「神話=ギリシャ神話」
と言っても良いほど、ギリシャの神話は有名ですよね。
特に、ギリシャ神話に登場し、全知全能の神として知られる、
「ゼウス」という名前を聞いたことがないという方はおそらくいないでしょう。
ゼウスは全宇宙や天候を支配する神の中の神であり、最も偉大な存在です。
ただ、ギリシャ神話には他にも様々な神が登場するのですが、
その神々の名前は、しばしば「星の名称」としても利用されました。
そして、太陽系の惑星の中で最も太陽に近い場所にある水星にも、そのとある神の名前が付けられています。
ということで今回の記事では、水星とギリシャの神話との関係について解説いたします。
水星とギリシャの神話について
水星は、現在英語で
「マーキュリー(Mercury)」
と呼ばれていますが、
その水星の存在は、今から3000年ほど前にはすでに知られていました。
当時から、古代ギリシャでは星に神々の名前を当てており、水星にも神の名前が付けられていました。
しかし当時の人々は、
- 宵(日が沈むころ)の水星
- 明け(日が明けるころ)の水星
が別物であると考えており、
宵の水星には、ゼウスの使いであり、旅人、商人などの守護神である
「ヘルメース」の名を与え。
明けの水星には、ゼウスの息子であり、詩歌や音楽などの芸能・芸術の神として知られる
「アポローン」の名前が与えられていました。
しかしながら、のちにその2つの星が同じものであると気づいたギリシャの人々は、
その名前を改め、新たに
「メルクリウス」という名前を与えて統一しました。
このメルクリウスはヘルメースと同一の存在であり、俊足の神としても知られています。
そして、このメルクリウス(Mercuries)が変化し、
英語では、水星をマーキュリー(Mercury)と呼ぶようになったのです。
ラテン語では、今もメルクリウスと呼びます。
日本ではなぜ「水星」なの?
水星は、太陽が支配する8つの惑星の中で、最も太陽に近い場所にある惑星ですが、
その分、太陽から与えられるエネルギーは大きく、その表面の平均温度は180℃にもなります。
そのため、水星はカラカラに乾いた灼熱の星であり、流れる水は存在していません。
しかしながら、日本では水星を「水の星」と書きますので、なんとなく違和感がありますよね?
ただ、これは水星が水を司ると信じられていた、遠い昔に名付けられた名残がそのまま残ったもので、
この考え方は
「この世の万物は、木火土金水という5種類の元素によって成り立つ」という、
「五行思想」に由来しています。
実は、水星に水星という名前が与えられたころ、現在は8つ知られている惑星は、
地球を除いて5つしか知られていませんでした。(つまり、地球、天王星、海王星以外)
それがすなわち、現在
水星、金星、火星、土星、木星と呼ばれているものです。
すると、五行思想の信仰があった人々は、ちょうどその星々の存在にその考え方を当てはめ、
それぞれを、
- 木を司る星
- 火を司る星
- 土を司る星
- 金を司る星
- 水を司る星
と決めてしまったのです。
このころは、宇宙のことなどほとんどわかっていませんでしたから、
つまり水星に水があるかどうかもわかっていませんでした。
しかしながら、いざ技術が発達し、調べてみると、水星は灼熱の星であったというわけなんですね。
水星はいまだ謎多き星
人類はすでに月に降り立ったことがありますし、火星にも探査機を送り込んでいますが、
実は、水星にはいまだに探査機が降り立ったこともありません。
そのため、水星の周りを周回するように飛ぶ探査機によって、その大まかな概要が分かっているだけです。
水星にいまだに探査機を送り込むことができないのは、
水星に行くほど、太陽から発せられる熱や放射線などの影響を強く受けてしまうことや、
水星に近づくと、太陽の持つ強い重力によって、探査機が加速してしまうことなどがその理由です。
また、それに加えて水星にはほとんど0と言って良いほど大気が存在していないため、水星に探査機を着陸させるために、パラシュートのようなものは使うことができません。
そのスピードを減速させ、着陸させるためには、逆噴射ロケットなどが必要となりますが、これには余計に燃料が必要になるほか、コストもかかりますので、まだまだ十分な準備が必要となります。
それに、言ってしまえば水星は我々にとってそれほど重要な星というわけではなく、
それよりも、移住できる可能性が高い火星などについてよく調べることの方が重要です。
そのため、水星は今後しばらくは謎多きままで、
探査機が着陸するとすれば、それは数十年以上先のことになりそうです。
まとめ
今回の記事では、水星とギリシャの神話との関係などについて解説しました。
空に浮かぶ星々は、古代より宇宙に影響を与えているような存在であると信じられいたため、
ギリシャでも、日本でも、信仰の対象となっていたようですね。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました(^^)
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