
最近、相撲界では不祥事ばかりが相次いで取り上げられ、あまり良いニュースが入ってきませんが、
貴乃花親方と協会とのトラブルをめぐる問題についてはいったん落ち着き、
今最も注目の話題となっているのが、「女人禁制」をめぐる問題です。
ことの発端は2018年の4月の4日に春巡業中が行われていた京都府舞鶴市で起こったある出来事だったのですが、
その日、舞鶴市の市長を務める多々見良三氏が、土俵上で挨拶をしていたところ、
なんと市長は急に意識を失い、その場に倒れてしまいました。
そして、その市長の救助活動を行うべく、何人かの女性が土俵上に上がったのですが
そんな女性たちに対し、若手の行司が
「女性は土俵から降りてください」とアナウンス。
人が1人命を失うかもしれないという緊急事態にも関わらず、女人禁制という伝統があるからという理由からその救助活動を妨げようとしたことに対し、世間からは非難の声が殺到しました。
もし、その場に女性しか医療に詳しい方がおらず、土俵上で倒れた人間が自分の大切な人間だとしたら、はたして土俵上から降りてくださいなんてことが言えるのでしょうか。
というわけで、この問題以降「女人禁制」について今後我々はどう考えるべきなのか、というところがいささか問題となっているのですが、
実はこの相撲、普段私たちがテレビでよく見るものは「神事」として行われているものであるとされるのに対し、
近年世界にも広まりつつある女子相撲は、神事ではなく「スポーツ」であるとされていることを皆さんはご存知でしょうか?
そして、ここからもまた女性差別の風潮を感じることができます。
ということで今回の記事では、相撲が「神事」か「スポーツ」か、ということについて詳しくまとめ、そこから女性差別問題にも切り込んでいきたいと思います。
相撲の女人禁制について!それ自体は決して悪いものではないが…

相撲といえば日本で非常に古くから続いている伝統のあるものであるということは誰しもが知っていることですが、
実際にはその起源はなんと紀元前にまでさかのぼるといわれています。
そして、もともとこの相撲は天下泰平、五穀豊穣などを祈願するための「神事」として始められたものであり、その伝統は、現代にまで粛々と受け継がれてきました。
しかし、この相撲は以前は女性はそれを見ることさえも禁止されており、女性が観戦できることが許されるようになったのは、1872年(明治5年)のことでした。
そして、その主な理由とされているのが、「女性は不浄な存在である」と当時考えられていたということ。つまり、当時は露骨な女性差別の考え方が根付いていたのです。
女性進出が目覚ましい現代の日本においてはありえないことですが、当時はいたるところで女人禁制というものが普通にあった時代だったのですね。
しかし今回、先にお話しした舞鶴市でのトラブルが取り上げられたことにより、この女人禁制という部分が強調されてしまっているわけですが、
こんな一刻を争う状況であるにも関わらず女性を土俵を下ろそうとしたことは絶対に問題だと私も思いますが、「女人禁制」というルールを受け継いでいくということ自体は、女性差別とは言えないというのが大半の見方になってくるのではないかと思います。
しかし、そこで気になるのが、「女子相撲」の存在です。
相撲は「神事」か「スポーツ」か?相撲における女性差別について

相撲は「神事」である、それ自体は特に異論はありません。
現代においては、昔と同じように「五穀豊穣」を願ったり、という意味合いはあまりはないとは思いますが、
とはいえ伝統があるのは確かですし、日本の神事としての相撲に憧れを抱き、海外からわたってくる人間もいるというのは嬉しいことです。
また、最近では女性でも相撲に取り組む方が増えてきており、この女子相撲は1996年に始まって以降、現在では世界選手権も開催されており、ロシア、ドイツ、ノルウェーなど様々な国の方々が参加されています。
しかし、ここで気になるのが、なぜ土俵に女性があがることは問題視されるのに、女子相撲があることは認められているのか、ということです。
えっと、、ごめん、
土俵って女人禁制じゃないの??#女子相撲 pic.twitter.com/FD8rTmAV7F
— ミネ(ミサイルって本当に飛んでるのかな? (@minerin999) 2018年4月8日
これについては、この記事のタイトルにもありますように、その相撲を「神事」としてとらえるか、「スポーツ」としてとらえるか、というところが主な理由であるとされています。
なんでも、私たちがテレビで見るような大相撲は、その本場所の試合が行われる前に「土俵祭」と呼ばれる儀式を行うそうなのですが、これが行われるということがその相撲を「神事」たらしめている理由だそうです。
また、今回は巡業中にその女人禁制騒動が起こったわけですが、その巡業中にも、簡易的にではあれど土俵に上がる前にその「土俵祭」を行うそうです。
しかし、一般的に女子が取り組んでいる女子相撲は「スポーツ」であり「神事」ではないため、やってもOKですよ、ということらしいです。
しかし、実は今年の3月には、相撲協会の方で「女人禁制を改めて強化しましょう」という方針が出されたそうで、今回の舞鶴市の騒動は、その通達があった直後の出来事でした。
つまり、アナウンスを行った行司も、その通達を受けていたからこそ焦ってあのようなアナウンスをしてしまったのかもしれません。
なぜ今女人禁制を強化する必要があるのか?
正直、大相撲は神事であり、女子相撲はスポーツだからOKというのも、相撲に取り組む女性に対し失礼な行為であり、だったらもともと女子相撲を発足させる必要があったのかとも感じるのですが、
私が現在疑問に思うのは、なぜ今年2018年に入ってから、その女人禁制を強化しようとしたのかというところです。
もともと、女人禁制という伝統があるというのはわかりますが、
スポーツだから女子相撲はOKという、ある意味相撲の普及に対しては女性の助けを借りておいて、
神事である大相撲からは一切女性を排除しようというのは、
女性に対する差別行為ととらえられてもおかしくないことだと強く感じました。
そもそも、そんな伝統を守ろうということ以外に、今の大相撲会にはやることがあるのではないかと思うのは、私だけではないでしょう。
今後、この女性差別のような問題がどう収束していくのか、相撲界の動きに注目したいと思います。
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