※蚊を絶滅させる方法とは?生態系に影響はある?

特に夏が近づいてくると、

どこからともなく現れる厄介な存在

蚊(か)

どこかの窓が開いていたのか、部屋にいても急に顔の目の前に現れて、顔を横に震わせた経験がある方もいるでしょう。

また、夜寝ていたら耳元に蚊が近づいてきて

……プア~~~ん

という嫌な音で目を覚ましたことがある方も少なくないのではないでしょうか?

蚊は二酸化炭素のわずかな濃度変化を感知する能力を持ち、温度の変化も感知するので、しばしば顔の近くに現れます。

人が気持ちよく寝ているのに、急にイラっとさせてくれる厄介な存在、それが「蚊」です。

そんな蚊なんて滅んでしまえば良いとさえ思いますが、

では、実際に蚊を絶滅させる方法としてはどのようなものが挙げられるのでしょうか?

また、もしもこの世から人の血を吸う蚊が絶滅した場合、それによって生態系に影響は出るのでしょうか?

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目次

蚊を絶滅させる方法とは?

蚊を絶滅させる方法とは言ったものの、実際、この地球上から蚊を絶滅させる方法はあるのでしょうか?

これについて、薄々気が付いている方も多いかもしれませんが、

これは非常に難しいことで、現実的に考えるとなかなか不可能に近いことと言えそうです。

そもそも、蚊はあまりにも数が多すぎるので、これを短時間で絶滅させようとすることは難しいでしょう。

地面を歩いている蟻でさえ、ある地域ではその重量がその地域に住む哺乳類よりも重くなるといわれていますが、

蟻はまだ地面を歩いている分退治するのは比較的簡単です。

しかし、蚊は何より空を飛んでいますし、

特定の「巣」を持っているわけではありませんから、何か特殊な方法で退治しなくてはなりません。

しかし、全世界から蚊を絶滅させるとなると大変ですが、

ある特定の地域に限定するなら、

そこに住む蚊を絶滅に近いレベルにまで退治することは可能です。

そして、実はこういった研究は、今現在も数多くの団体が行っています。

それは、その研究団体に所属する研究者らが、自分の血を吸われて腹をたてたからではありません。

皆さんもご存知だと思いますが、蚊は現在も、

人々の命を脅かす「感染症」を媒介する恐れがあるという意味でも、非常に厄介な存在だからなんです。

蚊によって媒介される感染症とは?

によって媒介される感染症にはいくつかあり、代表的なものとしては

  • ウエストナイル熱
  • ジカウイルス感染症
  • デング熱
  • チクングニア熱
  • マラリア
  • 日本脳炎

などが挙げられます。

実際にはもっと沢山あり、今挙げたものだけではありません。動物に感染するようなものもあります。

ただ、特に近年では「ジカ熱」とも呼ばれる

ジカウイルス感染症」が話題となったのを覚えていますでしょうか?

