「哺乳類」は現在実質的に地上を支配している動物群であり、
その中で最も知能を発達させたのが
我々「人間」ですね。
しかしながら、人間も、ネズミも、ゾウも、キリンも、ライオンもすべて哺乳類であり、
その祖先は遠い過去にさかのぼれば皆同じでした。
そして、原始の時代にまでさかのぼれば、我々の祖先はもともと地上にさえいませんでした。地球が誕生したころには陸さえもなく、地球は一面海に覆われていたのです。
では、そこからどのような過程を経て、我々哺乳類は誕生し、進化してきたのでしょうか?
今回の記事では、その哺乳類の進化の歴史を振り返ります。
生物の誕生はいつ?その進化の歴史の原点について
私たちが今いる宇宙空間は今から約138億年ほど前に誕生し、
さらに今から46億年ほど前に「地球」が誕生しました。
そして、その後8億年ほどの歳月を経て、
海の中でいよいよ最初の生命が誕生することになります。(約38億年前)
このころの生物はまだ細胞1個からなる非常に単純な生命体で、
さらに細胞内に「核」という部屋を持たない、
「原核生物」と呼ばれるものでした。
ちなみに、私たち哺乳類はみな細胞の中に核という部屋を持っており、その核の中に染色体などの遺伝情報を保存しています。
そして、このように核を持つ生物は
「真核生物」と呼ばれ
原核生物が誕生してから十数億年後、
具体的には今から約25億年前~5億4200万年までの
「原生代」という時代に、その真核生物が誕生しました。
しかし、当初の真核生物はやはり細胞1個からなる生物でしたが、
その後真核生物の中から多細胞性を獲得するものが現れ、それが私たちのような大きな生物へと進化していくことになるのです。
生物種の多様な変化が起こる
原生代が終わると、
次は「古生代」という時代に入ります。
さらに、その古生代は以下の大きく6つの「紀」に分けることができます。
- カンブリア紀:約5億4200万年前~約4億8830万年前
- オルドビス紀:約4億8830万年前~約4億4370万年前
- シルル紀: 約4億4370万年前~約4億1600万年前
- デボン紀: 約4億1600万年前~約3億5920万年前
- 石炭紀: 約3億5920万年前~約2億9900万年前
- ペルム紀: 約2億9900万年前~約2億5100万年前
そして、その初めの
「カンブリア紀」には、生物種の多様な変化が爆発的に起こりました。
まず、カンブリア紀とは今から約5億4200万年前~4億8830万年前のことを言うのですが、この時代において陸地は存在せず、地球の表面は一面海に覆われていました。
そして、その海中では、先に誕生していた原核生物や真核生物が多種多様に分化していき、その過程で様々な動物が誕生することになります。
かの有名な古代生物「三葉虫」ものこのカンブリア紀に誕生し、海の中では藻類も増え始めました。
動物と植物が陸上へ進出
カンブリア紀の次は
「オルドビス紀」という時代で、
これは4億8830万年前~約4億4370万年前の出来事でしたが、
このオルドビス紀には生物の大量絶滅が起こったものの、
地球上の生物のほとんどはまだ海の中にいました。
そして、そのオルドビス紀が終わり、
その次の
「シルル紀」という時代に、
ついに生物の本格的な上陸が始まります。
シルル紀は今から約4億4370万年前~約4億1600万年前の間のことを言い、
この間に、植物や動物の多くが陸地に上がり始めました。
さらに、そのシルル紀の次の
「デボン紀」には、それら陸上の生物種の多種多様な進化が起こり、
デボン紀の終わりには
「両生類」が誕生します。
デボン紀は約4億1600万年前~約3億5920万年前までの時期のことであり、
このころから、私たちの祖先の陸上での生活が始まったのです。
両生類の進化の過程で「有羊膜類」が誕生
ここまでを簡単に整理しますと、
古生代のうち、我々の祖先は
- カンブリア紀
- オルドビス紀
- シルル紀
- デボン紀
を経て、ついに陸上にその生活圏を移し始めました。
そして、その次の
「石炭紀」(約3億5920万年前~約2億9900万年前)
の間で、
今から約3億1200万年ほど前に、
両生類の中から
「有羊膜類」
と呼ばれる分類が誕生します。
これは文字通り「羊膜」という構造を持っている生物群のことであり、羊膜とは、生物の発生(受精後)の過程で見られる、胎児を包む膜のことを言います。
そして、その有羊膜類は、さらにその石炭紀において、
- 竜弓類
- 単弓類
という2つのグループに分かれていき、
- 「竜弓類」は現生の爬虫類や、既に絶滅した恐竜、さらに鳥類へと文化していくグループであり、
