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※人間の記憶は脳のどこにどうやって保存されてるの?
人間、良い記憶もあれば、嫌な記憶も沢山あるものですが、
そういう記憶って、脳のどこに、どうやって保存されているのかということについて、誰もが一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?
もしそういうメカニズムが完全に解明されるのであれば、もしかすると記憶というものをコントロールすることができるかもしれない。
トラウマとして残っている嫌な記憶さえ消去することができるのでは?とさえ思えますが、実際、この記憶のメカニズムについて、現時点でどのくらいわかっているのでしょうか?
ということで今回の記事では、その人間の記憶について詳しくまとめていきたいと思います。
人間の記憶は脳のどこに、どうやって保存されているのか?
人間や動物の記憶に関する研究は、特に神経学者や、脳科学者の専門分野であり、実際今もその記憶のメカニズムを解き明かそうという研究は様々な学者が試みていることなのですが、
実は、その人間の記憶がどうやって保存されているのかという研究については、現時点ではまだまだ未解明な部分が多いというのが現実です。脳の「どこに」というのはわかってきているのですが、「どうやって」の部分が、まだまだそれを読み解くには果てしない時間がかかることになりそうです。
では、その記憶はどこに保存されているのかというと、
これまでの先行研究から、人間の記憶は最初「海馬」という脳内部の左右に位置しているタツノオトシゴのような形をした器官に一時的に保存されるということがわかっており、
そこで整理された様々な情報のうち、必要な情報だけが「大脳皮質」に送られ、保存されるということがわかっています。
このような、どこに記憶が貯蔵されるのかということは、例えばマウスなどの小動物における海馬の損傷実験や、人の症例などによって徐々に明らかにされてきました。
人の症例というのは、例えばアルツハイマー病の患者は、自分の言ったことや行動をすぐに忘れてしまうという特徴を持っていますが、このアルツハイマー病の患者においては、まず初めに海馬の萎縮から始まるため、それが短期記憶を忘れることにつながると考えられているのです。
ただ、この説が提唱されて以降、様々な研究者がその「海馬⇒大脳皮質」という回路メカニズムの研究を行っていますが、神経細胞が電気信号によって情報伝達を伝えているということはわかっても、そこから先の部分がまだ全然わかっていません。
また、実際には「どこに」の部分であるとされる海馬や大脳皮質も、実は記憶を本当に保存しているかどうかはわかりません。
というのも、そういった部位を損傷したりすると、記憶を思い出せなくはなりますが、それは別に記憶を思い出すために必要な器官だったというだけであり、そこに本当に保存されていたのかどうかという決定的な証拠にはなりえないのです。
もしかすると、海馬や大脳皮質は記憶を思い出す際に働く最終装置であり、どこか別の部位に記憶が保存されている可能性も大いにあります。
2017年海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みが発見されたと報告される
ただ、2017年の4月には、その海馬から大脳皮質に記憶の情報が行われるメカニズムについて、理化学研究所の研究において新たな知見が得られたという発表がされています。
その研究では、人間は学習を行うと、大脳皮質の前頭前皮質という場所で「記憶痕跡細胞」が生成され、この細胞は、海馬に存在する「記憶痕跡細胞」からの入力を受けることによって徐々に成熟していくのだといいます。
そして、この入力が終わると、今度は海馬の記憶痕跡細胞は徐々に活動を休止し、脱成熟することもわかったといいます。
つまり、
「前頭前皮質の記憶痕跡細胞の成熟」と
「海馬の記憶痕跡細胞の脱成熟」
という2つが起きることで、記憶の想起に必要な神経回路が切り替わることが分かったのだといいます。
脳とは記憶そのものであるとの意見も
ただ、その理研の発表から3か月後の2017年7月、神経科学者のニコライ・ククシュキンらによって、脳とは記憶そのものであり、実は、脳の中に記憶を保存している場所などどこにもないとまで言い切っています。
もちろん、「海馬」や「大脳皮質」、こういった場所が記憶の想起に必要な重要な場所であるということはほぼ間違いありませんが、
分子、イオンチャンネルの状態、酵素、転写プログラム、細胞、シナプス、そして神経細胞のネットワーク全体を観察してみると、脳とはある一定の場所に保存されるものなのではなく、脳のシステムそのものが記憶であるとの結論にククシュキンらは至ったそうです。
その1つ1つを理解しなければかなり難しい内容になりますが、
1つ分かりやすい例として、彼らはバクテリアのような神経系を持たない生物でさえ、光の点滅を覚えさせることに成功した話を出しています。
つまり、人間のように複雑なニューロン構造を持たない生物でさえ、何らかのシステムを構築することで、細胞レベルで何かを覚えることができ、これこそまさに「脳のどこが」という議論が的外れなものであるということを彼らは言っているです。
なかなか興味深い話ですが、
実は近年、もう1つ興味深い研究結果も報告されています。
その興味深い話とは、体のどこを切っても1個体として復活するという驚異的な生命体「プラナリア」についてなのですが、
実はこのプラナリア、最新の研究によって、例えば尻尾の部分から再生したプラナリアであっても、その個体はもともと脳を持っていた個体とつながっていたころの記憶を持っている可能性があるということがわかってきたんだそうです。
つまり、そもそも記憶は細胞レベルで構築されている可能性があるということであり、
例えば、臓器移植によってドナーの記憶の一部が宿ったというような不思議な話は、こういう細胞レベルの話が関係しているのでは?と考えられます。
人間が記憶をコントロールする日
脳科学者、神経科学者の中には、人の記憶を、いつしかメモリーカードなどに保存することができ、誰かに移し替えることも可能だと述べてる方々もいます。
とてもSFチックな話ですが、脳のシステム全体を把握し、その反復現象をすべて理解することができれば、そういう話は決して夢のような話ではないそうです。
また、もし人間の記憶、個性などがすべてそうい電気的な信号として保存できるようになれば、いつしか人間は電脳世界に意識を移し、そこで永遠に生きるようになる、なんていう本当に映画のような話でさえ真面目に議論しようとする学者もいます。
ただ、そんな時代が来るのはまだまだ先のことになりそうですが、
もし人の記憶を移すことが可能になるのであれば、人間は誰も勉強する必要はなく、頭の良い人の記憶をもらえば良い時代が来てしまいそうですね…!