【※よくわかる解説※】「右脳」と「左脳」の働きの違いとは?

私たちは普段、脳で様々な処理をしながら生活していますが、

そんな脳は

右脳と左脳で働きが違う

といわれているのはご存知ですよね?

そして、しばしば耳にするのが、

  • 右脳は「感性」をつかさどる脳であり、
  • 左脳は「理性」をつかさどる脳である、

というもの。

そして、よく「右脳型人間」か「左脳型人間」かを判断する診断テストのようなものもあり、

右脳型人間であるとわかれば、

その人は芸術性豊な才能を持っているなんてことも言われます。

では、これは果たして本当のことなのでしょうか?

今回は、右脳と左脳の働きの違いについて解説したいと思います。

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目次

右脳派と左脳派に分けられるは「嘘」

人間は、

  • 右脳を中心に使う感性的な人間
  • 左脳を中心に使う理性的な人間

という2つのタイプの人間に分けられるということが当たり前のように言われていますが、

実はこれを裏付けるような証拠は一切なく、疑似科学的な解釈であると考えられています。

例えば、血液型と性格とを関連付けようとするのもこれに似たような話で、

特に脳に関しては、それを裏付ける証拠は一切ないのです。

ただ、確かに脳には、右脳を活発に働かせるときと、左脳を活発に働かせるときがあります。

しかし、そこに個人的な差というものはないのです。

つまり、ここで言いたいことは、

例えば、

Aさんは「ある動作X」をするときに左脳をよく使うが、

Bさんは「ある動作X」をするときに右脳を活発に使っている。

ということはあり得ないということです。Aさんが左脳を使うなら、Bさんも左脳を使ってそれを処理します。

しかし、どんな動作をするときにも、完全に左脳だけを使う、ということはなく、

左脳を活発に働かせて処理する場合でも、右脳もちゃんと機能させています。

では、具体的に右脳と左脳の働きの違いとして、どのようなものが挙げられるのでしょうか?

1つ、非常にわかりやすい例を解説します。

人が言葉を話すとき

私たちは普段会話でコミュニケーションをとりますが、その言語を話すときには、

左脳を活発に働かせて処理をします。

人の脳は、

  • 大脳
  • 小脳
  • 脳幹

という大きく3つの部分に分けることができるのですが

左側の大脳に「言語中枢」と呼ばれる部分があり、ここがそのコミュニケーションの機能をつかさどっているのです。この言語中枢で、聞いた言葉の意味を理解したり、話す言葉を考えたりしています。

しかし、脳の形は基本的に右脳と左脳でそれほど大きな違いはありませんよね?

左にも右にも、大脳があります。

では、右側の大脳を見た時、左側で言語中枢に相当した部分は言葉を話すときに何をしているのかというと、

これまでの研究から、その部位は主に

言葉の抑揚をコントロールするために使われているということがわかっています。

つまり、

「ワレワレハ ウチュウジンダ」

というように、話すときに強弱のない言葉にならないのは、その右脳が機能しているためなのです。また、他人が話す言葉の抑揚もその右脳で理解しています。

このように、右脳と左脳は、その間で常に情報をやり取りしており、それぞれに違う働きを担っています。

その他、右脳と左脳の働きの違い

実は、言語中枢の位置は、

右利きと左利きの謎のカギを握っている可能性があります。

というのも、

「右利きの人」は、ほぼ9割以上がその言語中枢が左脳にありますが、

「左利きの人」は、その約半数が左側に言語中枢があるものの、残りの約半数は右側に言語中枢があるのです。

しかし、人類はその全体の9割が右利きであるため、

つまるところ、

人類はほぼ99%の人が左脳に言語中枢を持つことになります。

そして、

  • 言語中枢のある方の脳を優位半球と呼び
  • 言語中枢のない方の脳を劣位半球と呼びます。

これは、優位と劣位とで機能的に勝っているとか劣っているということではありません。

ということで、ここからはその優位半球と劣位半球という言葉を用いて説明しますが、

まず、先ほどは言語中枢は大脳にあるといいましたが、大脳はさらにいくつかの部位に分けることが可能です。

そして、このうち言語中枢と呼ばれる場所は優位半球の前頭葉側頭葉にあります。

なぜ2か所なのかというと、実は

前頭葉には話すために必要な

運動性言語中枢」というものがあり、

側頭葉には言葉を理解するのに必要な

感覚性言語中枢」というものがあって、

それらを合わせて言語中枢と呼ぶのです。

なので、優位半球の言語中枢部位がダメージを受けてしまうと、耳で音を聞き取ることはできても、相手が何を言っているのかということや、話し方がわからなくなってしまいます。(失語症)

