サーベルタイガーがどのくらい昔の動物なのかよく知らないという方もいると思いますが、これは意外と最近の動物で、
最終的に絶滅したと考えられているのは、
今から約10万年~1万年前の間だったと考えられています。
ちなみに、恐竜の時代が終わることとなったのは、今から約6600万年前のこと。
直径10Kmもの巨大な隕石によって、大型の恐竜含め、地球上の80%の生物は死んでしまいましたが、
それまで恐竜の陰に隠れるように暮らしていたネズミのような哺乳類の祖先は、何とかその危機を乗りこえることに成功し、
私たち人間や、その他さまざまな哺乳類へと進化していきました。
そして、その一部がサーベルタイガーにまで進化したのは、今から約2300万年ほど前のこと。
ただ、これがなぜ絶滅したのか、
そして、その子孫は今動物園に見られる肉食獣の中にいないのか…などなど、
気になる方がいるようなので、今回はそのあたりについて詳しくまとめます。
サーベルタイガーは今も実在するの?動物園に子孫はいる?
サーベルタイガーがもし実在するのであれば、生で一目見てみたいという方もいると思いますが、
残念ながらサーベルタイガーは、約1万年ほど前に、
南北アメリカに住んでいた
「スミロドン」
という種を最後に完全に絶滅してしまいました。なので、今生き残っているということはあり得ません。
そして、このスミロドンの絶滅は、サーベルタイガーすべての群の終わり意味しています。
そのため、その子孫も現在どこにも残っていません。動物園にもいません…!
では、
「今生き残っているネコ科の動物達」と、
「サーベルタイガー」はどのような関係なのかというと、
これらの共通祖先は今から2500万年ほど前にまでさかのぼり、そこで分化したことが分かっています。
ですので、
実はサーベルタイガーと今のネコ科の動物たちは、その系統としてはかなり遠いのです。
サーベルタイガーという名前から、
なんとなくトラに近いのかな?とも思ってしまいますが、実はこの2種は系統としては非常に離れているんですね。
ちなみに、今生きているネコ科の肉食獣の中で、
いつも比較される
「ライオン」と「トラ」の2種は、
今からおよそ300万年ほど前に分岐したと考えられています。
これらの共通祖先は森の中に住んでいた
「パンテラ」というネコ科肉食動物であり、
そのうちエサを求め森を出たものがライオンに進化し、
森に残ったものがトラへと進化しました。
なので、ライオンとトラは近縁種ですが、サーベルタイガーはかなり遠い親戚です。
サーベルタイガーの生態と絶滅の理由
サーベルタイガーはなんといってもその鋭くて長い牙が特徴的ですが、もちろん狩りをする際にはその牙を武器にしていました。
しかしながら、実はサーベルタイガーはその噛む力は今のライオンの3分の1程度であったと考えられています。そのため、その牙を相手に突き刺し、重要な血管などを傷つけることによって獲物をしとめていたようです。
さらに、サーベルタイガーはその噛む力を補うために、敵を抑えるための前足を発達させたため、その前足の力は相当なものだったと考えられています。
つまり、その強力な前足で獲物を押さえつけ、牙を相手に食い込ませて失血死させていたのです。
想像するだけで恐ろしい…
しかしながら、このような理由から前足を発達させてしまったサーベルタイガーは、相対的に後ろ足が短く、走るのは苦手でした。そのため、いずれ走力を発達させたほかの肉食獣に後れをとるようになってしまいます。
それに加え、約7万年前には地球は氷期に入ります。これによりサーベルタイガーのエサとなる草食動物も減り、徐々にその数は減少していったようです。
これが決定的な打撃となったのかどうかは不明であり、約1万年ほど前にアメリカに進出した人間の祖先によって絶滅させられたとも考えられますが、とにもかくにも、サーベルタイガーは種として生き残ることはできませんでした。
「絶滅」が一転、実は生き残っていた肉食獣
今回ご紹介したサーベルタイガーは、残念ながら完全に絶滅してしまいましたが、
実は過去には、一度完全に絶滅したと考えられていながら、のちに生き残っていたことが判明した肉食獣が存在しています。
それが、あの百獣の王「ライオン」の種類の中で
最も巨大な大きさにまで成長する
「バーバリライオン」
というライオンです。
絶滅危惧種っていうと、バーバリライオンの繁殖が本格的に開始されているので、是非がんばってほしい、3mぐらいの地上最大のライオンで、が顔の周りから腹まである、すんごい立派なタテガミが特徴、一度絶滅宣言が出されてから生き残りが発見されたケース、超かっこいいライオン pic.twitter.com/DLgr0Rfga4
— 玉子 (@tamago_mofmof) 2018年5月2日
このバーバリライオンは、1922年にモロッコで射殺された個体を最後に絶滅したと考えられていましたが、その後2007年にその純血種らしきものが発見されて保護され、現在その混血種を50頭程度にまで増やすことに成功したそうです。
また、1961年に亡くなったモロッコ国王のムハンマド5世が所有していた動物園で、バーバリライオンの純血種が32頭も生き残ていたことが最近になって判明し、それらを増やす取り組みも行われています。
このバーバリライオンはかつて見世物として利用され、また狩猟の被害などからその数を減らしていってしまいました。是非これらが再び野生の世界に帰れるくらいにまで数を増やしてあげてほしいですね。
ちなみに、バーバリライオンは、
最大で4m近くにまで成長すると言います。
これは、かつて存在したサーベルタイガーよりも断然巨大です。
いつか、是非その姿を生で見てみたいものですね(^^)
こちらの記事はいかがですか?⇒【2018】恐竜はなぜ絶滅したの?隕石と氷河期の関係とは?