「遺伝子」「DNA」「染色体」の関係と違いをわかりやすく解説!

私たち1人1人は同じ人間ではありますが、

その顔や体質、目の色、髪の色などは皆それぞれ違います。

そしてそれらは、1人1人が持っている遺伝情報に明確な違いがあるからそうなっているのですが、

この辺りを突き詰めて行くと

  • 遺伝子
  • DNA
  • 染色体

と似たようなニュアンスのものがいくつも登場して、それらの関係や、違いがいまいちよくわからないという方も中にはいらっしゃると思います。

そこで今回の記事では、その「遺伝子」「DNA」「染色体」の関係と違いを、面白雑学も交えながら詳しく解説していきたいと思います。

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目次

遺伝子とDNA、染色体の関係と違いを解説!

遺伝子とDNA、そして染色体はまったく関係のないものというわけではなく、どこをどのようにとらえるのかというところでその違いが見えてきます。

まず、私たちの体は計約37兆個の細胞が寄り集まってできていますが、その細胞1つ1つをのぞいてみると、その中には、「核」と呼ばれる小さな部屋が存在しています。

そして、その部屋の中には、「染色体」と呼ばれる計23対のひもが保存されています。

23対なので、より詳しく見てみると、46本の染色体のひもがそれぞれ2本1組になっているのです。このうち、23本は父親から譲り受けたもので、残りの23本は母親から譲り受けたものになります。

つまり以下の画像のような2本1組の染色体が23対細胞核の中に保存されているのです。細胞が分裂するときには、この染色体を複製する所から始まります。

では、この染色体はどのようにして作られているのかというと、実はこれは非常に長いひもがヒストンというものに巻き付きながら綺麗な構造をとったものであり、染色体をほどいていくと、これよりもさらに細いひもが現れます。それが、「DNA」です。

皆さんご存知の通り、そのDNAは2本のひもがらせん構造をとりながらつながっていくことでできています。

この2本のひもは「糖」と「リン酸」という2つのものからできているのですが、そのひもはそれぞれ局所局所でつながりを持っています。上の画像でも、そのDNAの2本のひもが非常に小刻みにつながりを持っているというのがわかりますよね。

では、このつながりは一体どのようにして構成されているのかというと、ここで重要になってくるのが「塩基」というものです。

DNAは、

  • アデニン(表記:A)
  • チミン (表記:T)
  • グアニン(表記:G)
  • シトシン(表記:C)

という4つの塩基を使ってつながりを持っているのですが、実はこのうち、

  • 「A」は「T」とだけ結合を作り
  • 「G」は「C」とだけ結合を作る

ということが既に決まっています。

つまり、例えば、DNAのある一部分をのぞいてみると、(上と下の組み合わせを見てください)

  • AGACTGACTG…
  • TCTGACTGAC…

というような感じになっており、AはTとだけ組み合わせを作りGはCとだけ結合を作ります。横は関係ありません。

こういう塩基配列が長くつながった2本のひもが、染色体構造の綺麗な形にまとまり、私たちの細胞の中に保存されているのです。

ちなみに細胞の中には計23対の染色体があるといいましたが、その1番染色体から23番目の染色体までは、それぞれその大きさ、つまりそれを構成するDNAの長さに違いがあります。

例えば、1番染色体は「約2億7900万」の塩基対がひとかたまりになったものですが、

20番染色体は「約6600万」の塩基対がひとかたまりになってできています。

23対の染色体の中では1番染色体が最も長く、それを構成するDNAはヒトDNA配列全体の約8%を占めます。

ちなみに、23番目の染色体を構成するDNAまですべて含めると、ヒトDNAは計30億もの塩基対の組み合わせによって構成されています。この30億がしっかりそろって、やっと人間が1人構成されるのです。

