※宇宙を構成する成分「ダークマター」とは?

水兵 リーベ 僕の舟(H He Li Be B C N O F Ne)…

というように、原子(元素)の周期表を皆さん学生の頃に覚えたと思うのですが、

実はこの宇宙に存在する全ての原子のうち、圧倒的に多く存在しているのが「水素」であり、

その割合は、なんと水素だけで約93%にも及ぶといわれています。

また、その次に小さい元素であるヘリウムも合わせると、この世の原子の99.9%近くが水素とヘリウムであるとさえ考えられており、

それ以降の炭素、酸素、鉄やその他の金属などは、すべて全元素の0.1%未満の割合でしか存在していないというのです。これにはかなり驚きですね…!

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しかし、

この地球を作っており、

私たちの体の構成成分でもある様々な原子も、

実は宇宙を構成する成分としては、わずか5%程度にしかならないだろうと現在は考えられています。

つまり、宇宙は水素や酸素といった原子ではなく、それ以外の「何か」によって構成されていると考えられており、そのカギを握っているのが、今回お話しする「ダークマター」といわれる成分なのです。

では、そのダークマターの正体とはいったい何なのか、詳しく解説します。

目次

宇宙を構成する「ダークマター」と「ダークエネルギー」とは?

ダークマターとは、直訳すると「暗黒物質」と呼ばれているものであり、これは決してアニメや映画の中だけに登場するものではなく、実際にこの宇宙を構成している成分の1つであろうと考えられています

また実際には、そのダークマターよりもより多い割合で宇宙を構成していると考えられているのが「ダークエネルギー」と呼ばれているもので、

この宇宙を構成している全成分のうち約5%が「原子」であるといいましたが、

残りの約95%のうち、

約25%がダークマターで、

残りの約70%がダークエネルギーであると考えられています。

これらの成分はいまだかつて観測されたことのない、目には見えない成分ではあるのですが、

今私たちが知りうる原子だけでは現在の宇宙の構造を作ることができないということが分かったことをきっかけに研究が勧められた結果、どうやらこの宇宙にはまだ我々の技術では観測することができない構成成分がかなりの割合で存在しているということがわかってきたのです。

2013年には、ヨーロッパ19カ国が参加する「欧州宇宙機関」によって、

  • ダークマターは26.8%
  • ダークエネルギーは68.3%
  • 原子は4.9%

と発表され、この数値が現在広く認められている存在比となっています。

ダークマターやダークエネルギーは、何も大気圏より外の我々が一般的に「宇宙」と呼ぶ空間だけにあるのではなく、今皆さんが存在している空間にもかなりの割合で存在しているものと考えられています。

しかし、目には見えない成分で、かつすべての物質を透過するものであると考えられているため、いまだかつて人類はその正体を観測できたことがないのです。

何故ダークマターは存在すると言えるのか?

皆さんが今見ているスマホやPCも、今着ている服も、そもそも私たちの体も、すべては「原子」によってできていると説明できますが、それは宇宙を構成する成分のわずか5%のものからできているというのだから驚きです。

にわかには信じがたいことですが、そもそも我々が知りうるその「原子」も、「電子」「陽子」「中性子」というさらに小さな存在から成り立っており、

その内「陽子」はアップクォーク2個とダウンクォーク1個の3つの素粒子から成り立ち、

「中性子」はアップクォーク1個とダウンクォーク2個の3つの素粒子で成り立つということまでわかっています。

電子は、それ自体が素粒子であると考えられていますが、今後研究が進めばもっと小さな基本単位から成り立っているとわかる日がもしかしたら来るのかもしれません。

このように、例えば「水素」という原子も、素粒子レベルで考えると実はそれはかなり大きな存在であるともいえます。

ちなみに、原子の存在について我々人類が本格的に議論を始めたのが1800年代初頭のことであり、当時はこの世のすべての物質の最小単位は「原子」であると考えられていました。

ただ、その原子にはどうやらマイナスの電荷をもった粒子、すなわち「電子」が含まれていると気が付き始めたのが1800年代後半だったのですが、

それを含むとされる「原子」自体は中性の性質を持つことから、電子とは逆の電荷をもつ存在、すなわプラスの電荷を持つ「陽子」の存在についても、その1800年代後半に予測されました。

その後、もともと中性の性質を持つ「中性子」も発見され、「電子」「陽子」「中性子」、この3つによってさまざまな原子が成り立つと考えられていたのですが、

こういった粒子に関する観測技術が進む中で、どうやらこれ以外にも似たような粒子が存在しているということがわかり、1964年になって、初めてそれらを構成する「クォーク」という存在が予見されたのです。そして、その4年後の1968年に、アップクォークやダウンクォークなどが発見されました。

このように、我々人類が原子の構造を本当の意味で理解し始めたのはわずか50年前のことであり、それすらも今後技術が発達すればまた新たな情報が得られるかもしれません。

しかも我々は「原子や陽子、クォークのようなものがある」ということがずっとわかっていただけで、実際にその内の「原子」を初めて可視化させることに成功したのは、実は2010年とつい最近のことなのです。よく教科書で見る水素や二酸化炭素の構造などはあくまで理論に基づくモデルでしかありませんでした。

つまり、我々の観測技術はまだまだ発展途上なので、実はダークエネルギーがあるということも何ら不思議なことではないのです。

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ダークマターは、目には見えない暗黒の何か

ただ、今述べたことだけでは、ダークマターが存在してもおかしくないというだけで、ダークマターが存在する理由にはなっていませんよね。

それではなぜダークマターが存在しているといえるのか、もっと本質的な話をしましょう。

ダークマターは「暗黒物質」であるといいましたが、この由来は、それ自体が光を発することもなく、光を反射しないという性質を持つことに由来しています。つまり、光学的に観測することができないのです。

ただ、このダークマターは質量を持つと考えられており、質量を持つということはつまり、重力を持つということでもあります。このダークマターは集合することによって、周りの光を捻じ曲げる重力の力をわずかながらに発揮すると考えられています。

ただ、実際には現時点でわかっているのは本当にその程度のことで、それが「何」なのかは現時点では全くわかっていない状態です。

粒子なら観測できるはずですが、現代の技術をもってしてもその尻尾すらかむことができない、この世界を構成する「何か暗いもの」。それが、ダークマターです。

なので、ダークマターを観測できない以上それが存在するとは確実には言えないのですが、これが存在しないとすると、これまでの様々な理論において矛盾が生じます。そして、宇宙機関からの発表もあるように、近年ではそのダークマターはほぼ確実に存在するものと考えられるようになってきています。

ダークエネルギーとは?

ただ、そんなダークマターも全宇宙を構成する成分の約25%でしかないというのだから驚きですね。

残りの70%はダークエネルギーというものによって構成されていると考えられているのですが、このダークエネルギーは、ダークマターよりももっと謎に包まれた「何か」です。

このダークエネルギーが何かということについては、以下の動画が非常にわかりやすいでしょう。現時点では、これを「空間の性質」とする意見もある一方、私たちが知りうる力の概念とは異なるという意見もあり、これを言葉で説明するのはかなり難しいようです。

そもそも、我々が普段目にするものはこの宇宙の本当にごくわずかの一部でしかありません。

宇宙がなぜ誕生したのか、宇宙の外側はどうなっているのか、世界とは何なのか、そこまで考えていくと、ダークマターが存在することは、実はそれほど不思議なことではないようにさえ思えますよね。

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