人には、もともと向き不向きがあるということは皆さんも常々感じていることでしょう、
しかし、その多くは努力によってカバーすることができます。野球がうまくなりたいのであれば練習すれば人並みには上手くなれますし、計算だって繰り返し問題を解けばある程度はできるようになりますよね。
しかし、この世界には、そういったものでは説明がつかない、
まさに「天才」と呼べるような方々が極少数存在しています。
例えば、風景を1度見ただけで詳細に記憶してしまう瞬間記憶能力の持ち主や、今までに読んだ本の内容をすべて覚えている驚異的な記憶力の持ち主など。
人間の脳にはすさまじい能力が眠っていることを教えてくれる、稀有な存在です。
そこで今回の記事では、そんな天才と、一般の方々との脳は何が異なるのか?
その構造の違いや、天才的な脳の持ち主が抱える障害との関連について詳しくまとめます。
天才とは何か?映画のモデルにもなった「キム・ピーク」
天才といえば、この人の名前を出さないわけにはいきません。
皆さんは、「レインマン」という映画のモデルにもなった「キム・ピーク」さんという方をご存知でしょうか?
出典:wikipedeia
この方は、心臓発作によって2009年に58歳という若さで亡くなってしまいましたが、
彼がまだ生きていたころ、彼はその天才ぶりを遺憾なく発揮していました。
例えば、彼の持つ逸話の中で特に有名なものが、
彼は読んだ本の内容を一字一句すべて覚えており、ある本の何ページ目かを指定すれば、そこに書かれている内容を即座に答えることができたということです。
しかも、彼はなんとその本の内容を9000冊以上完璧に把握していたといいます。常人なら考えられないような能力ですよね。
また、生年月日を教えると、その生まれた日が何曜日であったかも即座に答えることが出来、
床に散らばった200本以上のつまようじの数を、一瞥しただけで即座に数えて見せるなど、
その能力は、そのどれもが常人離れしていました。
勉強や訓練によっては決して得ることのできない能力を持つ「キム・ピーク」
彼はその脳のすごさを私たちに教えてくれた偉大な存在です。
キムが抱えていた障害、常人と天才の脳の構造の違いとは?
しかし、そんなキムは実は重度の発達障害を持っており、人と接するのが得意なことではありませんでした。
また、日常生活における、食事、着替え、歯磨きなどの単純な作業も、父の介護がなければ行うことができません。
つまり、天才的な能力を持つ一方で、障害という大きなハンデも背負っていたのです。
では、彼の天才的な脳と、一般的な方々との脳の構造の違いはどこにあったのかというと、
過去に行われた調査によって、彼の脳には、
- 理性をつかさどると言われる左脳
- 感性をつかさどると言われる右脳
それらをつなぎ合わせ、情報をやり取りするための「脳梁(のうりょう)」といわれる器官がなかったということがわかっています。
また生まれつき彼の頭に存在していたコブが徐々に脳を圧迫し、小脳の一部が破壊されてしまったことも後になってわかりました。
人の脳は不思議なもので、ある部分を欠損すると、他の部分がそれを補おうとしてその能力を発達させることがありますが、
彼の脳でもまさにそのような効果が発動されたものと考えられており、それゆえに普通では考えられない超人的な能力を身に着けたのだと考えられています。
運動すると頭がよくなる?
私たちは、どれだけ頑張ってもキムのような超人的、天才的な脳を手に入れることはできません。彼の脳はまさに偶然の産物、奇跡によってできた代物なのです。
ただ、過去には後天的にこのような能力を身に着けた方もいます。
例えば、2006年にプールで頭を強く打ってしまい、視力や記憶を失う可能性があるとさえ心配された「デレク・アマート」さんという方は、
ケガから回復したのち、どんな楽器でも即座にマスターしてしまうという音楽的才能が開花しました。
しかし、そんなことは本当に稀なので、例えば自ら頭を打ち付けまくってもそのような能力が現れることはなく、たんこぶが増えるだけでしょう。
しかし、近年の研究によって、人が頭をよくするためには、
運動をすることが非常に重要であるということがわかってきています。
学生のころ、運動も勉強もできる才能に恵まれているなと感じる人が皆さんも身の回りにもいたと思うのですが、実はこれは、運動をしていたから勉強もできたといった方が良いかもしれないのです。
具体的には、運動をすると記憶や認知能力を高めるための神経結合が増える可能性があるほか、思考や感情にかかわるいくつものホルモンの分泌が活性化されることがわかってきています。
そういえば、学生の頃人一倍机に向かって勉強しているのに、それほど頭はよく無かった方もいましたが、そういう方には運動が足りていなかったのかもしれないですね。
まとめ
今回の記事では、天才の脳の構造はどうなっているのか、その一般の方々との違いや、障害との関連について解説しました。
また、世界を見渡してみると、今回ご紹介したキムだけではなく、天才的な脳を持つ方は他にも何人か存在しています。
例えば、イギリス在住の「ダニエル・ポール・タメット」という方は、もともと自閉症の傾向があったそうですが、
さらに小さいころに癲癇(てんかん)の発作で倒れたことをきっかけに、その脳が天才的な脳へと変化していったと考えられています。
そして、それ以来彼は数学的な才能に目覚め、なんと円周率を2万桁以上暗唱することに成功し、一躍話題となりました。
また、世界一難しい言語といわれるアイスランド語をわずか1週間余りでマスターするという驚異の脳を持っています。
人間の脳って本当に不思議ですよね(・_・;)
逆に言えば、人間以外の動物であっても、あることをきっかけに驚異的に脳が進化し、言語を話すような動物が現れるかもしれません。
ちょっと怖いですが、あり得ない話ではありませんよね…!