もうあとわずか2年後の2020年には東京オリンピックの開催を控えている日本ですが、
そんな私たちの国は現在、
首都圏直下を震源とする大規模な地震が発生する危険性を抱えています。
これが現在
「首都直下型地震」と呼ばれているものですが、
もしこの地震が発生してしまった場合、建物の崩壊、火災などの被害によって、
最大で23000人もの方が命を落とすと想定されています。
この数は、阪神・淡路大震災の3.5倍にもなる驚異的な数値です。
さらに内閣府の発表によると、この地震は今後30年以内に70%の確率で起こると想定されており、
その他地震に詳しい専門家の中には、2020年までに来る可能性がほぼ100%であると指摘する方もいます。
とはいえ、それはあくまで1つの意見でしかなく、来なければ来ないで良かったねで終わってしまう話なのですが、
重要なことは「何年以内」「何%」というような数値ではなく、
現在の日本はそれだけ高い可能性で近い将来巨大地震が発生する恐れがあり、
そういわれているのにはいくつかの根拠があるためなんです。
特に、先の2011年に宮城をはじめとする東北地方を襲った巨大地震は、
関東地域にいつ大きな地震を発生させてもおかしくないほどの歪みを残してしまいました。
そこで今回の記事では、なぜ近年首都直下型地震の危険性が指摘されているのか、その原因についてまとめますとともに、
その地震が発生した際、東京都内で危ない地域と、安全な地域に関する情報についてみていきましょう。
首都直下型地震の原因とは?
2011年に発生した東日本大震災以降、首都直下型地震の可能性については度々話題として取り上げられてきましたが、
近年この地震への注目が高まっているのにはいくつかの理由があります。
その理由として1つ目に挙げられるのが、
そういった首都圏を襲う大地震というものが、これまでの歴史を振り返ってみた時に、実際に何度も起こっているからであるということです。
例えば
- 1894年、東京湾付近を震央とするマグニチュード7.0の
「明治東京地震」 - 1923年、神奈川県西部を震央とするマグニチュード7.9以上の
「大正関東地震」 - 1987年、千葉県東方沖を震央とするマグニチュード6.7の
「千葉県東方沖地震」
などなど。
これは主要なものになりますが、この間にもまたいくつかの大規模な首都直下型地震が起こっています。
ちなみに、よく耳にする首都直下型地震の首都とは
「首都圏」のことであり、
この首都圏は、東京都を含む周辺の地域、
つまり茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県らを含む南関東地域のことを意味しています。
ですので、首都直下型地震によって最も大きな震度を観測するのは、東京都とは限りません。
地震のタイプによっては、その周辺の県にも大きな被害が及ぶ可能性があります。
このように、これまでの日本の歴史を振り返ってみるとマグニチュード7クラスの巨大地震というものは繰り返し発生しており、
それを考慮すると、ここ数年から数十年の間に再び関東地域を巨大地震が襲う可能性というものは非常に高いのです。
また、首都直下型地震が起こる可能性が高い理由として2つ目に挙げられるのが、
2011年に発生した「東北太平洋沖地震」の影響によって、関東地域に巨大地震が起こる可能性があるような地盤の歪みが生じてしまったことです。
具体的には、2011年に発生した地震では、宮城県牡鹿半島が太平洋側に5メートルも移動したのに対し、
関東地方はわずか50cmの移動しか確認されていないため、この歪みを治すために今後また地殻変動が起こる可能性が極めて高いとされています。
首都直下型地震はいつ起こるのか?
