我々人類は、1969年に初めて月面への着陸に成功しました。
その後、1972年までに計6回の着陸を成功させています。
これが、かの有名な「アポロ計画」です。
しかし、それから約半世紀たった今、人類は新たな星への着陸計画をいくつかの団体が進めています。
それが、
「火星移住計画」です。
「移住計画」なので、今度は着陸だけではなく、ゆくゆくはそこに人類が住めるような環境を築くことがその計画の目的です。
では、この火星移住計画はなぜ必要なのでしょうか?
その真の目的や、メリットなどについて詳しく解説します。
「Mars One」による火星移住計画について
火星移住計画に名乗りを上げている団体、企業はいくつかありますが、
その中で特に話題となったのが、2011年に設立されたオランダの民間非営利団体
「Mars One」が立ち上げた火星移住計画プロジェクトです。
2012年に公開された動画では、
「Mars One」のCEOである
「Bas Lansdorp」氏がその熱意を語っている様子が映されています。
しかし、この計画は現在うまく進んでいるとは言えず…
2023年に計画されていた有人飛行および着陸は2025年へと後ろ倒しされ、さらにその後2031年にまで延期されてしまいました。
また、この計画ではそれを実現するために寄付金を募っているのですが、この計画の実現性について懐疑的な人物もおり、
このイベントは詐欺なのではないか?
とさえ言われてしまっています。
果たしてこの計画は上手くいくのでしょうか?
最大の問題は資金集め
しかし、批判的な意見が多数出ているのも事実ですが、
公式サイトによる発表を見る限りでは、この計画は着々と進められているようです。
またYoutubeチャンネルの方にもたびたび進行状況を報告する動画などがアップロードされており、
計画通りには言っているとは言えないものの、CEOはやはりそのプロジェクトを成功させたい様子です。
この火星移住計画の最大の問題は、
それを成功させるための資金集めです。
この計画では団体側は火星への有人飛行に必要な費用を
約60億ドル(日本円で約6500億円)と見積もっているのですが、
専門家の中にはそれだけでは全然足りないと指摘している方も多く、
「0」が1つ足りないとまで言われています。
また、当初からその短い準備期間での有人飛行の実現は無理だと指摘されていて、結論としてはまさにその通りとなってしまいました。
ただ、2025年の次に2031年にまで延期されたのは理由もあり、
地球と火星の距離がより近づくのがその2031年なのです。
火星と地球は約2年おきに近い距離に来る傾向にあるのですが、2027年と2029年よりも、2031年の方がよりその距離は近くなります。
2023年から2025年に延期されてしまった反省も踏まえて、
より現実味に必要な時間を考慮して、その2031年という大幅な延期に踏み切ったのでしょう。
火星移住計画はなぜ必要なの?その真の目的とメリットとは?
我々の住んでいる地球は近年、地球温暖化や異常気象などの環境の変化の問題が指摘されてはいますが、
それでも人類がすぐに滅亡するような危機的状況に置かれているわけではなく、
他の星に移り住むことが緊急を要する課題というわけではありません。
では、なぜ今火星移住計画が行われる必要があるのでしょうか?その目的やメリットとして、何が挙げられるのでしょうか。
こういった疑問を抱く方もまた少なくないと思いますが、
結論としては、この計画は「なぜ」と思うような方の考えを納得させるような答えは説明できないかもしれません。
なぜなら
火星がそこにあるから行ってみたい!
