この世界には様々な生物達がいますが、
それらは皆
「細胞」
を基本単位としています。
一方、しばしば私たちの感染症の原因となる
「ウイルス」と呼ばれる存在は、
その遺伝情報を「カプシド」と呼ばれるたんぱく質の膜で覆っているだけの存在なので、
実は生物の最小単位が細胞であると考えると、ウイルスは生物ではないということになります。
このように、実はウイルスも含めて考えると、「動くもの」が皆細胞を持っているわけではないのですね。
ここで、まず
生き物のようなものは、
- 「細胞を持つもの」
- 「細胞を持たないもの」
とに分類されます。
そして、ここで細胞を持つとされ、いわゆる一般的に生物であると定義されるものは、
- 真正細菌
- 古細菌
- 真核生物
という3つに大別することができ、
これを
「3ドメイン説」
と言います。
我々人間は、このうち真核生物に分類されます。他の動物や植物もみな真核生物です。
そして真核生物とは、いわば細胞の中に
「核」という部屋を持っているという意味です。
我々は細胞1個1個の中にその核という部屋を持っており、その中に23対の染色体を保存しています。
そして、その染色体を紐解いていくと、それがDNAとなるのです。
一方、真正細菌と古細菌は、細胞から成り立っているものの、
その核を持っていません。
なので、真正細菌と古細菌をまとめて
「原核生物」と呼び、
この原核生物は、我々人間のような
「真核生物」と対比される存在なのですが、
3ドメイン説によれば、真正細菌と古細菌は全くの別物なので、
原核生物と真核生物という2つの分類に分けるだけでは、細胞を持つ生物を分けるには不十分であるとされ、現在は3ドメイン説が主流の分類方法となっています。
では、真正細菌と古細菌という2つの分類には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
3ドメイン説にも触れながら、例をあげて解説します。
この世の生物はどのように分化したのか?生物の分類を決める「3ドメイン説」について解説!
真正細菌も、古細菌も、そして我々真核生物も、元をたどれば同じ祖先から分離していったと考えられています。
そのイメージは、以下の画像を参考にしてください。
まず、我々のおおもとの共通祖先は、今から数十億年以上も前に、
真正細菌と古細菌のグループに分化しました。
そして、その後間もなくして、古細菌の中から核を持つものが現れ、
古細菌と真核生物のグループに分化し、それぞれが違う進化を遂げたのです。
つまり、我々人類にとっては、古細菌の方がより身近な存在ということになるのですが、実際には真正細菌と別れたのも、古細菌と別れたのも、あまりに昔のことなので、それほど我々が古細菌の方により近い、というほどでもありません。
ちなみに、この分化がいつ起こったのかというのは、様々な説があり、いまだに明らかにはなっていません。ただ、細胞を持つ生物は今から約38億年前に誕生し、我々の起源である最初の真核生物は、約20億年ほど前に誕生したと考えられています。
そして、その真核生物の中から、
多細胞生物が誕生し、それが我々のような大きな生物に成長していきました。
さて、では実際に真正細菌と古細菌には、どのような違いがあるのかを例を挙げて解説します。
真正細菌と古細菌の違いとは?例を挙げて解説!
↑真正細菌である大腸菌の画像↑
一般的に細菌と聞くと、感染症の原因になるものを想像してしまいますが、
実は、こちらは真正細菌の方であり、
古細菌は基本的には感染症の原因にはなりません。
2015年に古細菌由来の感染症が発生したというニュースが報じられたのですが、実はこれは世界初のことで、非常に珍しいことなのです。
ちなみに、お腹の中には大腸菌と呼ばれるものがいますが、こちらも真正細菌の一種。
さらに、私たちの体の中には、その真正細菌が数万種類もいて、私たちはそういった真正細菌と常に共生しています。
ちなみに、身近に存在する真正細菌にはどのようなものがいるか例を挙げると、
肺炎球菌、連鎖球菌、結核菌、ビフィズス菌、納豆菌
などがいます。実際には例を挙げればきりがないほど沢山います。
では、一方古細菌はというと、
分かりやす例でいえば、
好塩菌、好熱菌、好酸菌、好アルカリ菌
など、極限環境を好むような微生物は、この古細菌であるとして知られています。
例えば、現時点で最も高熱に耐えることができる微生物は
メタノピュルス・カンドレリ
という古細菌であり、種類によっては122℃という超高温でさえ増殖が可能なものもいます。よく、熱い蒸気が噴き出す場所を好んで住んでいるものは、その多くが古細菌なのです。
では、そういった古細菌は普段は身近なところにはいないのかというと、そういうわけでもなく、実は私たちの体の中にもいて、非常に密接な関係を築いています。
例えば、その存在を感じることができるのが、
なんと、「おなら」です。
このおならにはメタンガスが含まれていますが、実はこれはメタン菌とも呼ばれる古細菌が作り出しているのです。
つまり、私たちの大腸の中には、真正細菌と古細菌の両方が住んでいます。
真核生物の進化
私たち人間やその他の動物、または植物など複数の細胞から成る生物は真核生物ですが、先ほど申し上げましたように、それらは約20億年ほど前に古細菌と別れて登場したと考えられています。
そして、その後今から約10億年ほど前ごろには多細胞生物が登場し、いよいよ大きく成長する生き物が登場し始めました。
しかし、この時まだ生物は海の中にいます。
そしてその中から、ついに陸地にその生活圏を移すものが現れ始めました。これが、今から5億年ほど前のことです。最初は植物が陸地に広がり、それに続いて海の中を泳いでいた微生物のようなものが陸地にあがりました。
その後、それらの生物はさらに多様な進化を遂げ、今から2億3000万年ほど前には、ついに恐竜が登場し、地上を支配しました。
しかし、その後今から約6600万年ほど前に、直径10Kmにもなる超巨大隕石が地球に激突し、その恐竜のほとんどは息絶えてしまいました。その衝撃はすさまじく、半径1000Km以内の生物は一瞬で死に、実に地球上の80%の生物が死んだと考えられています。
しかし、実はこの恐竜の仲間はすべて死んでしまったわけではなく、鳥類として生き残っていたことが割と最近になってわかりました。
詳しくはこちら!⇒鳥類と恐竜の共通点「気嚢」について解説!
また、この時その隕石の襲来から生き残ったネズミのような生物は、そののちにまたしても多様な進化を遂げ、様々な哺乳類へと進化していきました。
そして、その一部は再び海へと戻り、それがクジラへと進化しました。イルカやシャチもクジラの仲間で、もともとその祖先は陸地を歩いていた4足歩行の哺乳類だったのです。
そして、その哺乳類の中から猿が生まれ、最終的に、私たち人間の祖先は、今から約600万年ほど前に、チンパンジーとの共通祖先と別れ、ついに「ヒト属」の生物になりました。
しかし、その中でも様々な競争があり、ついに生き残った我々は
ホモ・サピエンス・サピエンス
という種の生物です。
ホモ・サピエンスにはもう一種
ホモ・サピエンス・イルダトゥ
というものもいたのですが、こちらは今から約16万年ほど前に絶滅してしまいました。
このように、その進化の系図をたどってみると、本当に長い道のりをかけて進化してきたんだなということがよくわかりますね。
恐竜は今は化石しか見ることはできませんが、本当にあの巨大な生物が地上を歩き回っていた時代があったというのですから、実際想像するとかなり怖いですね(^-^;
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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