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などなど、「男女の双子」は何人かいらっしゃいますが、
こういった異性の双子は、基本的には
二卵性の双子の場合にしか生まれることはありません。
二卵性とは、女性の卵子2個に対し、精子が2個それぞれ受精することによって誕生するタイプの双子のことであり、
精子と卵子はそれぞれ持っている染色体の組み合わせが違うため(その仕組みについては後述します)、男女の双子が生まれることは十分に考えられ、遺伝情報も変わってくるため、顔などの見た目も変わってきます。
一方、一卵性の双子は、卵子1個に対し、精子が1個受精することでできた受精卵が、何らかの理由によって2つの受精卵の状態に分裂し、それぞれが別の個体として成長したタイプの双子のことを言います。
受精卵はなんにでも分化できる万能細胞なのでこのような不思議な現象が起こりうるとされているのですが、
この場合、もともとの受精卵は1個なので、生まれてくる2人の子供は全く同じ遺伝情報をもっており、
性別を決めるための性染色体の組み合わせも同じであるとされるため、男女で生まれてくることは基本的にはないと考えられているのです。
しかし、そんな一卵性の双子であっても極まれに男女のペアで生まれてくる場合があり、このようなタイプの双子のことを
異性一卵性双生児
と言います。
あの人気推理漫画「名探偵コナン」の中でも、この異性一卵性双生児の話が出たことからその存在が知られるようになったようですが、
今回の記事では、その異性一卵性双生児が生まれる確率や特徴、その子供が持つ可能性のある障害などについて詳しくまとめます。
コナンで話題!異性一卵性双生児とは?
2つに分かれる前の受精卵の染色体がXYの場合、多胚化する際に一方のY染色体が欠落し、XOの女性が生まれ、異性一卵性双生児が誕生する場合が稀にある
また、その際女性はターナー症候群で低身長になりやすい pic.twitter.com/5jighxxKpt
— ZIMA enfØrced 5times (@zima_3rdbullet) 2017年12月1日
一卵性双生児を妊娠した方でさえ、その組み合わせが男女にならないということを知らない方もおそらくいるのではないかと思いますが、コナンでも解説されている「異性一卵性双生児」という存在は、大変珍しい存在です。
では、なぜ一卵性双生児は基本的に男女にならないのかというと、
それは、
精子と卵子から1つの命が誕生する過程について考えてみれば簡単にわかります。
まず、私たちの体は計約37兆個の細胞からできていますが、
その細胞の中には「核」と呼ばれる部屋があり、
その中に、私たちを形作るための遺伝情報が記録された
「染色体」が保存されています。
この染色体は合計で46本あり、2本1組になって計23対が保存されています。
そして、例えば1番染色体に分類される2本は、
片方が父親から譲り受けたもので、
もう片方が、母親から譲り受けたものです。
そのため、合計で46本ある染色体は、23本が父親由来で、23本が母親由来ということになります。ここまでは簡単ですよね。
そして、ここからが面白いところなのですが、
私たちは合計で46本の染色体を持っていますが、
例えば男性であればそのうちの23本を精子に託し
女性であれば、そのうちの23本を卵子に託します。
これで、生まれてくる子供も46本の染色体をもつことになるのです。
しかし、1番染色体は2本あるわけですが、
例えば、
そのうちのどちらを精子に託すのかというのは、まさにランダムで決められることになります。
つまり、
1番染色体の2本のうちどちらを精子に託すのか、
2番染色体の2本のうちどちらを精子に託すのか、
3番染色体の2本のうちどちらを精子に託すのか、
というのは各精子や卵子ごとに異なるため、
例えば精子が持つ染色体の組み合わせは、2の23乗で
約840万通りにもなります。
そして、卵子も同様に840万の組み合わせが考えられるので、生まれてくる子供が持つ染色体の組み合わせは、840万×840万で、
なんと、約70兆通りもの組み合わせが考えられるのです。
つまり、精子は1回の射精で1億以上もの数が放出されますが、その中でそれらの精子が持つ染色体の組み合わせがかぶっているものは、数えるほどしかないのですね。
そして、それゆえに兄弟でも顔などの特徴が似ていないことがあるのです。
さて、ここでもう一度先ほどの画像を見ていただきたいと思いますが、
その生まれてくる子供が男の子になるか、女の子になるかというのは、
23番目の染色体の組み合わせによって変わってきます。
画像にもありますように、その組み合わせが
XXであれば女性となり
XYであれば男性となります。
しかし、女性は絶対にX染色体しか卵子に託すことはできないため、
結局、その子供の性別というものは、精子が持っている染色体が、
「X」なのか「Y」なのか、というところで決まるということがわかりますよね。
そして、ここまでくれば、一卵性の双子が基本的に同じ性別にしかならないという理由がわかります。
例えば、もし精子がX染色体を持っていた場合、
それが卵子と受精することによってできる受精卵が持つ23番目の染色体の組み合わせは、
絶対に「XX」になります。つまり、女の子ですね。
そして一卵性の双子は、その受精卵がそこから全く同じものにコピーされることによって誕生するので、
2つの受精卵へと分化した場合、そのどちらもがXXを持つことになるのです。
つまり、両方女の子になります。
この仕組みがわかると、「異性一卵性双生児」ってどういうこと?と不思議に思いますよね?
