【※解説※】哺乳類の定義とその漢字の意味とは?

私たち人間は哺乳類であり、

しばしばペットとして飼育される犬や猫、

さらにはハムスターのような動物も、みんな哺乳類ですよね?

そのような哺乳類の定義として、共通していると思われる特徴に

子供をお腹の中で育ててから産む、という

胎生」が挙げられますが、

実は、哺乳類に含まれる「カモノハシ」という動物は、

卵を産む哺乳類として知られ、

そうすると、

胎生は哺乳類の絶対条件や定義ではない

ということになってしまいます。(カモノハシ1種と、ハリモグラ4種が現在卵を産む哺乳類として知られています。)

では、いったい哺乳類とはどのような定義の枠の中にいる動物のことを言うのでしょうか?

また、「哺乳類」という漢字にはどのような意味が込められているのか?

ということについても詳しく解説いたします。

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目次

哺乳類の誕生の歴史

まず、そもそもこの地球上で「哺乳類」と呼べる生物はいつ誕生したのかというと、

これまでに確認されている中で最古の哺乳類は

「アデロバシレウス」

という生物であり、

これは今から約2億2500万年ほど前に誕生しました。

ちなみに、哺乳類はそれよりもっと前の3億年以前にまでさかのぼると

両生類」でしたが(両生類の誕生は約3億6000万年前)、

その後この両生類の中から「有羊膜類」という分類が誕生し、

さらにその有羊膜類の中から、今から約3億年前に

  • 竜弓類
  • 単弓類

という2つのグループが誕生して、

その単弓類の中から、哺乳類が誕生しました。

一方竜弓類はその後、恐竜や、今の爬虫類や鳥類へと分化していきました。

なのでこの辺りを見てみると

どうやら哺乳類の定義は、爬虫類や鳥類との違いに隠されているようだ

と、なんとなく予想がつきます。

では、哺乳類を哺乳類たらしめる定義とは一体何なのでしょうか?

哺乳類の定義とは?

では、哺乳類とは一体どのような生物のことを言うのかというと、

広義には

脊椎動物の中で最も高等で温血であり、通常は胎生で生まれ、母乳で育つ。

さらに肺で呼吸を行い、皮膚に毛を持つ生物である

と定義されています。

では、これを1つずつ整理しましょう。

まず、脊椎動物とは一般的に「背骨」と呼ばれる脊椎を持つ生物のことを言い、

魚類、鳥類、両生類、爬虫類、哺乳類の大きく5類から成り立っています。

温血とはいわゆる「恒温動物」のことであり、これは体温を一定に保つことができる動物のことを言い、哺乳類や鳥類がこれに該当します。

つまり、脊椎動物で恒温動物であるのは哺乳類と鳥類だけです。

そして次に挙げられるのが、哺乳類は通常胎生で生まれ、それ以外は卵生(卵を産む)であるのが一般的であるということ。鳥類に限れば、現在卵生以外を選択している鳥類はいません。哺乳類では先ほどカモノハシやハリモグラが卵生であるという話を出しましたが、あくまでこれは例外というわけですね。

また、母乳で育つという部分で考えれば、明らかに鳥類はこれに該当しないので、ここまでの条件だけで哺乳類が唯一の存在になります。卵生で子供を産むカモノハシも、子供を育てる時にはやはり母乳を飲ませるので、そういう部分ではやはり哺乳類的であると言えます。ただ、カモノハシには乳首がないため、乳腺から汗のように染みだす母乳を子供に飲ませて育てます。

ちなみに、カモノハシがこのように哺乳類の中でも特異的な特徴を持っているのは、カモノハシが哺乳類の登場のかなり初期において分岐し、独自の進化を遂げてきたものの生き残りであるからと考えられています。

そして特に哺乳類と鳥類とで大きく異なるのが、

その「呼吸システム」です。

どちらも肺を持つという部分では同じですが、

まず哺乳類は肺の下に「横隔膜」という筋肉を持ち、それを動かすことで肺の動きを調節し、空気を吸ったり吐いたりしています。

一方鳥類は肺の前後に「気嚢」という袋を持ち、空気を吸うときも吐くときも肺に新鮮な空気が送られるようになっていて、これは横隔膜システムよりも高効率で酸素を取り込むことができる呼吸システムであることが分かっています。

そのため、鳥類の中には平然とエベレストを超えていくものもいますが、酸素濃度が低い標高が高い場所を空を飛ぶという激しい運動をしながら超えていくというのは、横隔膜システムでは困難であり、事実人間が走りながらエベレスト山頂に向かったら酸欠を起こしてしまうでしょう。

また、毛を持つという部分では鳥類と哺乳類は似ているように思えますが、

「毛」をはやしているのは哺乳類であり、

鳥類がはやしているのは「羽毛」です。

羽毛は中心の軸から枝分かれした細い毛が無数に生えている構造であり、哺乳類がはやしている毛とは全く異なるものになります。

以上、終始哺乳類と鳥類とを比較して説明しましたが、鳥類と哺乳類は恒温動物であるという点と、哺乳類の中にも一部卵生がいるという点で確かに共通点はあるものの、それ以外の部分はよく見ると非常に大きな違いがいくつもあります。

そして、それ以外の魚類、両生類、爬虫類は明らかに哺乳類とは異なります。なので、それらが持つ特徴を総合的に判断したうえで、その種の分類が決まります。

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「哺乳類」の漢字の意味とは?

普段、当たり前のように「哺乳類」という言葉が使われていますが、この漢字には一体どのような意味があるのかを今までよく考えたことが無かったという方も多いと思います。

ただ、その文字からなんとなくの意味は分かりますが、

まず、哺乳類という日本語が用いられる元となった言葉は「Mammalia」という言葉であり、

これは1758年に、分類学の父と呼ばれる「カール・フォン・リンネ」によって初めて用いられました。

Mammaliaには、「乳房の」という意味があります。

そして、「哺乳」とは、まさに乳を飲ませて子供を育てることを言い、これは先ほど、哺乳類に唯一見られる特徴であるとも言いましたね。

つまり、ここまでを改めてまとめると、

哺乳類の定義とは、何よりも

母親が子供を母乳で育てる生物である

ということがわかります。

まとめ

今回の記事では、哺乳類の定義や、哺乳類という言葉の意味についてまとめました。

ちなみに、海の中にもクジラやイルカなどの哺乳類がいますが、これらもやはり子供を母乳で育てます。

また、クジラやイルカの祖先はもともと陸上で4足歩行をしていた肉食哺乳類であったと考えられていますが、それが約6000万年ほど前に生活の拠点を海に移し、独自の進化を遂げたと考えられています。

最古の哺乳類は2億年以上前に登場していますから、そう考えるとわりと最近のことですね。

また、約6000万年の進化だけであれだけ海に適応した姿に変化できるわけなので、哺乳類誕生初期に分化したカモノハシが卵を産むというのは、それほど驚くべきことではないのかもしれません、

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)!

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