※セミに寄生する蛾「セミヤドリガ」の生態を解説!

梅雨があけ、気温が高くなり始めると、

土の中から一斉に出てきて、空へと飛び立っていくセミ

そんなセミたちは、種類にもよりますが、

わずか1週間~2週間あまりの短い期間しか成虫として生きられず、長生きの個体でも1ヶ月はなかなか生きません。

しかし、そんなセミに対して、

無情にも、その体を蝕む厄介な存在がいます。

それが、

セミヤドリガ

と呼ばれる、の仲間です。

このセミヤドリガはその名前の通り、セミを宿り主として、その養分を吸い取ってしまいます。

ということで今回の記事では、そのセミヤドリガの生態について解説します。

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目次

セミに寄生する蛾「セミヤドリガ」その生態とは?

この世界には様々な寄生虫がいますが、

おそらく、皆さんが寄生虫と聞いてイメージするのは、

カマキリに寄生する「ハリガネムシ」や、

人間にも寄生する「サナダムシ」などの、

にょろにょろしていて、体内に住み着くタイプだと思います。

ちなみに、サナダムシは最大で10m以上にもなる個体もいて、

サナダムシに寄生された人は養分を吸い取られて痩せてしまうことから、

過去には、

サナダムシダイエット

なんていう、問題がかなりありそうなダイエット方法を実践している方もいたようです。恐ろしいですね…。

ただ、今回お話しするセミヤドリガは、そのように体内に寄生するのではなく、

セミの外側にくっついて、外部から寄生します。

そして、セミヤドリガは成虫が寄生するのではなく、白い繭のような姿をした幼虫が寄生します。

実際に、セミヤドリガの幼虫に寄生されている個体の画像がこちら↓

これを引きはがしてみると、以下のような姿をしています↓

パッと見可愛い姿をしていますが、セミにとってこの蛾の幼虫は厄介極まりない存在には違いありません。

いまだに謎の多いセミヤドリガ

このセミヤドリガは、その個体のほぼ100%

ヒグラシ」に寄生するといわれています。

ヒグラシとは、上の画像のような透明の羽を持ったセミで、夕方になると

カナカナカナ~と鳴く、日本でも広い地域でみられる代表的なセミの一種ですね。

なぜセミヤドリガの幼虫はこのヒグラシにばかり寄生するのかというのは、実はよくわかっていないのですが、ヒグラシの前胸の構造がその寄生に適しているためであるなどの意見があります。

ただ、その生態については現在も謎が多く、ヒグラシの中でも雌に寄生する場合が多いこともわかっていますが、その理由も明らかにされていません。

ちなみに、雌への寄生が多いということから、その鳴き声を頼りに宿主を探していることではないということがわかります。

というのも、

セミは基本的にオスしか鳴かないためです

セミを捕まえたことがある方ならわかると思いますが、雌のセミは本当に捕まえても全く騒ぎません。

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セミヤドリガは雌ばかり

セミヤドリガはいまだにその生態の多くが謎に包まれているという非常に興味深い生き物なのですが、

この蛾は、確認される成体の

ほとんどが雌であるということがわかっています。

雄の個体も確認されているようですが、それは雌の個体に比べるとはるかに少ないんだとか。

なので、セミヤドリガは雄の個体と巡り合う確率が低いと想定され、どうやって子孫を残しているのかと疑問に思われますが、

実は、このセミヤドリガは

単為生殖」を行うということが確認されています。

この単為生殖とは、自然界においていくつかの生物において確認されている繁栄方法で、雌の個体が、雄との交尾無しに体内で新しい個体となる卵を作りだしてしまうことを言います。

例えば、ハチやアリはこのような単為生殖と有性生殖とを使い分けますし、アブラムシなんかも単為生殖で子孫を増やします。

しかも、アブラムシの場合は、

単為生殖の場合は雌だけを生むこともわかっています。

つまり、今回お話ししているセミヤドリガも、おそらく基本は単為生殖だけで雌の個体を多く残していて、雄と出会い交尾を行うことができた個体だけが、雄の子孫も残しているのではないかと想定されます。

セミヤドリガに寄生されたヒグラシ

先ほど、セミヤドリガに寄生されたヒグラシの画像を紹介しましたが、

セミヤドリガに寄生されたヒグラシから、そのセミヤドリガの幼虫を取り外す貴重な映像がありましたので、最後にそちらを紹介させていただきます。

このセミヤドリガの幼虫は、セミの体液を吸って成長しますが、

十分に養分を蓄えると、セミから離脱し、繭を作って、その中で蛾の姿へ変化します。

それにしても、その進化の過程でいつセミに寄生する方法を思いついたのか、本当に不思議な生態の生き物ですね。

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