火星は、私たちの住む地球の1つ外側をまわっている惑星ですが、
この火星は、地球よりも圧倒的に温度が低く、かつ乾燥している惑星です。
なんと、火星の地表の平均温度はマイナス60℃であることが分かっています。
また、火星の表面には赤い色に見える
「酸化鉄」を多く含む砂や岩が存在しているのですが、、
夏になると南北の温度差から大気の動きが速くなり、
その砂が激しく舞い上がって砂嵐が起こるため
火星はその表面が見えなくなるくらい、空気が濁ってしまいます。
まさに砂漠にいるようなイメージです。
しかし、そんな火星も
かつては温暖な気候が保たれており、
液体としての水も豊富に存在していたと考えられています。
では、なぜそんな火星には、今はそれほどの水が確認できないのでしょうか?
今回の記事では、火星に存在する水や酸素の量や、
その火星に存在する空気の組成について詳しく解説いたします。
火星には今も水が流れてる?
最新の研究によれば、火星には現在も液体としての水が存在している可能性が高いとされています。
火星に存在する水の多くは、固体として極地や地中に眠っているのですが、
火星の地表を観察してみると、
時期によって水が流れたような跡ができる地域があることが分かっており、
つまり今も、季節によっては液体の水が地表を流れている可能性があるとされているのです。
しかし、もっと最新の2018年の発表によれば、
火星の極地付近には、
「極冠」と呼ばれる、二酸化炭素と水でできた氷の塊が存在しているのですが、
この地下には、幅20kmにわたって液体の水でできた湖が存在している可能性が非常に高いことが明らかにされました。
つまり、やはり火星には今も液体としての水が存在している可能性が高く、
しかももしこれが事実なら、生命が誕生している可能性さえ考えられます。
火星に存在する水の量はどれくらい?
しかし実は、今の火星に存在する水の量は、かつて火星に存在したであろうと水の量よりも非常に少ないことが分かっています。
火星が誕生したのは今から約46億年前のことですが、
計算シミュレーションによれば、火星は最初の4億年の間にその半分以上の水を失い、
わずかに残った水が、現在固体、もしくは液体として存在していると考えられているのです。
では、その水はどこに消えたのかというと、
実はその大半は、長い年月を経るうちに水素と酸素に分解され、
非常に軽い気体である水素は、宇宙空間へと流出して無くなってしまったと考えられています。
では、酸素の方は今も豊富に残っているのかというと、
次の項で説明しますが、実は火星には酸素もほとんど存在していません。
なぜなら、その水の分解で生じた酸素のほとんどが、
地表の鉄分と結びつき、
その結果、最初にも申し上げましたように、
火星は一面赤い酸化鉄でおおわれた惑星となったのです。
それでは次に、その火星に存在する空気の組成について見ていきましょう。
火星の空気の組成について
それでは次に、火星の空気の組成についてみていきたいと思います。
地球とどのくらい違うのか、ということを説明するために、
地球の空気の組成についても一緒に表でまとめますので、参考にしてください。
地球と火星の空気の組成について
地球 | 火星 | |
酸素 | 20.95% | 0.13% |
二酸化炭素 | 0.038% | 95.32% |
窒素 | 78.08% | 2.7% |
アルゴン | 0.93% | 1.6% |
一酸化炭素 | — | 0.07% |
水蒸気 | 約1% | 0.03% |
この表の中で今回注目していただきたいのは、
全体の組成に占める「酸素」の割合で、
火星には、地球と比べると非常に少ない酸素しか存在しないことがよくわかりますね。
ただ、火星の空気は逆に「二酸化炭素」が割合として非常に多いことが分かります。
二酸化炭素といえば、「温室効果ガス」としてよく知られている気体ですが、
実は地球における二酸化炭素の割合は、全体からするとわずか0.04%程度に過ぎないのですね。
一方、火星の空気はその95%が二酸化炭素ですから、
普通に考えると、ものすごい温室効果が働き、灼熱の惑星になってしまいそうな気がしますよね?
しかし、実はこの表の値が示しているのは、あくまで空気中に占める
「各成分の割合」であり、
それぞれの絶対量自体は全く異なります。
つまり、火星にはほとんど空気というものが存在していないのです。
「全体が100」のうちの1%と、
「全体が1」のうちの1%とでは、同じ1%でも量自体は違いますよね。
そして、なんと火星に存在する空気の量は地球に存在する空気の量よりもはるかに少なく、
例えば、火星の地表が感じる大気圧は、地球で感じる大気圧の160分の1程度であることが分かっています。
そのため、全体の95%が二酸化炭素であるとはいえ、火星は温室効果の恩恵を受けることが出来ず、
太陽の熱がすぐに逃げてしまうことから、極寒の惑星となってしまったのです。
まとめ
今回の記事では、火星に存在する水や酸素の量、
そして、空気の組成などについて詳しく解説いたしました。
ちなみに、火星にほとんど空気がないのは、
火星の重力が弱すぎたために、その多くが宇宙空間へ逃げて行ってしまったためです。
空気を構成する各気体も、わずかながらに重さを持ちますので、
実はその気体がその惑星の表面に存在できるかどうかというのは、
その惑星がどれだけの重力を持ち、どれだけの力でひきつけておけるかというのが重要なのです。
しかし、火星には地球の約3分の1程度の重力しかないため、
長い年月を経るうちに、火星の大気はどんどんなくなってしまったのです。
そのため、もし火星も地球と同じくらいの大きさで、同じくらいの重力があれば、
まさにそこは、第二の地球となっていたかもしれません。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!(^^)
こちらの記事はいかがですか?⇒【解説】火星に到達するまでにかかる時間は?