私たち人間は、受精卵として誕生した後、
母親のおなかの中で栄養をもらいながら大きく成長し、
赤ん坊の状態で生まれてきますが、
この世界には、なんと我々人間と同じ「哺乳類」でありながら、
卵として子供を産む珍しい動物がいます。
それが、オーストラリアや、その北部のニューギニア島などに生息している
「カモノハシ」と「ハリモグラ」です。
🐣☺💓カモノハシ✨ pic.twitter.com/qEVMX8565c
— かわいい動物❤ (@kawaii_animal_d) 2018年5月3日
カモノハシのトレンド入り、一瞬でしたね…。カモノハシはオーストラリア区に生息する「単孔目」の動物。単孔目はカモノハシ科とハリモグラ科に分かれます。上野動物園の小獣館にいるのはハリモグラ。 pic.twitter.com/nSqJpijv3v
— 東京ズーネット[公式] (@TokyoZooNet_PR) 2014年3月23日
では、これらの動物は一体なぜ卵を産むのでしょうか?
哺乳類の定義について確認しながら解説していきたいと思います(^^)
そもそも、哺乳類とは?
私たち人間にとって、子供が赤ん坊として生まれてくるというのは当たり前のことであり、
犬や猫、ライオンやキリンなどなど、
我々が普段良く知っている哺乳類はみな「胎生」で子供を育て、卵を産むようなものはいませんよね?
すると、哺乳類なのに卵を産むというのが非常に異質に感じ、
そもそもそれは哺乳類なのか?とさえ思う方もいると思いますが、
哺乳類を哺乳類たらしめる最も大きな特徴は、その生まれ方ではなく、
子供を母乳で育てる
というところにあります。
これは、「哺乳類」という名前からも予想がつく方が多いでしょう。
そして、これからご説明するカモノハシも、ハリモグラも、両方子供は卵として産むものの、
生まれてきた子供は、やはり母乳を与えられることによって育ちます。
しかし、カモノハシもハリモグラも、母乳を与えるための乳首は存在せず、体から汗のように染みだす母乳を子供に与えます。
ちなみに余談ですが、哺乳類の条件のように思われている性質の1つとして、
体温を一定に保つ「恒温性」も挙げられますが、
あののろくて有名なナマケモノは、哺乳類でありながら「変温動物」であることで有名です。
しかし、どの哺乳類でも、子供に授乳を行うという点では共通しています。
なぜカモノハシやハリモグラは卵を産むのか?
それでは、なぜカモノハシやハリモグラは卵を産むのかというと、
これらの動物は、その進化の過程で、つい最近になってそのような特徴を身に着けたわけではありません。
ここで話は少し変わりますが、
この地球上には、今から約2億3000万年ほど前に
「恐竜」が登場し、
それらは今から約6550万年ほど前まで地上を支配していました。
あの非常に有名な大型肉食恐竜「ティラノサウルス」は、
そのうち最後の300万年である
約6850万年前~約6550の間まさに地球上の食物連鎖の頂点に君臨していたのです。
しかし、その恐竜の登場とほぼ同時期、つまり今から約2億3000万年ほど前には、
我々哺乳類の祖先も登場しています。
しかし、この時代の哺乳類は恐竜達の陰に隠れた存在であり、恐竜に比べるとはるかに小型で、今のネズミからネコくらいの大きさしかありませんでした。
しかし、今から約6550万年前に、今のメキシコのユカタン半島に、直径10kmもの大きさを誇る超巨大隕石が衝突します。
その結果、その衝撃波と気候変動などの影響から、恐竜たちはそのほとんどがここで絶滅することになりました。
すると、それまでは土の中などに身を隠し、ひっそりと暮らしていた哺乳類の祖先は、その空いた席を埋めるように爆発的な進化を遂げることになります。その中で、我々ヒト科も誕生したのです。
しかし、実はカモノハシやハリモグラは、
それよりももっともっと前、
すなわち、まだ恐竜達から隠れるように暮らしていた2億年以上も前、
哺乳類が誕生して間もないころに、今の我々人間やその他多くの哺乳類が含まれるグループとは完全に分岐し、独自の進化を遂げてきたのだと考えられています。
すなわち、カモノハシやハリモグラはまさに生きた化石ともいえる存在であり、哺乳類の誕生と密接に関係している存在なのです。
ちなみに、我々人間は元をたどれば3億1200万年以上前は
「両生類」の仲間でした。
その両生類が両生類のまま進化してきたものが今のカエルなどの生物であるわけですが、
哺乳類の誕生初期に分化したのであれば、確かにカモノハシやハリモグラが卵生で子供を産んでもおかしくはないですよね。
しかし、別の見方をすれば、そのころから哺乳類は授乳を行うという点で共通していたわけなので、ここは非常に興味深い所です。
哺乳類の3つの分類
哺乳類は、正式には「哺乳鋼」と言いますが、
この哺乳鋼は、そのすぐ下で次の3つに大きく分けることができます。
- 原獣亜綱
- 後獣下綱
- 真獣下綱(有胎盤下綱)
このうち、我々人間やほとんどの哺乳類が
「真獣下綱」に含まれ、
カンガルーやオポッサムのような、未熟な子供を育児嚢で育てるものが
「後獣下綱」に含まれます。
そして、今回お話ししているカモノハシやハリモグラは
「原獣亜綱」に含まれる生物であり、
実はこの原獣亜綱には、カモノハシやハリモグラを含む
「カモノハシ目(単孔目)」という分類しか存在しません。
ちなみに、ライオン、キリン、ゾウ、ヒト、は全て「真獣下綱」の生物ですが
その内
- ライオンは「ネコ目」
- キリンは 「ウシ目」
- ゾウは 「ゾウ目」
- ヒトは 「サル目」
と、様々な目が存在していることがこれだけでわかるかと思います。
ちなみにサル目は、ヒトも含め約220種の動物がここに含まれます。それだけ「種」レベルでわけられる猿がいるということです。
しかし、原獣亜綱にはカモノハシ目があるだけで、
その中でカモノハシが1種、ハリモグラが4種存在しているだけです。
それだけ少ないからこそ、卵を産む哺乳類というのが非常に珍しい存在のように感じるのですね(^^)
まとめ
今回の記事では、カモノハシハリモグラは、哺乳類でありながらなぜ卵を産むのか?ということについて詳しくまとめました。
これは、そう発達してきたとしか説明できませんが、どうやらその理由は哺乳類誕生初期の進化のあり方の中に隠されているようです。
ただ、そのあまりの種類の少なさからもわかりますように、卵を産む哺乳類は非常に貴重な存在で、事実カモノハシは現時点でその個体数は決して多いとは言えません。(絶滅危惧種ではないものの、低懸念の状態にあります。)
そのため、カモノハシは日本ではこれまでに飼育された例がなく、彼らが住んでいるオーストラリアに行かなければ見ることができません。
しかしながら、ハリモグラの方は日本でも上野動物園で見ることができますので、興味がある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?(^^)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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