首都直下型地震はこれまでの歴史上何度も発生しているものであり、近年ではその話題を耳にする機会も多くなりましたが、
結論として我々国民が知りたいのは、では実際にその巨大地震はいつ起こるのかというところですよね。
しかし、これについては、現時点の技術では「誰にもわからない」というのが現実です。
もったいつけてなんだそれは、と思われる方には申し訳ありませんが、
例えば、2016年の4月に熊本地方を襲い、熊本城の一部崩壊などを含む甚大な被害を出した地震は、
実はもともと、1%未満の確率でしか起こりえないと考えられていた地震だったのです。
また、2018年9月に北海道の石狩地方などを襲った巨大地震も、もともとその地域の断層による巨大地震発生率はほぼ0%とされていました。
すなわち、今の技術をもってしても、どこでどのような地震がいつ起きるかというのは、全くわからないに等しい状況なのです。
そして、特に関東地域はその地震の発生時期、および地域が予測しづらい環境にあり、
これには、関東地域の地殻構造が非常に複雑であるということが大きく関係しています。
そもそも地震というものにはいくつかのタイプがあり、
その主なものが、プレートと呼ばれる板同士の歪みによって生じる
「海溝型地震」と、
地下に存在する断層同士のずれによって生じる
「断層型地震」です。
しかし、関東地域は3枚のプレートが密集する複雑な構造になっており、
それに加えて断層同士のズレによる地震も考慮するとなると、ここからいつ地震が発生するのかを想定するのは非常に困難です。
さらに、それに加えて先の2011年の地震のようなことがあると、地下の動きに関するデータもまた大きく変化する可能性があります。
つまり、そういったことを総合的に評価したうえで、その発生時期を正確に予測するのは現時点では不可能に近いことなのです。
2011年には、震災以降にその地震を某研究チームが予測していたというニュースなどもありましたが、それもあくまで結果論。
関東周辺の地震が完全に予測できるようになるまでにはまだまだ時間がかかります。
だからこそ我々は、地震が起きた時にどのような行動をとるかということを想定した準備をしておくことが大切なのです。
地震はいつ起こるのかはわかりませんが、
「明日起きてもおかしくない」
今の日本はまさにそういう状況にあります。
そのため、何年以内に何%というような予測は、あくまで歴史を振り返った時の間隔から考えられる予測でしかありません。
首都直下型地震の際「危ない地域」と「安全な地域」はどこなのか?
首都直下型地震がもし今後発生した場合、
危ない地域と安全な地域はどこなのかということについても気になる方は多いと思います。
特に、関東地域に住んでいらっしゃる方は、自分の住んでいる場所が危ない地域なのか、安全な地域なのか確認しておきたいと考えるのは当然です。
しかし、先ほどの説明をご覧いただければわかりますように、
実際にはこれもまた「わからない」というのが現実。
地震の震源地となりやすい場所についてはいくつか想定される場所があるのですが、その場所も1つや2つではありません。
そのため、よく耳にする被害想定というものは、特に被害が大きくなるような場合の震源地、およびそれに伴う震度などを予測して算出しています。
ただ、実際にある場所で地震が起こった際に、その周辺でどのような揺れが生じることになるのかということについては、内閣府によって公開されているこちらの資料の7ページが参考になります。
ちなみに、現在内閣府は首都直下型地震が発生した場合、最大で死者は23000人に上るというような想定を発表していますが、
これは東京の主要な部分である23区域周辺で地震が発生してしまった場合の被害を想定しています。
この場合、建物の倒壊、サービスの低下になどによる被害額は、
およそ95兆円にも上ると見積もられています。
ちなみに、東日本大震災による被害総額は約16兆9000億円と見積もられており、
東京都という日本の中心が被害を受けた場合の被害がいかに甚大であるかということがよくわかります。
また、帰宅困難者は東京都だけで380万人~490万人発生するものと考えられており、
鉄道は1週間から最大で1ヶ月運行が停止される可能性もあります。
こうなってしまったら、もはや仕事どころではありませんし、
もし2020年より前にこのような地震が発生してしまった場合、東京オリンピックが中止になる可能性は極めて高いでしょう。
まとめ
今回の記事では、首都直下型地震の概要や、「危ない地域」と「安全な地域」に触れた話をまとめました。
首都直下型地震というと日本の中心である東京都ばかりが注目されてしまいますが、
その地震のタイプによっては、関東のどこにいてもそこが危ない地域になってしまう可能性があります。
もし実際に地震が発生してしまった場合、断水、公共交通機関の利用停止、生活用品の不足など、
東日本大震災の時に見られたような被害が再び起こることが考えられますので、関東圏に住む方はもしもの時のために備えをしておくことが重要です。