日中はなかなか見る機会はありませんが、
夕方、暗くなり始めると、コウモリは空をビュンビュンと飛びだしますよね。
そんなコウモリを見て、
もしかすると鳥の仲間なのかな?
と思ったことがある方もいるかもしれません。
また、そうすると、
コウモリは鳥のように卵を産むんだろうか?
と思ったことがある方もいるかもしれませんが、
コウモリは鳥類ではなく、正真正銘の哺乳類であり、
他のほとんどの哺乳類と同様に、やはり子供はお腹の中で育て、赤ん坊として産み落とします。
コウモリは、哺乳類の中では唯一の
「飛ぶ哺乳類」であり、
鳥類と同等の飛翔能力を持っている独自の進化を遂げてきた生物です。
では、なぜ彼らは空を飛ぶように進化していったのでしょうか。
今回の記事では、そのコウモリの進化の歴史について解説します。
飛ぶ哺乳類「コウモリ」その進化の歴史を振り返る
コウモリの進化の歴史を振り返るためには、今から約2億3000万年ほど前にさかのぼらなければなりません。
2億3000万年前というと、西暦が始まってまだ2000年程度しかたっていない現代からするとかなり遠い昔のことのようにも思えますが、
この頃、地上にはあの「恐竜」がついに登場し、
さらにほぼ同時期に最古の「哺乳類」も誕生しました。
その後、1億5000万年ほど前には、
あのプテラノドンのような「翼竜」や、
最古の「鳥類」も登場します。
翼竜と鳥類はどちらも恐竜の一部から枝分かれするように分化し、独自の発達を遂げていった生物ですが、この2つは恐竜を通じて間接的な関係を持っているだけであり、
翼竜が鳥類に進化をしたわけではありません。
分かりやすく言うと、1本の恐竜という太い枝から、翼竜、鳥類という2本の枝が別々に伸びていったとイメージしてください。
そしてこの頃の哺乳類はというと、実はまだコウモリは誕生しておらず、哺乳類は基本的に地上を生活の拠点とし、大型の恐竜から隠れるようにして暮らしていました。
しかし、翼竜や鳥類が空を支配していたある日、
地球に、直径10kmという非常に巨大な隕石が襲来します。
すると、その衝突による衝撃波と、気候変動の影響から、
恐竜はその大部分が絶滅し、
翼竜は完全に滅び、
鳥類も壊滅的なダメージを受けました。
これが、今から約6550万年前のことですが、
その後哺乳類は、その地球上の空いた席を埋めるように爆発的な分化と進化を遂げ、地上を支配していくようになりました。
そして中には、少しばかり空いた「空の席」を埋めるような形で進出していったものもいました。
それが「コウモリ」です。
しかし、哺乳類の一部がコウモリになるころには、鳥類もまた様々な進化を遂げ繁栄していたため、コウモリが常に空の支配者になることはありませんでした。事実、巨大なワシはしばしば大型のコウモリさえも捕食します。
ちなみに、これまでに確認されているコウモリの化石の中で最古のものは、アメリカ合衆国で5200万年前の地層から発見されたものになります。
「飛ぶ哺乳類」は実は全哺乳類の4分の1
我々人間は飛ぶことができませんし、
犬も猫も、ライオンもトラもキリンもゾウも飛ぶことはできませんが、
実は、コウモリの仲間は全部で約980種類もおり、
全哺乳類の種類が4300種類程度といわれる中で、意外にもコウモリはその全哺乳類の約4分の1を占めているのです。
ちなみに、最も多いのはネズミの仲間であり、それだけで2000~3000種類と全哺乳類の約半数を占めています。
しかし、コウモリの仲間はそれに次ぐ巨大なグループであり、実は飛ぶ哺乳類の割合は全体でみると非常に多いのです。
子供を卵で産む哺乳類もいる
コウモリは鳥類のように空を飛ぶことはできますが、鳥類のように卵は産みません。
しかしながら、実は哺乳類はその全てが子供を赤ん坊として産み落とすわけではなく、中には卵として子供を産み落とす非常に珍しい特徴を持った哺乳類も存在しています。
それがオーストラリアや、その北部のニューギニア島に生息している、
「単孔目」という分類に属する
「カモノハシ」と「ハリモグラ」です。
🐣☺💓カモノハシ✨ pic.twitter.com/qEVMX8565c
— かわいい動物❤ (@kawaii_animal_d) 2018年5月3日
カモノハシのトレンド入り、一瞬でしたね…。カモノハシはオーストラリア区に生息する「単孔目」の動物。単孔目はカモノハシ科とハリモグラ科に分かれます。上野動物園の小獣館にいるのはハリモグラ。 pic.twitter.com/nSqJpijv3v
— 東京ズーネット[公式] (@TokyoZooNet_PR) 2014年3月23日
カモノハシは全1種、ハリモグラは全4種だけしか存在しておらず、
つまり、4000種類以上哺乳類がいる中で、卵を産むのはたったの5種類だけです。
これらは、哺乳類の誕生初期、つまり2億年ほど前には既に我々の祖先とは分岐し、現代にいたるまで独自の進化を遂げてきた生物であると考えられています。
しかし、卵として子供を産むものの、やはり生まれてきた子供は母乳を与えて育てるので、
そういう意味ではやはり哺乳類であるという、非常に不思議な存在です。
まとめ
今回の記事では、飛ぶ哺乳類であるコウモリは、果たしてどのような進化を遂げてきたのか、ということを詳しくまとめました。
コウモリは、カモノハシやハリモグラに比べれば我々人間とも近縁と言える生物であり、子供を胎生で育てるという点でやはり共通しています。
一方、「コウモリ」と「鳥類」の共通祖先は今から約3億年ほど前に分岐しているため、同じ空を飛ぶ生物ではあるものの、コウモリと鳥は決して近縁な生物ではありません。
それにしても、コウモリの仲間が約980種類もいるということについては驚かれた方も多かったのではないのでしょうか?(^^)
ちなみに、最も大きな「オオコウモリ」というコウモリは、羽を広げるとそのサイズは約2mにもなります。
子供くらいの身長があるオオコウモリ。
夜中に屋根からぶら下がっている図はまさに吸血鬼。 pic.twitter.com/TDptpyWW8j— ニライカナイφ★ (@niraikanai07) 2015年7月19日
オオコウモリの仲間は実は日本にもおり、小笠原諸島や琉球列島などに生息しています。
もし足を運ぶ機会がありましたら、是非オオコウモリを探してみてください(^^)
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました!
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