さて、ではここで「遺伝子」とはいったいなんなのかということについて解説しますが、

その遺伝子とは、長い塩基配列で構成されたDNAのうち、ある一部分の「DNA配列」のことを言います。

つまり、A、T、G、C、はそれ単体ではただの「塩基」にすぎませんが、それが

  • ……AGACTGACTG……
  • ……TCTGACTGAC……

というふうに配列になると、それが何かを意味する配列となり、こういった一部の領域をさして「遺伝子」と呼ぶのです。

例えば、先ほど1番染色体は「約2億7900万」の塩基対で構成されているといいましたが、

この中には、「計約2610個」の遺伝子が含まれているということまでわかっています。

つまり、

  • 「塩基の配列」によって「DNA」が構成され、
  • その「DNA」は「複数の遺伝子」に区分することができ、
  • それらがある1つの形に収まったものが「染色体」なのです。

ヒトDNAは99.9%が同じ

さて、ここで1つ面白い話をしたいと思いますが、実は私のDNAも、皆さんのDNAも、その配列の99.9%は一致するということを皆さんはご存知でしょうか?

つまり、例えば犯罪捜査の現場ではDNA検査などが利用されたりしますが、その検査は、その残り0.1%の違いを見ているという訳です。

逆に言えば、そのわずか0.1%の違いによって、人はその顔も変わりますし、目の色も、声も、髪の色も、ありとあらゆる特徴が変わってくるのです。不思議な話ですね。

人によってもっと明確な違いがあるように思っていた方も沢山いると思いますが、

例えばヒト同士が10%もそのDNAが変わるとすれば、それはもはやヒトではなくなります。

というのも、実はネズミと人間はその姿形は全く違いますが、その塩基配列の99%近くが人間のものと一致するといわれているのです。

例え違う動物であっても、命をコードする配列はみんなよく似ているというわけですね。

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ヒトの細胞は生きている

私たち人間は37兆の細胞が集まって生きているという話をしましたが、実は、その細胞はそれら1つ1つが生きています。

当たり前のことを言っているように感じますが、通常私たち人間は長くとも約100年で亡くなってしまいますが、実はその細胞1つだけであれば、今後数百年にわたって生きていくことさえ可能なのです。

つまり、私たちは沢山の生き物が寄り集まってできた集合体として形成されており、それらは自我のようなものは持たないものの、確かに生きているのです。

1つ不思議な話をしますと、

1951年、ヘンリエッタ・リーン・ラックスという女性が、31年という短い生涯を終え、この世を去ったのですが、

彼女から切除されたがん細胞は、その後研究に用いられ、培養が繰り返された結果、今もなお彼女の細胞株は生きており、その量は計20トンにもなるといわれています。

実は、通常普通の体細胞はそのままだと培養してもいずれ死んでしまいますが、

がん細胞は細胞老化の原因であるテロメアの修復を行う酵素「テロメラーゼ」の発現や、その他さまざまな原因によって、自身を不死化させることに成功した細胞のことを言います。

だからこそ、体の中でもしそのようながん細胞ができてしまうと、それが増えてしまうことによって、それが「腫瘍」という目に見える形になって表れるのですが、

逆に言えば、そういったがん細胞の不死化は、ある意味人間がさらに長寿になるカギを握っているといえるのかもしれません。

まとめ

今回の記事では、遺伝子とDNA、そして染色体の関係や違いを分かりやすく解説しました。

遺伝子やDNAについて知ると、人間というものがどれだけ複雑な構造でできているのかということがわかって本当に不思議ですよね。

30億という膨大な数の配列が、一部欠けてしまうだけでも、それはヒトを1人生み出すうえでは大きなダメージになってしまいます。

私たちの体は、そんな複雑な構造をもったDNAを、染色体というかたちで細胞1つ1つに保存して、それが37兆個も集まってできているというのですから、

果たしてそれだけ複雑な構造をどのようにして生み出すことに成功したのか、本当にそこには、何らかの神がかった力が働いているように思えますね。

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