日本では、平均すると年間約14名の方が落雷によって命を落としています。
落雷は、もちろん体に直接落ちれば命を落とす危険がありますが、例えば木のそばにいるときに、その木に雷が落ちた場合でも、その木から雷が移ってきて感電してしまうこともあります。
実はこういったケースは決して少なくないため、雷が鳴った時は、たとえ雨が強かったとしても木の陰に隠れるのは絶対にNGなのです。
さて、皆さんもこれまでにそういった落雷に遭遇し、急いで避難した経験があると思うのですが、
一般的に、もし落雷の被害にあっても、
車の中にいれば安全である
という話を聞いたことがあるかと思います。
しかし、それはほぼ正解ではありますが、たとえ車の中にいても絶対に安全とは言えません。
そこで今回は、そもそもなぜ車の中は安全であると言えるのか、さらにもし車が落雷の被害にあったとき、どのような事態が想定されるのかを詳しくまとめます。
落雷が持つパワーとは?
皆さんは、実際に空から落雷の稲妻が走るのをその目で見たことはありますでしょうか?
一瞬、すさまじい光が走ったかと思えば、それから間もなくしてすさまじい轟音があたり一帯に響き渡ります。それだけでも、雷がすさまじいエネルギーを持っていることがわかりますね。つまり、雷の持つエネルギーが、光エネルギーや音エネルギーとなってまき散らされているのです。
では、その落雷が持つ「電気」としてのエネルギーは一体どれほどのものなのかというと
例えばもしも雷が落ちた時、実際に流れる電流は
1000~20万アンペアにもなります。
ちなみに、一般的な家庭のコンセントから得られる電流の最大量は15Aです。コンセントから流れる電流でも十分すぎるほど人を死亡させる力がありますが、雷はその比ではありません。
またエネルギーとしては、雷はたった1回の落雷によって、最大で家庭で使用する100日分の電力をまかなえるほどのエネルギーを持っています。
そんなものが一瞬で体を駆け抜けたらと思うとゾっとしますよね…!
もし実際に雷が体に落ちた場合、
死亡する方の多くは心臓の本来の機能が失われることによって命を落としてしまいます。
心臓はそもそも、体内で生成されている
0.0001~0.0002Aという非常に弱い電流によって心臓を規則的に動かしているのですが、
落雷によって生じる電流はそれをはるかに上回る値であるため、その信号をショートさせてしまい、心臓が血を送り出せなくなると、人は間もなく死んでしまいます。
車に落雷するとどうなるの?車の中が安全なのは本当か?
よく、車の中にいれば、たとえ落雷の被害にあっても安全であるという言葉を耳にするかと思います。
これは、基本的には概ね正しいこととして認められています。実験でも証明されており、車のどこに雷が落ちても、基本的に中にいる人物が感電するということはありません。
例えば、以下の動画では、ドライバーが運転中に、まさにその運転している車に雷が落ちています。
しかし、中にいるドライバーは特に変わった様子もなく運転を続けています。
このように、基本的には車の中にいれば、たとえ落雷の被害にあったとしても安全です。
これはなぜかというと、もしも車に雷が落ちた場合、それは外郭の金属部分、つまり外側の表面だけを伝って地面へと逃げていくためです。また、ガラスも基本的には電気を通さないため、中の人が感電することはありません。電球にガラスが使われているのもそのためです。
しかし、たとえ車の中にいても絶対に安全!というわけではないのです。
その理由が、
雷は時に一瞬にしてすさまじい熱へと変わる可能性があるためです。
過去には、その影響からフロントガラスが溶け、あまりの熱にダッシュボードが溶けてしまったという事例もあります。
また、車の内部の金属部分に触れていた場合には感電する恐れがあり、
さらに、その雷が地面に逃げていく際に、熱の影響などからタイヤが破裂してしまうこともあります。
例えば以下の動画は車が雷に打たれ、炎上している様子を映したものですが、
これを見てしまうと、とてもじゃありませんが車の中が絶対に安全とは言えませんよね。
ただ、車の中にいるのは、外に立っているよりは間違いなく安全であるため、
重要なのは、
なぜ比較的安全と言えるのか、
そしてたとえ車の中にいたとしても「もしも」の事態は起こりうるという認識を持っておくことです。
日本で過去に発生した有名な落雷事件
日本のみならず、落雷による死者は毎年世界中で出ていますが、
過去には日本において、歴史に残るような落雷事件がありました。
それが、今から1000年以上も前、醍醐天皇時代に起こった、
「清涼殿落雷事件」と呼ばれているものです。
この落雷事件によって、大納言民部卿の菅原清貫が衣類への引火によって死亡、
さらに、右中弁内蔵頭を務めていた平希世も顔を焼かれて死亡、
その他にも、右兵衛佐美努忠包や、その他の警備2人が亡くなるという大惨事となりました。
また、その惨事のために体調を崩した醍醐天皇も、約3か月後に息を引き取ります。
この出来事は、かつて左大臣・藤原時平に讒訴(ざんそ:嘘によって貶められること)され、
左遷された右大臣・菅原道真の死後に起きた出来事であったことや、
この事件で死亡した藤原清貫が、まさにその時平によって道真の動向を監視する役目を負っていたことなどから、
時平によって追いやられた道真の呪いである
という噂が広まりました。
これが本当に呪いかどうかはわかりませんが、この事件で天皇の居所は非常に甚大な被害を被ることになり、現在に至るまで語り継がれています。
雷は時としてこのような火災の原因にもなるため、そのような可能性についてもよく考えた方が良いかもしれません。
燃えやすいものは、なるべく外には置いておかないようにしましょう(・_・;)
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