猿に限らず、ほとんど全ての生物はもともと同じ祖先にたどり着くと考えられていますが、
そのうち、海に生活圏を移した生物もいれば、草原に住んだり、木の上に住んだりなど、それぞれがそれぞれに違った進化を遂げてきました。
あの海を泳いでいるクジラの仲間も、もともとは陸に住んでいた、
4足歩行の哺乳類の仲間であったことは有名な話ですよね。
ちなみに、イルカもシャチもクジラの仲間であり、
海の中の生態系の頂点は、ホオジロザメではなくそのシャチです。
シャチは、しばしばホオジロザメさえも餌にします。
詳しくはこちら!⇒【格が違う】海の最強生物は「サメ」ではなく圧倒的に「シャチ」!
そして、陸地にも様々な哺乳類が存在していますが、そのうち森の中で生活していた哺乳類の一部は猿となり、それがまた様々な種類に分化していきました。
我々もその猿の仲間であり、
現在世界中には、計約220種類の猿の仲間が存在しています。
そのうち、人間との分化するのが比較的遅く、生物学的に人間に近いとされる猿たちのことを、
「類人猿」
と呼びます。
具体的には、類人猿とは
ヒトに似た形態を持つ大型と中型の霊長類を指す通称名
であり、生物学的に正式な分類名称ではありませんが、便利なのでしばしば使われています。
では、この類人猿にはいったいどのような種類のものが含まれ、我々はどのような進化を遂げてきたのでしょうか?
そして、その中で最も人間に近い猿は果たしてどの種類のものなのでしょうか?
日本にいる猿の種類:類人猿はいるの?
世界には計約220種類の猿がいると言いましたが、
日本で野生で見られる猿は、
「ニホンザル」のただ一種のみです。
ちなみに、ニホンザルは日本国内の多くの山林地域で見られますが、
沖縄と北海道には生息していません。
北海道はあれだけ広く、自然も多いので、猿がいないというのは意外に感じる方も多いと思いますが、もともと猿が生息しておらず、またその厳しい寒さからも住み着くことはなかったようです。
ちなみに、このニホンザルは、
類人猿には分類されません。
私たち人間の祖先も、ニホンザルの祖先も、もともとは同じ祖先から分化したことは間違いないのですが、その分化が早かったために、それほど人間に近い猿というわけではないのです。
では、人間に近い猿、すなわち類人猿はどのような猿のことを言うのかというと、
これは、一般的には
「ヒト上科」に分類される猿たちのことを言い、
ヒト上科は、
- 「ヒト科」
- 「テナガザル科」
の2種で構成されています。
一方「ニホンザル」は
「オナガザル上科」の中の
「オナガザル科」に分類される猿の仲間です。
ただ、オナガザル科であるにも関わらず、
実はニホンザルには長い尻尾が無いのがその特徴の1つです。
これが非常にややこしいところではありますが、実はニホンザルももともとは長い尻尾を持っていたと考えられています。
ただ、ジャングルが生い茂り、年中熱い熱帯地域に住む猿たちはいまだにその長い尻尾を巧みに操っていますが、日本のような時には寒さが厳しくなる国では、体の表面積を少しでも減らすために尻尾が短くなり、その生活圏を樹の上だけではなく、地上にまで広げ、独特な進化を遂げてきたと考えられています。
類人猿の種類と進化について解説!最も人間に近い猿とは?
さて、先ほど類人猿とはヒト科に属する動物であるといいましたが、
では、人間も含め、類人猿やその他の種類の猿たちは今までどのような進化を遂げてきたのでしょうか?
その進化における系統図は、以下のようになっています。
この他にも、クモザル科に属する猿などもいますが、クモザルは今から約4000万年ほど前にその祖先はヒトと分化したと考えられています。
ちなみに、上では「属」でその違いを表わしていますが、
生物は、
「界⇒門⇒鋼⇒目⇒科⇒属⇒種」
とその種を分類していくことができ、
さらにその間にも、
「上門」
「上鋼」
「上科」
などの細かいくくりが存在しています。
ただ、その細かいくくりを省くとすると、
例えば人間は、
動物界
⇒脊索動物門
⇒哺乳鋼
⇒霊長目
⇒ヒト科
⇒ヒト属
⇒ヒト(種の名前)であり、
ゴリラは、
動物界
⇒脊索動物門
⇒哺乳鋼
⇒霊長目
⇒ヒト科
⇒ゴリラ属
⇒ゴリラ(種の名前)となり、
「属」で別れます。
ただ、これをそこまで深く考えなくても良いのですが、
つまり、その生物の進化をたどってみた結果、最も人間に近い猿は、
チンパンジー
であるということがわかりますよね?
人間はその約600万年前にチンパンジーと人間の共通祖先から別れ、
火の使い方を覚え、食べ物を調理することを覚えた結果、豊富な栄養素を摂れるようになったことが、脳の飛躍的な進化の一因になったと考えられています。
ただ、チンパンジーの仲間の中にも、すでに道具を使うことを覚え始めた種類のものがいるため、
もしかすると、いずれ火の起こし方を覚えるチンパンジーの仲間が登場するかもしれません。
非常に高い知能を持つ類人猿「ボノボ」
先ほどの図を見ていただければわかりますように、我々「ヒト」と最も近い存在と言えるのは、チンパンジー属に属する類人猿なのですが、
実はこのチンパンジー属は
- チンパンジー
- ボノボ
という2種類によって構成されています。
このボノボをご存知ない方もいるかもしれませんが、実はボノボは一般的なチンパンジーよりも非常に知能が高く、さらに穏やかな性格で、愛情深い動物として知られています。
そして、過去には「カンジ」と名付けられたボノボがいたのですが、そのカンジ君はなんと英語を1000単語以上も覚えることができ、さらに文章さえも理解することができました。
また、靴紐をほどいたり、木の枝を集め、ライターやマッチを使って火をつけることもできます。それは、まさに人間が中に入っているかのように非常に賢いのです。
以下の動画は、そのカンジ君が木の枝を集め、火をつけ、マシュマロをあぶって食べている様子です。カンジ君は飼育員さんとキャンプファイヤーをすることが大好きなのだといいます。
このカンジ君は現在はアイオワ州にあるボノボ保護施設で暮らしており、今年で38歳を迎えます。
自然に生活しているボノボはここまで知性を発達させているわけではありませんが、もしかすると後数万年も経てば、かなり複雑な道具を操る動物へと進化しているかもしれません。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)!
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