よく、「キャリア官僚」なんて言葉を耳にしますが、
この「キャリア」とは、「国家公務員採用総合職試験」に合格し、将来の幹部候補として各省庁に入る国家公務員のことを言います。
一方、「ノンキャリア」といわれる人達は、「国家公務員採用総合職試験」以外の公務員試験、
特に「国家公務員採用一般職試験」という試験に合格し、各省庁に勤務する国家公務員のことを言います。
どちらも国家公務員には変わりないのですが、このキャリアとノンキャリアの大きな違いは、やはり将来どこまでの出世が可能かというところでしょう。
キャリア組として入省、入庁すれば将来幹部になることはほぼ約束されていますが、ノンキャリアで入った人間が、このキャリア組の上に立つことはありません。
ちなみに、最近「文書書き換え問題」で話題になった佐川元国税庁長官や、「セクハラ問題」で話題となってしまった福田事務次官は、どちらも財務省のキャリア組です。難しい試験を突破し、将来の幹部候補として迎え入れられました。
そして、この2人は財務省にそのキャリア組として入省していますが、数ある省庁の中でも、この財務省にキャリア組として入ることが全体で1番難しいといわれており、キャリア官僚を目指す人間は、ほぼ全員がこの財務省に入ることを目指しているといっても過言ではないでしょう。
なんでそんなに人気なのかというと、財務省は消費税などの国の金銭を管理する重要な仕事を任されるとため、やりがいがあるということと、
いわゆる天下りなんかも他の省庁に比べるとかなり良いところに行くことができますので、他の省庁に比べると様々な面で頭1つ抜けているのです。
それに、やっぱり昔から財務省はエリート中のエリートというイメージが強いので、官僚を目指す方ならおのずと憧れるというものです。
ただ、最近度重なる不祥事で少々その威厳を失いつつありますが、ここからどう信頼を取り戻していくかが勝負ですね…!
さて、という訳で今回の記事では、その財務省について、キャリアとノンキャリアとでは何がどう違うのか、というところをもう少し具体的に説明していきたいと思います。
財務省にキャリア組で入ることができる人間は、国内で本当に一握りだけです。
今年も22人の若者が財務省にキャリア組として入省しましたが、では彼らがどれだけすごいのかということについてみていきましょう。
財務省のキャリア、ノンキャリアの違いとは?
財務省のキャリア、ノンキャリアの違いは、定義は先ほど言いましたように
「国家公務員採用総合職試験」を受けて合格して入省するか、
「国家公務員採用一般職試験」を受けて合格して入省するかの違いです。
難易度的にはもちろん「国家公務員採用総合職試験」の方が難しいわけですが、もちろん「国家公務員採用一般職試験」も、しっかりと対策をたてて勉強しないと合格できません。
ただ、「国家公務員採用総合職試験」を突破し、キャリア組として財務省に入省する人間は、本当に格が違います。
ということで、まずはそのキャリア組として財務省本省に入ることがいかに難しいのかということについて、昨年の試験を例に説明したいと思います。
まず、昨年の「国家公務員採用総合職試験」は、全員で2万591人が申し込みをしており、
そこから、選択問題である一次試験を合格し、記述や面接のに二次試験まで合格した人は、受験者数の10分の1以下のわずか1878人でした。
そして、この1878人はもうすでに「キャリア」と言われることになる人々です。ここから、官庁訪問をして、自分の行きたい省庁でさらに面接などを受けることになります。
しかし、実際はこの時点で、もう財務省に入れるかどうかというのはかなり決まってくるのです。
というのも、財務省はこの1878人の中からわずか20人前後しか入ることができないのですが、最初にも言いましたようにこの財務省は1番人気の省なので、その1878人の中にギリギリ割り込んだとしても、その成績が後ろの方では絶対に合格はもらうことができません。
最終的な面接ももちろん意味があるものですが、具体的には、その1878人の中で、上位100人以内でないと、どう頑張っても財務省には入れないと言われています。
つまり、2万人以上が受ける試験で、上位100人に入っていないと、どうあがいても財務省には入ることができないということですね。
そして、今年もその財務省に最終的に22人が入省しましたが、この22人に残るということが、いかに難しいことであるかということがわかっていただけるかと思います。
ちなみに、この22名というのは固定ではなく、毎年20人前後の優秀な人材が財務省にキャリア組、将来の幹部候補として入省します。
一方、いわゆるノンキャリアはというと…
キャリア、ノンキャリアというとなんとなくノンキャリアの方があからさまに劣っているみたいな言い方になってしまいますが、「国家公務員採用一般職試験」に合格することも、やはり非常に難しいことには変わりありません。
ということで、先ほどと同様にその志願者数や合格者数を見ていきたいと思いますが、
2017年度の国家公務員採用一般職試験(大卒程度)は、採用予定者3852人に対し、申込者数は3万5142人でした。こちらも非常に多いですね。
