※17年ゼミと13年ゼミ?素数ゼミの謎について解説!

日本には亜種も含めると計36種類のセミがいるといわれていますが、

世界を見渡すと、なんとそのセミの仲間は

全部で3000種類近くいるといわれています。

非常に沢山いるセミの仲間ですが、そのそれぞれの持つ特徴もまた異なり、

北アメリカには、世界的に見ても非常に珍しい

素数ゼミ」と呼ばれるセミの仲間がいます。

この素数ゼミとは、

別名「17年ゼミ」や「13年ゼミ」とも呼ばれているもので、

例えば17年ゼミは、なんと17年間に1度という周期でしか地上に出てきません。

つまり、その17年ゼミがある地域で生まれたとして、その時に生まれた子供は、次に地上に出てくるのはピッタリ17年後なのです。不思議ですよね…!

そこで今回の記事では、その素数ゼミの謎について迫っていきたいと思います。

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目次

17年ゼミと13年ゼミの不思議!素数ゼミの謎に迫る!

↓以下の画像は「17年ゼミ」の一種の画像です。17年ゼミには、合計で3つの種類のものがいます。

17年ゼミと13年ゼミは、どちらも北アメリカに生息するセミの仲間ですが、

その生活圏は基本的にはかぶっていません。つまり、17年ゼミと13年ゼミが同時にみられる地域はほとんどないということですね。

また、17年ゼミも北アメリカでまるっきり17年ごとにしか見られないという訳ではなく、基本的にはほぼ毎年どこかの地域に限定してこの17年ゼミの集団が地中から出てきます。

しかし、その17年というあまりにも長い期間があいてしまうことから、本当にまるっきりそのセミが地上に出てこないこともあるといいます。本当に不思議な生物ですよね。

この素数ゼミの謎は長きにわたって研究者の注目を集めていましたが、

最近になって、

これらのセミがそのような特徴を身に着けた理由が徐々になってわかってきました。

結論から言うと、今生き残っているのはこの17年ゼミと13年ゼミだけですが、

実は過去には、

10年ゼミ12年ゼミ16年ゼミ

などなど、

様々な集団が存在していたと考えられています。

しかし、そういった種はその進化の過程で徐々に淘汰されていき、最終的に生き残ったのが、17年ゼミと13年ゼミという大きく分けると2つの集団だったというわけなんですね。

そして、何故そうなったのかというカギを、

その「素数」という不思議な数字が握っています。

17年ゼミと13年ゼミが生き残った理由

素数とは、簡単にいうと、

1とその数でしか割ることができない数

のことを言います。

例えば、

3は「1と3」でしか割ることができない数なので素数であり、

5は「1と5」でしか割ることができない数なので、これもまた素数です。

しかし、

4は「1と2と4」という3つの数で綺麗に割ることができるので、

これは素数ではありません。

そして、例えば1から50までの間の素数を順に並べていくとすると、

「2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47」

となります。ちなみに、1は素数に含まれません。

このような数を見てみると、その素数の中に、今回お話ししている素数ゼミが持つ周期性の、

13と17という数字が含まれていることがわかりますね。

では、なぜ今現存している素数ゼミは、その2つの周期に落ち着いたというと、

実はこれには、その13年と17年という周期にしておけば、

  • 似たような周期で発生するセミと出会い、その特殊性を失うことも極力避けることができる。

という理由があるからなんです。

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重要なのは「最小公倍数」

おそらく説明はいらないと思いますが、

最小公倍数とは、2つの数字があったときに、

その公倍数のうち最小の数のことを言います。

たとえば、

「5」と「8」

という2つの数字の倍数を見ていくと

5の倍数:5,10,15,20,25,30,35,40,45…
8の倍数:8,16,24,32,40,48…

となりますが、

この2つの「5」と「8」という数字は、40で初めてその倍数が同じになるのがわかり、

これを公倍数といい、

同時に、数ある公倍数(40,80,120,160…)の中で最も小さなものなので、これを最小公倍数といいます。

さて、これを踏まえた上で、先ほどの理由について説明していきます。

似たような周期で発生するセミと出会い、その特殊性を失うことを極力避けることができる。

ここでいう「特殊性」とは、もちろん例えばその17年ゼミが持つ、17年周期で生まれてくるという特徴のことです。

これは、そのセミが種を残すために身に着けた特殊性ですが、

もし誤って17年ゼミが「15年ゼミ」と子孫を残してしまったとすると、

その子供は17年おきに生まれる能力を失い、

16年ゼミとして生まれてしまうかもしれません

しかし、これは極力避けたいがために、最終的に近縁種のセミが落ち着いたのが、13年と17年だったのです。

例えば、15年から18年おきに生まれるセミがいたとすると、それぞれが出会う周期は全部で6通り考えられ、

  • 15年と16年の最小公倍数は240年
  • 15年と17年の最小公倍数は255年
  • 15年と18年の最小公倍数は90年
  • 16年と17年の最小公倍数は272年
  • 16年と18年の最小公倍数は144年
  • 17年と18年の最小公倍数は306年周期

となり、17年周期のセミは、ほかの周期のセミと非常に出会いにくいという特徴があることがわかります。

そして、このようなセミたちはその周期を繰り返すうちに、最終的に13と17という最小公倍数が大きくなる年数のものが生き残ることに成功したようです。

素数ゼミの特殊性は氷河期も関係していた?

実は、素数ゼミがなぜそれほど長い間土の中にもぐっているのかということには、氷河期の寒さが関係していたものと考えられています。

氷河期は今から約200万年前の出来事とされていますが、この寒さはセミたちにとって過酷なものであり、それがセミが長い間土の中に居ざるを得なかった理由の1つになったとされています。

しかし、その寒さにも負けずに子孫は確実に残さなければならないため、

そこでセミたちが身に着けたのが、

ある周期で、その集団を大量発生させるという方法だったのです。

毎年毎年地上に出てきたのでは、寒さでやられてしまい、子孫を残していくことができないかもしれない。

だからこそ、土の中で十分に養分を蓄え、13年や17年に一度地上に大量に発生し、そこで子孫を残す、という方法を何代にもわたって身に着けたとされています。

その中で、先ほど言ったように14年ゼミなどがいるとその特殊性を失ってしまう可能性があるため、それらは段々と淘汰されていったんですね。

まとめ

今回の記事では、いまだにその生態については不思議な点が多い、素数ゼミの謎について解説しました。

ただ、最新の研究では、現存の13年ゼミと、17年ゼミは、過去に交配した記録があることが分かったんだそうです。

なので、これらのセミはまだ進化の途中なのかもしれませんし

これからまた数百年という月日をかけて、どちらかに統一されていくのかもしれません。

それにしても、なぜ虫のような小さな生物が、そのような特殊な能力を身に着けることができるのか。

アリが複雑な巣を作るのもそうですし、

フンコロガシがフンを転がすのも、果たしていつ身に着けた特性なのか。

本当に世界には不思議がいっぱいですね!(*^-^*)

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