2016年にはブラジルでリオオリンピックが開催されましたが、まさにそのブラジルではこのジカ熱が流行していましたので、

この際に日本からそのオリンピックを見に行った方々が感染してしまったり、

そのウイルスを持った蚊が日本国内に持ち込まれてしまうのではないかということが心配されました。

また、2014年には海外渡航歴のない日本人の方が代々木公園で蚊に刺され、

デング熱」を発症したことから、その代々木公園にいるとされる蚊の一斉駆除が行われました。

幸いにもその感染拡大は最小限に抑えられましたが、今後、日本中で蚊による感染症の大規模な蔓延が起こる可能性は決して低くありません。

そして、例えばデング熱は感染すると死亡率が高いという訳ではありませんが、やはりこれによる死者も出ていますし、

何よりこのデング熱は、妊婦が感染するとその子供の脳の発育が不十分になり、

小頭症」になりやすいという特徴があることからも問題となりました。

そのため、感染症を減らすという意味で、現在その蚊の撲滅に向けた計画が勧められています。

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蚊を絶滅させる具体的な方法

蚊をある地域から絶滅させる方法にはいくつかありますが、今回はその中で現時点で非常に有効であると考えられている2つの方法を紹介します。

まず、前提として説明しておくと、血を吸う種類の蚊であっても、

血を吸うのは「雌」の蚊だけです。

雄は花の蜜などをなめて生活していますが、

雌の蚊は産卵のためにより養分が必要になるため、人間やその他の動物の血を吸うのです。

遺伝子組み換えによる方法

遺伝子組み換え技術を利用し、致死性の遺伝子を精子に持つ雄の蚊を作り出す研究が現在蚊の絶滅のための1つの方法として行われています。

この雄の蚊は特殊な環境下でしか育てることができず、

これを幼虫から成虫にまで育てるためには、テトラサイクリン系に分類される抗生物質が必要になります。

そして、この特殊な雄の蚊を培養した後に、それを蚊による感染症が問題になる地域へ放つのです。

すると、その雄の蚊と交尾した雌の蚊が産卵した卵は、やはり自然の環境では成虫まで育つことのできない致死性の遺伝子を持っています。

さらに、雄の蚊も自然に放つとあまり長く生きずに死んでしまうため、結果としてその量を減らすことできるのです。

2012年には、この方法である地域の蚊の量が85%も減ったとして話題となりました。

ボルバキアを用いた方法

ボルバキア」という細菌を使った方法も挙げられますが、

実はこの方法は蚊を絶滅させる方法ではなく、感染症の拡大を防ぐために考案された方法です。

具体的には、ボルバキアを蚊に感染させると、

その原因は完全には解明されていないものの、その蚊の体内でデング熱の原因となる

「デングウイルス」の増殖が抑えられることが確認されたのです。

ウイルスの増殖に必要な細胞成分がボルバキアと競合する可能性や、

細菌感染によって蚊の免疫が強化されることなどがその理由の候補として挙げられています。

そのため、この方法では蚊の量を劇的に減らすというわけではないのですが、

感染症の被害を防ぐという意味では非常に有効で、

ボルバキアは自然界に存在するものであるため、遺伝子組み換えより、その安全性や費用の面で大きなメリットがあると研究者らは述べています。

蚊の絶滅による生態系への影響とは?

蚊は人の血を吸ってかゆみを残しますし、感染症まで媒介するということもあって、まさに害しかないような存在ですが、

もしかするとその蚊を絶滅させてしまうと、生態系に影響が生じるかもしれないというのはなんとなく疑問ですよね?

では、実際にこれによって生態系に影響が出るのかどうかというと、

その結論としては、

間違いなく多少の影響は出るようです。

これはなぜかというと、まず1つ目の理由として挙げられるのは、

蚊はその生態系の中で、被捕食者としての重要な役割を果たしているためです。

蚊に限らず、小さな生物は自然界においてまさにその被捕食者としての役割を担っています。

つまり、蚊より少し大きな生物にとって重要な栄養源になっているということです。

空を飛んでいるときにはトンボやクモなどの生物のエサになりますし、幼虫の時、つまりボウフラの時には水中にいる昆虫や小魚のエサになっています。

我々は蚊を食べませんのでその重要性があまりピンときませんが、

もしもこの蚊が絶滅したら、そういった生物たちにとってはまさに死活問題でしょう。

つまり、蚊を減らすということは、生態系においてより強者に存在する生物の量も減らしてしまう可能性を秘めています。

また、蚊の幼虫であるボウフラは、綺麗な川ではなく、汚れた水たまりのような場所にいるイメージがあると思いますが、

実はそのボウフラは、そういった汚れを食べて、水を綺麗にする役割も担っています。

つまり、人ではできないような細かい掃除作業をボウフラが行い、さらにそれを自分の血肉にしてエサになるという役割まで担っているのです。

その1匹1匹の働きは大したこともないのかもしれませんが、

それが世界中のいたるところで沢山の蚊の幼虫が行っているというのですから、これが生態系の維持に与えている影響は確かに大きそうですよね。

こういうところまで考えていくと、少しくらい血を分けてあげるのも良いかなとさえ思ってしまいますね(笑)

とはいえ、感染症を蔓延させてしまうという意味ではやはり怖い存在には違いありませんし、

実際に目の前にいたら退治してしまうと思いますが、

少なくとも1匹残らず絶滅させてしまうというのは、その後起こる可能性を考えると逆に怖いことと言えるかもしれません。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)

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