そういう夢を実現させるためのプロジェクトだからです。
そして、その目的やメリットも、特に緊急性を要するようなものはありません。
ただ、もしかすると火星への有人飛行が成功すれば、そこで詳しい研究を進めることができますので、
生命の発見や、科学における新たな知見が得られるかもしれないという可能性はあります。
少なくとも、火星がどのように誕生し、これまでどのようにしてその歴史を刻んできたのかということについては詳しくわかってきますので、
新たな知見が得られることは間違いありません。
また、火星には今も地下には液体として水が存在していることが判明しましたので、それに関する詳しい調査を行うこともできます。
ただ、人類が生存できる可能性があるという1つの保証を作るためにも重要で、
そういう意味では火星調査を行うことは1つのメリットであるといえそうです。
というのも、
現時点で、地球人が現実的に考えて住むことができそうな惑星は、火星を除いて他にないのです。
例えば、地球を含む太陽系において、
水星や金星は表面温度が熱すぎて(太陽に近すぎるため)人類は降り立つことすらできませんし、
火星よりもっと奥にある木星や土星は表面が分厚いガスでおおわれているため、これまたその表面に人類が降り立つことは不可能です。
また、木星や土星の周りには降り立つことが可能である星はあるものの、
太陽から遠すぎるため、その表面温度は今度はマイナス100℃以上の極寒の地となっており、
そこに到着するまでにも数年以上かかるため、現実的ではありません。
となると、現時点で人類が住めそうな星は、やはり火星しかないのです。
火星にはわずかではありますが大気もあり、
最高気温は20℃近くにまでなる場所もあります。
ただ、平均気温はマイナス40℃以下なので、行ってすぐに住めるというような環境ではありませんが、
開拓次第では人類が住むことが最も現実味のある星なのです。
資金以外の問題
ただ、この火星移住計画は、そのメリット以上に、
デメリットの方が多く挙げられそうです。
例えば、この「Mars One」のプロジェクトでは、まずはその有人での飛行を成功させ、現地に人間を送ることを目的としているため、
そこから帰ってくるところまでは計画に含まれていません。
ですので、これはまさに死にに行くようなものだとして、倫理的な観点から批判の声が多数挙がっています。
また、もしも現地に微生物のような生命体がいた場合に、
地球から持ち込まれた微生物がそれらを滅ぼしてしまうのではないかという指摘もあります。
このような様々な批判もまた、その計画の進行を妨げている1つの理由ではあるのですが、
どんなことであっても、初の試みには批判はつきものです。
そういう批判を是非はねのけて、火星への着陸を私たちが生きている間に成功させてほしいですね。
アポロ計画における失敗
ちなみに、月は我々が降り立つことに成功した唯一の天体ですが、
月に住むことは、火星に住むよりも困難です。
まず、月にはほとんど大気がないため、紫外線の影響をほぼそのまま受けてしまいますし、
隕石が接近した場合にそれがそれることなくぶつかってしまう可能性も高いです。
皆さんもご存知かと思いますが、大気には隕石から星を守るバリアーとしての役割もあります。
ただ、そんな月面着陸計画においても、もちろん失敗はありました、
例えば、アポロ計画における最初の有人飛行のために作製されたアポロ1号は、その発射の予行演習の際に出火が起こり、
3名の宇宙飛行士が犠牲となりました。
その後、問題が解決されるまでは20ヶ月の間シャトルの発射は自粛されたという経緯があったのです。
このような事故で3名もの尊い命が失われたのは本当に残念なことでしたが、
そういった事故があったからこそ、この計画はまた1から様々な面が見直され、
その事故にも屈しない夢を持った人々の努力によって、ついに人類は月面着陸に成功したのです。
ただ、火星移住計画ではそのような事故が決して起きないようにしていただきたいと思いますが、
小さな失敗には決して屈することなく、是非火星への有人着陸を成功させてほしいですね。
また、火星の植民を計画しているのは、「Mars One」だけではありません。
というのも、最近ZOZOTOWNの前澤社長が月旅行を計画していることが話題となりましたが、
それを請け負うことになっているアメリカの宇宙関連開発企業「スペースX社」も、
「Mars One」とほぼ同時期に、火星の開拓を進める予定となっています。
また、初めて月面着陸を成功させたNASAも、やはり2030年代に火星への有人飛行を成功させる計画を練っているそうです。
果たして、この世で初めて火星面着陸を成功させるのはどこの団体なのか、とても楽しみですね(^^)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
こちらの記事はいかがですか?⇒※火星にある水や酸素はどのくらい?空気の組成を詳しく解説!