この地球上では最初海の中で生命が誕生しましたが、それらの生物はその後多様な進化を遂げ、
今から約4億4370万年前~4億1600万年の間の、
「シルル紀」
という地質時代に、
その内の一部の動物や、植物がついに陸上へと本格的に上陸し始めました。
その後、長い時間をかけて生物や植物はまた進化を遂げ、
今から約3億年前の「石炭紀」という時代には、その地球上には巨大な昆虫が多数存在していたことが分かっています。
その中でも特に有名なのが、トンボのような生物であったとされる
「メガネウラ」というもの。
このメガネウラは、翼を広げるとそのサイズは
70cm以上もあったとされ、
今のトンボが約10cmなのと比較すると、実に巨大なサイズであったことがわかります。
他にも、「アプソロブラッティナ」という史上最大のゴキブリも、この時代に、既にほぼ今のような姿のまま存在していたとされています。
ただ、そのサイズは約50cm。現在生きているものとは比べ物にならないくらい巨大です。
では、なぜこの時代に生きていた古代の昆虫たちはこれほどまでに巨大化したのかというと、その1つの理由として挙げられているのが、
昆虫が巨大化した時代は、酸素濃度が今よりも濃かったから
というもの。
では、果たしてこれは本当なのでしょうか?
昆虫の巨大化と古代の酸素濃度の関係
昆虫が巨大化した時代と、酸素濃度が関係づけられるのには、ある理由があります。
というのも、今の時代は空気中の酸素濃度は全体の約21%程度であるといわれていますが、
巨大な昆虫がいた古代の時期、その酸素濃度は今より1.5倍も多い約35%を占めていたと考えられているのです。
しかも、
実はその前後の時代は逆に空気中の酸素濃度は15%程度と低かった
と考えられれていることから、その酸素濃度が高かった時代と、昆虫の巨大化した時期がちょうど重なるために、酸素濃度による巨大化説が浮上したのです。
そして、そこでまず理由として挙げられたのが、
昆虫が巨大化したのは、酸素濃度が濃かったことにより、巨大な体にも十分にエネルギーを供給することができたためである
というもの。
酸素がもしも少なければ大きな体の隅々までエネルギーを供給するための酸素を吸収できませんが、それが十分にあるため、生物は問題なく巨大化を遂げることができたのだというのです。
しかし、最近では、それとはまったく真逆のような説も浮上しています。
それが、
高い酸素濃度は従来のサイズにとっては有害なものであるため、古代の昆虫はその影響を相対的に少なくするために巨大化を遂げたのだ、
というもの。
これはどういうことかというと、実は酸素はす全ての生物にとって必要不可欠な存在ですが、酸素濃度が高くなることは、体に悪影響を及ぼす活性酸素の割合も増えることになり、結果的に生態に悪影響を与えることになることもわかっているのです。
特に、トンボのような生物は幼虫の時にはその摂取量の調節が苦手であったとされ、その影響を減らすために巨大化を遂げたのだというのです。
そして、このどちらが正しいのかということは、いまだによくわかっていません。
しかし、おそらく古代の昆虫の巨大化は、
その酸素濃度だけで決まっていたわけではありません。
メガネウラは空の覇者だった
生物の進化というのは実に多種多様であり、実は巨大な昆虫がいた時代には、
そのすべてが巨大だったわけではありません。
実際、古代のトンボというとメガネウラばかりが注目されてしまいますが、その仲間の中には今のような小さいサイズのトンボもいたのです。
そして、結果的にはメガネウラのような巨大な生物たちが絶滅していくことになります。この決定的な理由は定かではないものの、エサの不足や、その後訪れる地上の90%以上の生物が死んだ大量絶滅によって、それら巨大な昆虫の歴史はほとんど終止符を打たれることになったようです。
しかし、メガネウラが最も繁栄した時代には、空の覇者はまさしくそのメガネウラでした。なぜなら、この時代にはプテラノドンのような恐竜もいませんし、鷲や鷹のような大型の鳥もいなかったからです。
実は、恐竜が登場したのはこれら古代の大型の昆虫がいたころよりもずっと後であり、鳥類はその恐竜の子孫が進化したものなので、もっともっと後です。
そのため、メガネウラはその目立つ巨大な体で飛んでいたとしても、何かに標的にされることはありませんでした。また、エサも豊富にあったとされるため、巨大化しても問題なく生きることができたのです。
また地上に存在する他の巨大な昆虫たちは、同じく陸地に存在し、進化を続けていた両生類の貴重な食糧になったとされています。このような大きな体はよく目立つので、見つけやすくて捕まえやすい非常にありがたい食料だったのかもしれません。
また、確かに古代には巨大化した昆虫が沢山存在していましたが、世界を探してみれが現在でも巨大化した昆虫は存在します。
世界最大のコオロギ「ウェータ」は、日本で見られるものとはけた違いに大きく、ニュージーランドに生息しています。
巨大コオロギ WETA(ウェータ)
世界最大のコオロギ。元パークレンジャーのマーク・モフェットに発見された子どもを孕んだメスは、体長10センチ以上、体重70グラムもあったという。 pic.twitter.com/XlKURJdMqk— 巨大な画像集☆ (@kyodai_gazou) 2018年6月7日
その後起きた3度の大量絶滅
メガネウラのような巨大な昆虫は、今から2億5000万年ほど前に起きた
史上最大の大量絶滅
によってほぼ完ぺきにその姿を消すことになります。
メガネウラはもっと前に絶滅していたと考えられていますが、あの有名な巨大節足動物である
「三葉虫」はこのイベントで完全に絶滅することになったようです。
この時にいったい何が起きたのか、現時点で有力な説とされているのが、
大規模な火山活動です。
その火山活動によって噴出したガスと酸素が結びつき、
地上の酸素濃度はいったん急激に低くなることになります。
そのため、もし巨大な昆虫が高い酸素濃度をあてにして進化したものであるならば、ここで確実に死ぬことになったでしょう。
そして、その火山活動によって生じた大量の二酸化炭素による温室効果による気候の急激な変動もあり、この影響から地上の90%の生物が死んでしまったといわれています。
そして、今から2億年前にも70%の生物が死んでしまう大量絶滅があり、
今から約6600万年前には、おそらく最もよく知られている
直径10kmの隕石の衝突による大量絶滅がありました。
この隕石の衝突は半径1000km以内の生物を一瞬にして死滅させる非常に強力な衝撃波を生み、地上の約80%の生物が死んでしまったといわれています。
ここで大型の恐竜が完全にいなくなりました。
しかし、その隕石の衝撃にも何とか生き残ることができた小型の動物の一種が、今の我々のような哺乳類に進化したと考えられています。なので、もしも隕石が落ちる場所が違う場所だったとしたら、もしかすると今日私たちはここにいなかったかもしれません。
もしかすると、今後また生物は大量絶滅を迎える日が来るのかもしれませんが、その時果たして我々人間は生き残ることができるのでしょうか…?
それでは今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました!(^^)
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