ということで、次にその異性一卵性双生児の仕組みを解説します。
異性一卵性双生児が生まれる確率は?その特徴や障害について解説!
結論から申し上げますと、異性一卵性双生児が生まれる確率というものは極めて低く、世界でも数えるほどしか確認されていない例のようです。
そのため、統計データのようなものはなく、その確率は限りなく0に近いといえるでしょう。
しかし、その確率は低いものの、実際にそのような子供が誕生した例は確かに確認されています。
ただ、その場合でも、ある特徴として障害を持って生まれるようなこともありますので、そのあたりについてもお話しします。
まず、コナンの中でも説明されているのですが、異性一卵性双生児が誕生する場合、その理由として代表的なものが、
XYの組み合わせがXYとXに分化した場合です。
つまり、精子がY染色体を持っていて、卵子と受精し、男の子の卵になった後、
それが双子になるために分裂した結果、その分裂がうまくいかずに、片方のY染色体が欠落してしまうということがあるのです。
すると、片方はX染色体のみを持つ個体として成長しますが、その場合、その子供は女の子となって生まれてきます。
しかし、XYを持つ方はそのまま男の子として生まれてくるので、一卵性の場合でも、異性一卵性双生児として生まれてくるのですね。
しかし、このような事例で生まれてきた女の子は「ターナー症候群」と呼ばれ、ある種の障害を持っているとみなされるものの、
実際はその身長が低くなりやすいというところくらいで、あとは普通の人と同じように社会的適応力もあることがわかっていることから、何か重度の障害を背負っているというわけでもありません。
また、このような子供は双子に限定した話ではありません。普通に1人の子供を産む場合でもターナー症候群として成長することもありますが、この場合、その確率は2000~3000人に1人程度であるといわれています。
また、異性一卵性双生児として生まれる場合、もう1つ可能性として考えられるのが、
XXYの組み合わせがXXとXYとして生まれてくる場合です。
これはある意味奇跡的としか言いようがありませんが、実際に確認されている事例のようです。
この場合は、その可能性として
卵子の方が「XX」を持っていて、精子が「Y」を持っていた場合と
卵子の方が「X」を持っていて、精子が「XY」を持っていた場合の
2つのタイプが考えられますが、
その受精によってXXYをもつ受精卵が、その分裂の際に片方がYを欠落させ、片方がXを1つ欠落させることによって、男の子と女の子の卵に分裂するということがあるようです。不思議な話ですよね(^-^;
しかし、世界を見渡してみると、双子に限らなければ、性染色体としてXXYの3本を持って生まれてきたり、過去にはXXXYやXXYYという4本の性染色体をもって生まれてきた例もあるそうです。
XXYYはどのようにしてYが2本になったのかというのは不思議な話ですが、どこかの過程でそうなってしまったとしかこれは言いようがありませんね。
ちなみに、XXYのように1つ以上Xが多い状態で生まれてくる人のことを「クラインフェルター症候群」と呼び、
この遺伝子異常の障害を持って生まれてくる方は、その特徴として手足が長くなったり、糖尿病や乳がんなどの病気を発症しやすいという特徴もあることが確認されています。
その頻度は700~2000人に1人といわれており、この障害を持つ人自体がそれほど珍しい存在という訳ではないようです。そのため、自分がクラインフェルター症候群とは気が付かぬまま生活している人もいるといいます。
他にもあった妊娠の不思議
ここまでの内容をまとめますと、
一卵性の場合、それが異性一卵性双生児として生まれる確率は非常に低く、
生まれる場合でもその両方が完全に健康体として生まれる可能性はほとんどないということがわかります。
しかし、世界を見渡してみると、その妊娠の仕組みでもっと珍しい成長の仕方をしているものもいます。
例えば、「準一卵性双生児」がまさにその一例です。
この準一卵性双生児とは、何らかの原因で2つの精子が1つの卵子の中に入り込み、それが別々の2つの卵へと分割して誕生することによって誕生する双子のことを言います。
可能性としてはあり得そうな話ですが、実はこれは大変珍しい事例のようで、1つの精子と卵子でできたの受精卵が2つに分裂する一般の一卵性双生児に比べると、はるかに可能性としては低いことが知られています。
この事例で知られているのは、それこそ世界でも数えるほどしかないんだとか…
非常に不思議な生命の誕生の仕組み。改めて1つの命が健康な状態で生まれてくることが奇跡的なことであるということがよくわかりますね(*^-^*)