私は小さいころ昆虫大好き少年だったので、アリも数えきれないくらい大量に捕まえました。
そして、ある時期になると、巣の中からわらわらと出てくる羽アリは、
まさに子供の頃の私にとってはレアな存在でした。
他の働きアリに比べてサイズも大きく、かっこいいからです。
しかし、そんな羽アリは、実は後々羽を落とすということについても小さいころに知りました。昆虫図鑑も沢山持っていたので、そこでアリの生態についても沢山調べたんです。
結論から言うと、羽アリは自分がいた巣から飛び立ち、他の巣のアリと交尾を済ませると、地面に降り立ち、巣を掘って、そこで女王アリとなります。
すると、女王アリはあとは地面の中で卵を産み続けるだけなので、いらなくなった羽を落とし、羽なしのアリになってしまうのです。
ということで今回の記事では、
その「アリの生態」について詳しくまとめたいと思います。
なお、もしかするとこの記事を、
シロアリの羽アリの情報が知りたくて見ている方もいるかもしれません。
例えば、家の中や、家の裏で、大量に羽が落ちているのを見つけたら、それはシロアリの羽アリが落としたものである可能性が高いのです。
ということで、今回は一般的に外で見られる黒いアリと、シロアリとの関係についても解説します。
羽アリが羽を落とす理由はなぜ?羽なしになった後の生活とは?
羽アリが羽を落とす理由がなぜか、というのは先ほど説明した通りですが、
そもそも、なぜアリの中には、
羽アリと、
そうでない「羽なしのアリ」がいるのか、気になったことはありませんか?
羽なしのアリとは、例えば巣から出てきて餌を運んでいる働きアリなんかがそうですよね。これらのアリには、なぜ羽が生えていないのでしょうか。
ということで、まずはそのアリの巣の中では何が起こっているのか説明していきます。
まず、アリの巣の中には、基本的には女王アリと呼ばれるアリが1匹だけ存在しています。その女王アリは巣の中の特別な部屋の中で卵を産み続け、
なんと10年~20年もの間生き続けます。
そして、その他には、巣の中には基本的に働きアリと呼ばれるアリしかおらず、
働きアリは、すべてメスのアリです。
そして、女王アリは言わずもがなメスのアリなので、
実は普段アリの巣の中には、メスのアリしかいないのです!
しかし、その女王アリは、その種のアリの繁殖の時期にだけ、オスのアリを産みます。
そして、このオスアリは、「羽アリ」として成長します。
また、この時期に女王アリによって産み落とされたメスアリは、
普通の働きアリよりも豊富に栄養を与えられ、
こちらも、「羽アリ」として成長します。
つまり、普段見かける働きアリは、あまり栄養を与えられず、羽が生えるまで成長しなかったメスアリなのです。
そして、これらのオスとメスの羽アリは、成虫になると、わらわらと巣から出てきて、空へと飛んでいきます。別の巣から出てきた羽アリと出会い、結婚するためです。
そして、例えばメスの羽アリは、別の巣のオスの羽アリと出会うと、そこで交尾をして、
一生子供が埋めるだけの精子を体の中にため込みます。
そして、メスの羽アリはその後、地面へと降り立ち、巣が作りやすい場所を見つけると、巣を掘る前に、自らの羽を落とすのです。つまり、羽は交尾をするパートナーを探すときにしか利用しないのですね。
また、このメスの羽アリは女王アリになるわけですが、オスの羽アリはというと、こちらは交尾を済ませるともう役割を終えるので、
なんと1ヶ月足らずで死んでしまいます。
女王アリが20年近く生きるのに対し、オスアリというのはかなり儚い存在なんですね(^-^;
女王アリはどうやってオスアリとメスアリを産み分けているのか?
これ、非常に不思議に思いませんでしたか?
