宇宙に浮かぶ地球以外の天体を、地球のような環境に作り替えることを
「テラフォーミング」と言いますが、
このテラフォーミングの第一候補として最も有力なのが、
地球の1つ外側をまわる火星です。
この火星は、その地表の温度が平均でマイナス60℃にもなる極寒の星なのですが、
赤道付近では温度が20℃になるような場所もあるため、開拓次第では地球のような天体にできないこともありません。
ただ、なぜ火星はそれほど寒いのかというと、
これは、火星には地球に比べるとほとんど大気が存在しないため、温室効果を得られないことが大きく関係しています。
すなわち、地球では近年問題視されている温暖化現象が、火星では逆にテラフォーミングに必要な現象なのです。
そこでその方法として挙げられているのが、
主に火星の両極に眠っているドライアイス、つまり二酸化炭素を気体に変えて温暖化を目指す作戦なのですが、
どうも、この二酸化炭素だけでは、火星の温暖化を引き起こすことはできないことが分かってきています。
そこで今回の記事では、火星のテラフォーミングを行う上で必須な、温暖化に関して詳しくまとめます。
火星の温暖化に必要な二酸化炭素(ドライアイス)について
ドライアイスと言えば、よく食べ物の鮮度を保つために利用されますが、
これが、二酸化炭素の固体状態のものであるということは皆さんご存知でしょう。
ただ、ドライアイスは常温で置いておくと、液体になることなく、直接気体へと変化してしまい、
これを「昇華(しょうか)」と言います。
地球では、気圧の関係から、
マイナス78.5℃よりも温度が高くなると昇華が始まってしまいますので、かなり低い温度で保存しなければなりません。
ただ、同じ体積の氷に比べて、3倍以上の冷却能力があることから、よく生鮮食品の輸送などに利用されるのですね。
さて、そんなドライアイスですが、これは火星の極地付近に白く広がっており、
これは「極冠(きょくかん)」と呼ばれています。
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火星の南極にある「極冠(きょくかん)」も、今回はよく見える!
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火星の極冠はドライアイスと水の氷が入り交じったもので、白い冠のように極地付近を覆っています。
ただ、火星にも季節があるため、この極冠の大きさは季節によって変化します。
火星にある二酸化炭素だけでは不十分
ただ、パッと見た感じですと、火星には非常に多くの二酸化炭素が眠っているように感じますが、
そもそも、火星にも大気は存在していますが、
その組成の95.3%は実は二酸化炭素なんです。
しかし、その火星の地表で感じる大気圧は、
地球の地表で感じる大気圧の100分の1以下、
つまり、ほとんど大気がないに等しい状態です。
そこで、もし火星に個体として眠る二酸化炭素を、全て気体に変えたとしても、
実は、それは地球でのレベルを100%とした場合の、わずか数%にしかならないということがNASAの調査によって明らかにされています。
つまり、その他の90%以上の必要な量は、他の場所から用意しなければならないということです。
ただ、今だに人類は、火星の土地を実際に訪れたことさえありません。
そのため、なかなか火星に温暖化をもたらそうというのは、現代の技術では難しいのです。
火星に温暖化をもたらすことは不可能なのか?
火星は、今でこそ冷え切った惑星ですが、
実は大昔、それこそ太陽系誕生初期の約46億年前には、
火星にも豊富な大気があり、液体としての水も地表に流れていたと考えられています。
しかし、火星は地球に比べると重力が3分の1程度しかないため、
何十億年と時間が経過する過程で、大気が地表上から宇宙空間へと徐々に逃げ出していってしまったのです。
大気はほとんど重さが無いように感じますが、実はその星に大気が存在できるかどうかというのはその重力が大きく関係しており、
以前は重要だと考えられていた「太陽風」の影響は、実はそれほど大気の消失には関係していなかったこともわかっています。
じゃあ、そんな火星に再び大気を与え、温暖化をもたらすことは不可能なのかというと、
遠い未来で、地球の技術が発展し、火星に行くことが比較的容易になれば、それは不可能なことではありません。
ただそのためには、温室効果ガスを排出する工場を100建設しても、100年はかかるだろうとも言われています。
これから人類が歩んでいくであろう歴史の長さで考えれば、100年というのは非常に短い期間かもしれませんが、
もちろん、工場を作るだけでかなりの時間がかかりますし、
地球から火星に行くにも、莫大な費用がかかることは間違いありませんので、
もし火星を本当の意味で地球のような星に変えるとすれば、何千年、何万年の時間がかかることになるようです。
そもそも、火星に温暖化をもたらすだけではテラフォーミングには不十分で、
人間が生きていけるだけの「酸素」を用意するために、何万年という時間がかかるというのです。
ちなみに、今の火星の希薄な大気の中にさえ、酸素はわずか0.1%程度しか含まれていません。
地球は何十億年という時を経て今のような星になりましたし、
そもそも、地球が誕生してから、生命が誕生するまででも8億年という歳月がかかっていますので、
人間が自分たちの力で火星を変えるというのは、実は何万年でも非常に短い時間なのかもしれません。
まとめ
今回の記事では、火星のテラフォーミングを行う上で重要な温暖化についてまとめました。
宇宙に関する謎が色々と明らかにされていくと、
他の天体を、地球のような星に変えられるんじゃないかという思いが自然と湧いてくるのではないかと思いますが、
実は、それはなかなか困難なことで、少なくとも私たちが生きている間は難しいようです。
しかし幸運なことに、近い将来、人類は火星に初めて足を踏み入れる予定となっており、それには私たちも立ち会うことが出来そうです。
それが、2030年代に予定されているのですが、ついにあのNASAも火星への有人飛行に本格的に乗り出します。
火星には、現在も地下には水が流れているのではないかと考えられており、そこには生命が誕生している可能性もありますので、
もしかすると、私たちはその初の地球外生命体の発見に立ち会うことが出来るかもしれません。
是非、その日が来ることを楽しみに待ちましょう(^^)!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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