な生物がクローンとして作られてきました。

例えば、マウス、牛、馬、犬、オオカミ、ラクダなどなど、これまでに様々な哺乳類がクローンとして誕生しており、実はクローン技術を用いた研究は、現在も世界的には積極的に行われているものなのです。

そして、今年2018年の1月24日には、中国科学院の研究チームが、サルの体細胞を使ったクローン技術で、遺伝的に同じ情報を持つ「カニクイザル」を2匹作ることに成功し、話題となりました。実は、クローン技術によって、「霊長類」のクローンが作られたのはこれが初めてのことだったのです。

というわけで、こういった一連の経緯を見てみると、人間のクローンを意図的に作り出すことは、技術的にはほぼ間違いなく「できる」ことでしょう。

しかし、日本では法律で禁止されていますのでこれを破る人はいないはずですが、実は秘密裏に世界のどこかでそういった研究が行われている可能性はないとは言えません。

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人間のクローン作成が禁止されているのはなぜ?その理由とは?

クローンを作るということは、簡単にいうと「一卵性双生児」を意図的に作り出すということです。

一卵性双生児はDNAが全く同じであり、姿形も特に幼少期は非常によく似ていますが、この「一卵性双生児」は、そのお互いの関係はいわば自然に生み出されたクローンなのです。

そして、もしそのクローンの作成が合法的に可能な行為であるとすると、そのクローンを大量に作り出すことは、実は医学にとって大きな進歩をもたらすことは間違いありません。

例えば、もし同じ人間のクローンの胚を100個作り、それを別々の女性100人に生んでもらったとしたら、ほとんど同じ時期に、「100つ子」の赤ちゃんが生まれることになります。この100人は、遺伝的にはまったく同じものとされる存在です。

しかし、その100つ子に、実は彼らがクローンであるということを伝えずに、それぞれ違う母親のもとで育ててもらったとしたら、環境の違いによって、同じ人間でもどのような変化が生じるのかということがわかります。

そしてこれは、生活の環境がどれだけ人の成長の仕方に影響するのかということ示す貴重なデータになることは間違いないでしょう。これは非常に想像がつきやすいですよね。

しかし、そういったクローンを作るということは、倫理的に問題があるというのが、クローン人間の作成が禁止されている最大の理由です。

というのも、これはもはや説明するまでもありませんが、そういうクローンは、当たり前ですが1人の人間としてうまれ、成長するにつれて普通の人間と同じように感情を獲得します。

なので先ほどの例で考えると、もしある日自分には実は99人全く同じ遺伝子を持った人間がいるとわかり、自分がクローンであると知ったら、その人の絶望はとても言葉では言い表すことはできないでしょう。

皆さんも、もし自分が100人のうちの1人であると考えたら、とてもじゃありませんが耐えられませんよね。

もしかしたら「そんなの気にしない」という方もいて、それもまた成長の環境によって変わる部分なのかもしれませんが、中には、逆にそれを知って間もなくして自ら命を絶ってしまうという方すらいるでしょう。

こういうことが考えられるから、クローン人間を作り出すことは倫理的にまず難しい。

クローン人間を作り出すことができれば、世界で臓器移植の提供を待つ沢山の命が救われる可能性がありますが、それはすなわちクローンとして作られた人間の人権は無視されるということです。

さらに、このクローンを作り出せるということは、遺伝的に非常に優れた能力を有する人間を次々に作り出せるということであり、そういう人間だけで組織させる軍隊なども作り出すことが可能になります。

そして、そういったことが、いずれ奴隷制度に発展する可能性があるという指摘もされています。何故なら、クローンで軍隊を作るというのは、生まれながらにそういった生活を強制するということに他ならないからです。

ですので、いずれにせよクローン人間を作り出すことは人権の軽視につながることは間違いありません。

また、そういった人間を意図的に大量に作り出すということになれば、クローンによる暴動が起きる可能性もありますし、もしクローンの1人が事件を起こした時に、DNA検査だけでは何人もいるクローンの中で誰が犯人なのかを特定することはできません。

また、そもそも同じ顔の人が何人も町の中を歩いていたら生活しづらくなることは間違いない上に、政治的に偉い地位にいる人物が影武者をたてることが可能になるということも問題として挙げられています。

ただ、クローンもやはり生まれてから成長するためには時間がかかるわけですから、誕生したクローンをすぐに影武者として利用することはできませんが。

ただ、このように様々な理由から、人間のクローンを作ることは現在禁止されています。ただ、記事中でも触れましたように、現在そういう研究を秘密裏に行っている人物がいる可能性は0ではないでしょう。

まとめ

今回の記事では、人間のクローンを作ることが禁止されているのはなぜなのか、その理由を詳しく解説しました。

さて、ここで突然ですが、皆さんは映画「スター・ウォーズ」シリーズを見たことはありますか?

このスター・ウォーズシリーズは、その1作目は1977年に公開され、2017年にはその第8作目も公開されるなど長きにわたって愛されている人気シリーズですが、

実はこのスター・ウォーズの物語の中では、途中「クローン軍」というものが登場します。そして、このクローン軍の正体は、まさにクローン技術によって生み出された同じ顔をした人間です。

このクローン軍は作中では忠実なしもべとして描かれており、ダース・ベイダーになる前のジェダイの騎士の1人である、ルーク・スカイウォーカーらとともに、ドゥークー伯爵や、グリーヴァス将軍らが率いる分離主義勢力と闘いを繰り広げます。

と、その詳しい内容まで覚えてもらう必要はありませんが(笑)、こういったクローン戦争も、映画の中だけの話ではなく、技術的には私たち人間も起こそうと思えば起こせるレベルにまでその技術は発展しているのです。

しかし、もしそういうクローン群ができてしまったとしたら、実際は反乱を起こすものも中には出てくるでしょう。

と思いましたが、もしかすると北朝鮮のような国なら、あの規則正しい行進の動きをそのクローン軍に覚えさせてしまうかもしれない。そう考えると、やはり北朝鮮は現代において異様な国ですよね。

話はそれましたが、そもそも今の世界は、軍事的な力による支配はもはややめようという方向で話はまとまってきています。もちろん例外もいますが、少なくともクローン軍を作って戦争を仕掛けようなんてする人はいないでしょう。

しかし、我々人類は、すでにそういうSFの映画の中の話を再現できるまでに技術を発達させてしまっています。

こういった技術の発展は喜ばしい反面、悪用されるとどうなるんだろう、というものも沢山ありますから、この先世界がどういう未来を迎えるのかというのは、少々怖くもありますね…!

では、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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