アリの巣の中には普段メスアリしかおらず、繁殖時期にのみオスアリを生み出すわけですが、
それをどう産み分けているのかということです。
これは、人間では考えられないある特別な生殖方式で産み分けられています。
まず、先ほどご説明したように、まだ羽が生えていたころのメスの羽アリは、オスと交尾をすると、
そこで一生卵を産めるだけの精子を体の中に蓄えます。
そして、巣の中に入っていざ女王アリになると、自分のお腹の中で作った卵子と、オスアリからもらい、そのお腹の中にため込んだ精子を少しずつ受精させることで、長きにわたってアリを産み続けるのです。
しかし、実はオスアリを生む時には、
女王アリは卵子と精子を受精させません。
なんと、女王アリのお腹の中で作られた卵子がそのまま成長すると、
それがオスアリとして生まれてくるのです。
そして、それ以外の時期に、卵子と精子を受精させて生まれたアリは、
すべてメスのアリとして生まれてきます。
つまり、
- 無精卵は絶対にオスの羽アリとして成長し、
- 受精卵はメスのアリとして成長し、そのうち栄養が少ないものは羽なしの働きアリになり、栄養が豊富に与えられたものはメスの羽アリとなるのです。
このようなシステムの違いを利用して、女王アリはオスメスの産み分けをすることができます。
アリとシロアリの違いとは?
普段外で見かけるアリの中には、クロヤマアリやクロオオアリなど、色々なものがいるのですが、
仮にこれを、「アリ」とひとくくりにして呼ぶことにしましょう。
一方、しばしば害虫として扱われ、事実木造の家だと内部からその木材を食べてしまう生物として、
「シロアリ」という生物がいますが、
では、そのアリとシロアリは一体何がどう違うのかというと、
実はこのアリとシロアリは、
その分類からして全然違います。
まず、ここまでにさんざん普通のアリの画像は見ていただいていますが、
シロアリは以下の画像のような生物です。
うーん、群れを作るという点ではアリと似ていますが、体が白く、半透明で、なんとなく体の形状も違いますし、頭が大きいですよね。
イメージ画像を見てみると、
アリは以下の画像のような感じで、
シロアリは以下の画像のような感じです。
というわけで、大分その見た目は違うのです。
しかし、それもそのはず、
というのも、実はこのシロアリは、
その生物学的分類上は、アリではなく、
ゴキブリの仲間なのです。
しかし、その生活様式は非常にアリのそれと似ていて、やはり集団となって暮らします。
そして、アリと同じように、やはりこのシロアリの中にもいくつか役割の違いがあって、その中で羽アリになるものもいます。
そして、この羽アリもまた、地面に降り立つと、羽を落とし、女王アリになるのですが、
アリとシロアリの違いは、シロアリの場合は、
女王アリと結ばれたオスの羽アリも巣に入り、王アリになるのです。
そして、生涯女王アリと王アリはつがいになり、交尾を繰り返して、子供を産み続けます。
ちなみに、シロアリの羽アリはあまり飛翔能力がないため、巣から出てくると、それほど遠くない場所で羽を落とし、新たな巣を作り始めます。
なので、いったんシロアリが湧いた家には相当数シロアリが繁殖している恐れがあり、羽が散乱している場所を見つけたら、シロアリがいないかよくチェックしたほうが良いでしょう。
というのも、シロアリの女王は、1日に数百個もの卵を産み、あっという間に繁殖するからです(^-^;
まとめ
今回の記事では、羽アリが羽を落とすのはなぜなのか、その理由や、羽なしのアリとの違いなどを解説しました。
ちなみに、シロアリは
「ゴキブリ目」という分類の生物ですが、
外でよく見かけるアリは
「ハチ目」の生物で、
特にスズメバチに近い生物なのです。
なので、実はアリとハチはその顔や顎の形状などがよく似ています。
なので、ゴキブリの祖先の生物の中で、
より集団性を発達させたものが、結果的にアリと似たようなシロアリになったということなんですね。
シロアリは増えると本当にヤバいらしいので、散乱した羽を見かけたら、是非その周囲をよくチェックしてみるようにしましょう…!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(*^-^*)
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