そして、最終的に合格をしたのが7205人。採用予定者に対して合格者数がかなり多いですが、公務員試験は大体このような傾向になります。
ちなみに、国家公務員採用一般職試験の方も一次試験と二次試験があります。そして、やはり希望の省庁などをめぐり、面接などを経て採用というかたちになります。
という訳で、ここから一体何人の人たちが財務省本省に勤務をしたのかというと、
平成29年度は、9人(内4人が女性)と財務省のホームページに記載があります。
ちなみに、
- 平成28年は8人(内4人が女性)
- 平成27年は6人(内4人が女性、さらにその内2人は高卒者)
- 平成26年は6人(内4人が女性、さらにその内2人は高卒者)
と報告されています。
また、国家公務員採用一般職試験は、
大学卒や大学院卒が受ける「大卒程度」と、
高校卒業者が受ける「高卒程度」の2種があり、
平成26年と平成27年は高卒者も取っているようですね。
そしてこう見ると、ノンキャリアと言えど、財務省の本省に勤務をするのは非常に難しいということがわかりますね。
しかし、キャリア組として入省するための国家公務員採用総合職試験を受けるような方々は、もともとかなり頭の良さに自信があるような方ばかりだと思いますので、
その中で1878人、ないし100位以内に入らないとキャリア組として財務省に入れないわけですから、今年キャリア組として入省した22人もかなり頭が良い人物達であると言えるでしょう。
キャリア、ノンキャリアの学歴について
まず、財務省にキャリア組として入るような人たちというのは、2万人以上もの優秀な人材の中から100位以内に入るような方々なので、頭が良いのは間違いありませんが、さらにその学歴もかなり高学歴です。
なので、財務省にキャリア組として入れるかどうかというのは、学歴もやはり重要になってくるといえるでしょう。
しかし、以前はその約20名はほぼ東大生であったといいますが、今年入省した22名は、うち15人が東大生で、7人は東大生ではありません。
では、具体的にその内訳をみていきますと、今回合格した22名の学歴は
- 東京大学:15人
- 京都大学:1人
- 一橋大学:3人
- 東京外国語大学:1人
- 慶応義塾大学:1人
- 早稲田大学:1人
となっています。
見ていただければわかりますように、東大ではないといえど、その学歴はかなり高学歴です。
さて、では一方ノンキャリアの方の学歴はどうなっているのかというと、
調べてみましたが、ノンキャリアとして財務省本省に入省した人物らの学歴の詳細は報告されていませんでした。
しかし、財務省本省のホームページには次のような記載があります。
財務省本省では、性別・出身学校・専攻等にとらわれることなく、「一緒に机を並べて働きたいと 思えるか」という観点から、人物本位の採用を行っています。
我が国が現在直面する危機・課題に共に立ち向かう仲間を求めて、私達は今後も積極的に採用活動に取り組んでいきます。
また、高卒者程度も取っていることからわかりますように、こちらはそれほど学歴を重視しているという訳でもないようです。
また、国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の方は、その合格者の出身大学数は全部で259校と報告されています。なので、こちらは非常に多くの大学から合格者が出ているようですね。
一方キャリア組を選出するための国家公務員採用総合職試験はというと、こちらは合格者の出身大学数は全部で121校であり、1番多くの合格者数を出したのは東京大学で、その数はなんと372人です。
また、昨年度国家公務員採用総合職試験の合格者数が多かった上位10校は、次のように報告されています。
- 1位:東京大学 (372人)
- 2位:京都大学 (182人)
- 3位:早稲田大学 (123人)
- 4位:大阪大学 (83人)
- 5位:北海道大学 (82人)
- 6位:慶應義塾大学(79人)
- 7位:東北大学 (72人)
- 8位:九州大学 (67人)
- 9位:中央大学 (51人)
- 10位:一橋大学 (49人)
やはり、キャリア組といわれる方々はみんな基本的に高学歴のようですね(・_・;)
まとめ
今回の記事では、数ある省庁の中でも一番入るのが難しいといわれる財務省を例に、キャリアとノンキャリアの違いについて解説しました。
ノンキャリアとして財務省本省に入るには、それほど学歴重視というわけでもないみたいですが、先に申し上げましたように、キャリア組は坦々と出世街道を歩んでいきますが、ノンキャリアはそのキャリア組より出世することはありません。
もちろん、出世がすべてという訳ではありませんが、やはりキャリア組かなりの競争を勝ち抜いてきたまさに選ばれた人間なので、そういう人にしか出世は許されないんですね。
しかし、今回の財務省内のゴタゴタを見ればわかりますように、いくら頭が良くても、誰にでも失敗というものはつきもののようです。
財務省が先のゴタゴタで失墜させてしまった威厳を取り戻せるかどうかは、今年入省した22人の新しいキャリア組が、この先どれだけ頑張っていけるかにかかっているともいえるでしょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!(*^-^*)