毎年、夏から初秋にかけて多数発生する「台風」
この台風のうち、その発生が懸念視され、早ければ今年にも日本に上陸する可能性がある、
「スーパー台風」について、よくご存じない方もいるかもしれません。
このスーパー台風とは、
簡単に言えば、いまだかつて日本が経験したことがないほどの猛烈な風速を保って接近してくる台風のことであり、
2013年にフィリピンを襲い、7000人以上もの死者を出した台風30号は、まさにこのスーパー台風でした。
フィリピンは日本ほど台風被害に対する対策ができていなかったということもあり、7000人というすさまじい数の尊い命が犠牲となってしまいましたが、
もしこれが日本に上陸すれば、言わずもがな日本でも大きな爪痕を残すことは間違いなく、
避難が遅れれば、数百人から数千人規模の犠牲者が出る可能性は大いにあります。
では、もしもこのスーパー台風が日本の中心である東京を襲った場合、高潮、浸水の被害はどのくらいのものになるのでしょうか。
スーパー台風とは?
まず初めに、スーパー台風というものの定義について簡単に解説したいと思います。
まず、毎年夏になると日本にも必ず台風がいくつか接近しますが、
この台風とはそもそも熱帯地域、つまり赤道付近で発生した低気圧であり、
その低気圧のうち、低気圧域内の最大風速が17.2m/s以上にまで成長したものを、台風と呼びます。
そしてその台風は、その風速の違いによって、以下のように呼び分けられています。
- 台風: 最大風速が17.2m/s以上
- 強い台風: 最大風速が33m/s以上44m/s
- 非常に強い台風:最大風速が44m/s以上54m/s
- 猛烈な台風: 最大風速が54m/s以上
このうち、風速が54m/sを超えるものを「猛烈な台風」と呼びますが、風速が50m/sを超えてくると、それは車さえも軽々と吹き飛ばすほどの力があるため、非常に危険です。
しかし、今回お話しするスーパー台風はそれよりもさらに強く、
日本では、最大風速が59m/sを超えるような非常に強い勢力の台風を、スーパー台風と呼びます。
その風速そのものが人を死に至らしめるような力を持っており、
川や海に近い場所においては、堤防の決壊をもたらし、甚大な高潮や浸水の被害を引き起こす恐れがあります。
スーパー台風が東京を直撃した場合の高潮や浸水被害
今年2018年の3月30日、東京都は近年その接近が懸念されているスーパー台風について、
これが東京を襲った場合の被害想定について発表しました。
その発表では、スーパー台風に伴い高潮が発生し、堤防が決壊し、排水の処理が追い付かなくなると、
その結果東京では最大で10mにもなる浸水が発生し、墨田区や江東区などでは浸水の深さが平均7メートルになるエリアが広がると想定されています。
最終的には、東部を中心に、計17区において住宅の浸水被害が生じるものと考えられており、河川が近くを流れる墨田区、葛飾区、江戸川区は区域の9割が浸水するとの計算も出ています。
100万人以上の広域避難が必要なものの、自治体の避難計画はこれから。
該当地域の方は「スーパー台風」予報時の避難場所をご家族で検討を。
>「スーパー台風」高潮想定 東京の17区で浸水 都が初公表https://t.co/hz9p8drJPM pic.twitter.com/IUS4CCqYPa— 減災インフォ (@gensaiinfo) 2018年3月30日
もし東京をスーパー台風が直撃した場合、ほとんどの交通機関はストップし、100個近い駅が浸水し、帰宅困難者は数百万人規模で発生します。
もしもこの時地下に避難してしまった場合には、あまりの水量に飲み込まれ、その水圧に負けて階段を上ることもできず、そのまま溺死してしまう方も少なからず生じるとされています。
なお、東京都では大規模な停電が発生する可能性も懸念され、
もしも外に出れば、暗闇の中で周りがよく見えず、放置自転車などが空を飛びかい、衝突して即死の可能性も十分に考えられます。
自動車でさえものすごいスピードで転がってくるため、屋外は非常に危険です。
以下の動画は、過去に沖縄に台風が上陸した際に撮影された映像のようですが、車がまるで落ちているごみのように軽々と転がっていきます。
もう一度言いますが、日本はいまだかつてスーパー台風の上陸の被害にあったことはないため、もしもスーパー台風が上陸すれば、上の動画よりもはるかに速いスピードで車が町中を転がることになります。
まとめ
今回の記事では、スーパー台風の定義と、これが東京を直撃した際の高潮や浸水の被害想定などについて解説しました。
もしもスーパー台風が東京湾から押し寄せてくると、高潮が軽々と堤防を越え、台風がそこにいる間は無尽蔵に海水が流入し、東京湾付近にいる方は非常に危険な状態にさらされる可能性があるといいます。
海から離れることはもちろんのこと、東京ほぼ全域で数mという浸水が生じることが懸念されますので、命を守るために、必ず自治体や国の指示に従い迅速な非難を行うようにしましょう。
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