- 「単弓類」は、その後「獣弓類」という過程を経て、ついに我々哺乳類へと進化していきました。
つまり、
我々人間と恐竜の共通祖先は、約3億年ほど前に分化したことになります。
単弓類の見た目はほぼ爬虫類
私たち哺乳類の歴史を振り返ってみると、3億年ほど前の石炭紀においては単弓類という分類に属する生物でしたが、この単弓類は「哺乳類型爬虫類」とも呼ばれ、その頃はまだトカゲのような姿をしています。
今日紹介する生物は「ディメトロドン」です! ディメトロドンは古生代ペルム紀に生きていた単弓類という動物の一種です。背中の大きな帆は、体温調節に役立っていたと考えられています。また、その鋭い歯でほかの動物をおそって食べていたようです。 pic.twitter.com/vXzjvEXwq0
— 岩手県立博物館 (@Iwahaku) 2016年7月22日
この単弓類は、古生代最後となる
「ペルム紀」(約2億9900万年前~約2億5100万年前)
まで繁栄し、実質この時代地上を支配していたのは単弓類でしたが、
ペルム紀最後には大規模な火山活動が起き、この時噴出されたメタンガスが酸素と結びつくことで急激な酸素濃度の低下が起こりました。また、これに伴う大規模な気候変動の影響などから、単弓類は壊滅的なダメージを受け、小型化することで酸素濃度低下に何とか適応したものの、ほぼ絶滅の危機に追いやられます。
しかし、この時すでに呼吸機能を発達させていた、
竜弓類をルーツとする「双弓類」が、
単弓類と入れ替わるように進化し始め、これが大型の恐竜へと進化していきます。
ちなみに、単弓類がさかえた時代には大気中の酸素濃度は一時
35%にまでなりましたが、
恐竜が栄えた「中生代」には、
12%にまで低下しました。
ちなみに、現代においてはその酸素濃度は21%にまで回復しています。
最古の哺乳類の誕生は、今から2億2500万年前
- カンブリア紀
- オルドビス紀
- シルル紀
- デボン紀
- 石炭紀
- ペルム紀
と続いた古生代は、ペルム紀末期の大量絶滅(地上の90%以上の生物が絶滅)で終焉を迎えることになり、
その後、
- 三畳紀 (約2億5100万年前~約1億9960万年前)
- ジュラ紀(約1億9960万年前~約1億4550万年前)
- 白亜紀 (約1億4500万年前~約6600万年前)
と3つにわけられる「中生代」に入ります。
そして、今から約2億2500万年ほど前の三畳紀の後期に、ついに最古の哺乳類が誕生しました。
この最古の哺乳類は「アデロバシレウス」と名付けられ、
ネズミのような姿をしていたと考えられています。
アデロバシレウスの予想図です pic.twitter.com/o1GVpfSlBJ
— 砂 (@k_tsukumoya) 2016年12月19日
しかし、この頃と時を同じくして、比較的大型の「恐竜」が現れ始めます。
そのため、中生代は恐竜の時代として栄え、哺乳類はその陰に隠れるようにして生活していました。
しかし、白亜紀の最後に直径10kmもの巨大な隕石が現在のメキシコのユカタン半島付近に衝突し、その衝撃波が地上を駆け抜けます。
また、その衝突によって巻き上げられた砂塵と、また同時期に発生した大規模な火山活動によって吹き上げられた火山灰などによる影響から起きた大規模な気候変動によって、地上を支配していた恐竜たちの時代が終わり、土の中などに隠れていた小型の生物たちの時代がやってきます。そして、この中にいたのが我々の祖先となる小型の哺乳類です。
それが、約6600万年の時を経て多種多様な文化を遂げ、その中に我々のような人間へと成長していく猿もいました。
このように、生命が誕生してから約38億年の時を経て、今我々は人間として生きています。
まとめ
今回の記事では、哺乳類の歴史を振り返り、我々がどのような過程を通じて進化してきたのかを詳しくまとめました。
その過程を見てみると、改めて我々がもともとは小さな存在だったということがよくわかりますね。
両生類が、両生類のまま進化を遂げてきたものが今のカエルのような生物であるわけですが、我々にもそういったカエルと大差ないような時代が確かにあったのです。
しかし、地球の歴史はまだまだ続いていくわけなので、これからまた数億年という時と過程を経て、我々人類もまたその見た目を徐々に変えていくことになるのでしょう。
もしかすると、その頃の人類が今の人間の姿を見たら、奇妙な生物のように感じるのかもしれません。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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