春になると、どこからともなく現れる「アリ」
特に珍しい生物でもないので、普段見かけても、
「あ、アリがいる」というくらいにしか感じないと思いますが、
実はこのアリはとっても不思議な特徴を持っている生物であり、知れば知るほど興味深い生物です。
例えば、巣の中で一生卵を産み続ける
「女王アリ」は、
もともとは羽が生えている羽アリですが、
オスのアリと交尾をすませると、
なんと、自分から羽をむしってしまうという特徴があります。
さらに、その女王アリの寿命は非常に長く、
10年から20年も生きるといわれているのです。
これは数いる虫の中でもかなり上位に食い込む長さです。
そこで今回の記事では、この女王アリの特徴を含め、アリのおもしろ雑学についてまとめていきたいと思います。
女王アリの特徴について解説!働きアリの性別は?
アリにそれほど興味がない人でも、アリは複雑な巣を作り、
その中に「女王アリ」と呼ばれる大きなアリがいるということはご存知でしょう。
女王アリはその特徴として、非常にサイズが大きく、卵を産むことができる能力を唯一持っています。
ちなみに、女王アリと働きアリとでは、かなりそのサイズに違いがあります。以下の画像の中でひときわ大きなアリが女王アリですが、同じ種類のアリにも関わらず、他の個体よりも相当大きいですよね。
また、女王アリは言わずもがなメスのアリですが、巣から出てきてせっせと物を運んでいる働きアリも、
実はメスのアリです。
なので、上の画像に写っているアリは、すべてメスアリです。
ただ、働きアリはメスアリであっても、子供を産むことはできません。そして、オスのアリと交尾をすることもありません。
では、そもそもオスのアリはどこにいるのかというと、
実は女王アリは、繁殖の時期にしかそのオスアリを産みません。
これはつまりどういうことかというと、
実は女王アリは普段、
オスアリとメスアリを産み分けることができる
というすごい特徴を持っているのです。
アリの繁殖システムについて!女王アリが羽をむしってしまう理由とは?
女王アリは巣の中で一生卵を産み続けますが、
その巣の中でオスのアリと交尾をするようなことはありません。
というのも、どんなアリの巣も最初は女王アリ1匹から始まり、その女王アリが巣を掘り始めるところから始まるのですが、その巣を掘り始める前に、女王アリは既にオスのアリと交尾を済ませ、
一生子供が埋めるだけの精子を体の中に蓄えているのです。
そして、女王アリはその交尾の相手を探すときにしか羽を使わないので、交尾を済ませ、土を掘り始める段階に入ると、不要になった羽は自らむしり取ってしまうというわけです。
以降、基本的に女王アリは巣から出てくることはなく、安全な部屋で一生卵を産み続けます。
しかし、アリの不思議なところはその繁殖システムにあり、先に述べましたように、女王アリはオスアリとメスアリを生み分けることができます。
では、これをどうやって産み分けているのかというと、
実はアリという生物は不思議なもので、
- 女王アリの体内で作られた卵子を、そのまま成長させると
「オスアリ」として生まれ、 - 女王アリの体内で作られた卵子に、精子を受精させて成長させると
「メスアリ」が生まれるのです。
そして、オスアリとして生まれたアリは羽をはやしたアリとして生まれ、
メスアリの中で、栄養状態が良いものもまた羽アリとなり、栄養状態が悪いものは、羽の生えない働きアリになります。
なので、女王アリは普段は巣の中でお腹の中にため込んだ精子を活用してメスの働きアリのみを生みますが、繁殖の時期にだけ、その産み方を工夫して羽の生えたオスアリとメスアリを生み出すのです。
そして、この羽の生えたアリたちはその後巣から飛び立ち、別の巣から出てきた羽アリと交尾を行います。
そして、その内メスの羽アリは地面へと降り立ち、羽をむしり、新しい巣を作るのです。
女王アリ、働きアリ、オスアリの寿命とは?
女王アリの寿命はかなり長く、10年から20年近く生きるという話は最初にもしましたが、
実は過去には、29年も生きた女王アリもいるといわれています。
では、その他のアリはどうなのかというと、
例えば、働きアリとして生まれてくるアリは、
約1年から2年ほどしか生きません。
女王アリに比べると、かなり短いですよね。
しかし、オスアリはもっと可哀想です。
というのも、巣から飛び立っていったオスアリは、メスと交尾を行うことが目的なので、
交尾を済ませると帰る家もなく、
わずか1ヶ月程度で死んでしまうのです…。
繁殖の時期にだけ誕生し、たった1ヶ月で死んでしまうオスアリ。
ということで、実はオスのアリというのはかなりレアな存在なんですね。
いまだに解明されていない女王アリの特性
女王アリは10年以上生きるというだけでもかなりすごいですが、
もっと不思議なのは、
それだけ長い間、オスからもらった精子を、常温でお腹の中にためておくことができるということです。
人間の精子も冷凍でなら保存することができますが、常温でとなると、10年以上もの期間新鮮な状態で保存しておくことは難しいというのは容易に想像がつくでしょう。
しかも、その精子を使って子供を産むこともあれば、使わないで産むこともある、というように、雌雄の決定をコントロールできるというのは本当に不思議です。
女王アリがなぜ精子をそれだけ長い間保存できるのかというのはいまだに未解明であり、現在も甲南大学や筑波大学などでその分子メカニズムの解明を目指す研究が行われています。
非常に不思議な特徴を持ったアリ、
とても小さな存在ですが、こういうすごい能力を持っていることがわかると、なんだか見る目が変わりますよね(^^)!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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