また、優位半球の前頭葉の前半部分は、

思考、やる気、感情、性格、理性など様々な能力を担っています。

左脳型は理性型という情報が出回ったのは、どうやらここが大きく関係しているようですね。

ちなみに、このように優位半球の前頭前野前半は「感情」にかかわる重要な部位であるため、例えばここがダメージを受けてしまうと、先ほど挙げたいくつかの項目における機能低下がみられるようです。

例えば、

几帳面な人間が急にだらしなくなったり、
幼稚な人間になったり、
やる気を出せなくなったり、

ということです。

つまり、子供が大人になると色々と思慮深くなるのは、この優位半球の前頭前野が発達するためであると考えられています。

一方劣位半球の前頭前野の前半部分は何のために機能しているのかというと、

実は、これはまだよくわかっていないことなんだそうです。

しかし、例えばその劣位半球の前頭前野前半がダメージを受けても、特に目立った影響などは見られないことがわかっていることから、

やはりその重要な機能の大半は優位半球が担っているものと考えられています。

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人が優位半球にダメージを負うとどうなるのか?

先ほど、優位半球は、言葉を理解したり、言葉を話したりするための言語中枢がある方の脳であるといいました。

なので、この言語野、優位半球がダメージを負うと、人はその言葉を理解したり、話すことができなくなります。

例えば、感覚性言語中枢だけがダメージを負うと、話すことはできても、相手の言っていることが全く分からなくなります。まるで、異国の知らない言葉を聞いているような感覚に陥るのだそうです。

しかし、過去には驚くべき症例があり、

なんと、脳卒中で倒れ、その言語野にダメージを負っていた男性は、懸命のリハビリを行った結果、

言葉を取り戻すことに成功したのです。

では、この時彼の脳では何が起こったのかというと、

詳しく調べたところ、彼の言語中枢の機能を、

劣位半球である右脳が担っている

ということが判明したそうです。

脳は、ある部分がダメージを負うと、別の部位がそれをカバーさせるように発達するといいますが、この例のように、脳はまさにそういったダメージに対して柔軟に対応してみせるようです。

右脳と左脳の働きの違いがほとんどない人もいる

人は、特に優位半球を様々な場面で働かせ、それをサポートするかのように劣位半球を機能させているようですが、

中には、右脳と左脳とでその働きの違いがほとんどないといえる方々もいます。

では、それはいったいどのような人物たちなのかというと、

それは、

もともと脳が半分ない人達です。

人は、脳にダメージを負うと、それはまさに命に係わることですが、

実は近年の医療分野では、脳を半分摘出するということは、非科学的な治療法ではありません。

例えば、特に小さい子供が発症し、脳のどちらかに慢性的な炎症が見られ、短時間に連続して痙攣などを起こしてしまう難病「ラスムッセン脳炎」という病気の患者は

その治療法として、炎症を起こしている方の脳を丸ごと摘出することがあります。

しかし、これほどの大手術を3歳の頃に行ったジョディという女性は、その後体に少しの障害が残っただけで、歩くことも、話すこともでき、結婚までして幸せな人生を歩んでいます。

このように、脳は右脳左脳ではっきりとした違いがあるものではなく、確かにその機能は普通は左右で分担して処理しているものの、どちらかが無くなると全く半分の機能が失われる、というものではないのです。

ジョディさんは3歳という脳がまだ完全には成長していない時期に手術を受けたからこそ、新しいニューロンネットワークを複雑に構築することに成功したともいえるようですが、大人になってからでも、脳の一部が欠損すると、その他の部位がそれを補うということは様々な例で証明されていることです。

人間の脳って、本当にすごいですよね(^^)

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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