今から約6600万年前、この地球上には大型の恐竜が存在し、地上を支配していました。
ちなみに、上の画像に写っている恐竜の模型は、最強の恐竜としていつも候補に挙がる
「スピノサウルス」の仲間のものです。
大型の肉食恐竜というと、
「ティラノサウルス」を想像する方が大半だと思いますが、実はスピノサウルスとティラノサウルスの生息していた年代はかぶっておらず、スピノサウルスは、ティラノサウルスがいた時代よりももっと前に地上を支配していたと考えられています。
そんな恐竜たちは、今から2億3000万年ほど前に登場し、約6600万年ほど前に絶滅しました。
これは、直径10Kmにもなる巨大な隕石の衝突が原因であるとの説が有力です。
これで、巨大な肉食恐竜が地上を支配した時代は終わりをつげ、生き残った小型の動物たちが進化していくことになります。
さて、ではそんな恐竜たちがいたころよりもっと昔の時代、この地球はどのような景色が広がっていたのかというと、
そこには今よりもはるかに巨大な昆虫たちがいました。
その中でも、「メガネウラ」というトンボのような生物は、今から2億9000万年ほど前の地球に存在しており、
翼を広げるとそのサイズは70cm以上もあったのです。
今日のトンボは10cm程度なので、実に7倍以上大きなサイズを誇っていたことになり、このメガネウラはこれまでに知られている昆虫の中で最も大きなものです。
他にも、巨大なゴキブリなど、古代には大きな昆虫がいくつか存在していたことが知られていますが、一説によると、
これは酸素濃度が高かったためである
との説があります。
つまり、酸素濃度が濃いと、生物の巨大化が起こるというのです。
では、これはいったいなぜなのか?詳しく解説します。
酸素濃度と生物の巨大化の関係とは?
過去に存在した昆虫が巨大化できた理由は、しばしばその時代の酸素濃度の高さと結び付けられます。
これはなぜなのかというと、
現在空気の組成は、
- 窒素が78%
- 酸素が21%
となっており、
これだけでその99%を占め、残りの約1%のほとんどがアルゴンで、二酸化炭素などはごくごくわずかなものです。
しかし、このメガネウラが存在していた時代は、その空気中の酸素の濃度が35%にまで上がり、これまでの時代の中でピークに達していたことが分かっています。
しかも、実はその酸素濃度は、以前はずっと濃かったものが段々と減ったわけではなく、メガネウラがいた時代だけが高くて、その前後の時代では15%程度であったこともわかっています。
つまり、その酸素濃度が高かった時期がピンポイントで巨大化した昆虫がいた時期と重なるために、酸素濃度による巨大化説が浮上したのです。
そういうことなら、これを結び付けて考えたくなるのもわかりますよね。
そして、その理由としてまず挙げられたのは、
酸素が豊富に存在したがために、巨大化してもエネルギーを十分に供給することができたのだ
というもの。
私たち人間も含め、すべての生物は酸素なしには生きられませんが、それが多ければ多いほど、巨大化には適していたというのです。
しかしながら、これとは全く真逆の説も浮上しています。
それが、
小さな体のまま酸素を大量に摂取しすぎると、その毒性の影響を強く受けてしまうために、相対的にそれを減らすために巨大化したのだ
というものです。
なんのことだ?と思われる方もいるかもしれませんが、
実は酸素は濃度が濃すぎると、逆に生物にとっては害になることが知られています。
もしも人間が酸素濃度が高い場所に放り込まれたら、1日も経たずに命を落としてしまうほどです。
そして、トンボのような生物は特に幼虫の時はその摂取量を調節するのが苦手であるとされています。そのため、その影響が少なくて済むように巨大化したのだということです。
しかしながら、このどちらが正しいのか、そして、どちらも正しくないのかということはいまだによくわかっていません。
また、この時代は酸素濃度だけではなく、そもそも「空気」の量が多かったために、巨大化しても飛びやすかったのだという説もあります。
当たり前ですが、空を飛ぶ生物は空気抵抗を利用して飛んでいるので、空気が濃い方が粘性があって飛びやすいのです。例えば、鳥は真空中を飛ぶことはできない、というとわかりやすいでしょうか?
このように様々な説が提唱されているものの、実際のところはどうだったのかというところはいまだによくわかっていません。
酸素濃度だけが巨大化の理由ではない
しかしながら、もし酸素濃度がその巨大化に関係していたとしても、おそらくそれだけが巨大化の理由でもありません。
やはり1番の理由は、
それだけ巨大化しても、生きていけるほどのエサが豊富にあったからである
といえるでしょう。
先ほど説明したメガネウラはがいた時代には、陸上に既にトカゲのような生き物はいましたが、まだ鳥のような生き物はいませんでした。プテラノドンのような翼竜が登場したのはもっと後のことで、
鳥は小型の肉食恐竜が進化したものなので、もっともっと後です。
そのため、この時代空を支配していたのは、まさにメガネウラのような昆虫でした。つまり、敵がいなかったので、空を飛んでいても何かの標的になることが無かったのです。このメガネウラは、ゆったりと飛んでいたと考えらえています。
しかも、実はこの時代はすべての昆虫が巨大化していたわけではなく、メガネウラのようなトンボに似た生物の仲間の中には、今のトンボくらいのものもいたのです。なので、酸素濃度は100%生物の巨大化を引き起こすものではありません。
そして、このメガネウラがいつ絶滅したのかというのは詳しくはわかっていないものの、結局はその巨大化は環境の変化に対応するには適していなかったといえるでしょう。
セミの中には、絶滅を避けるためにきっかり17年おきに集団で地上に出てきて、子孫を残す17年ゼミと呼ばれるものがいますが、このように、生物が生き残るということはただ大きくて強いだけではだめなのです。エサが無くなれば真っ先に死んでしまうのも、その巨大な生物ですからね。
恐竜が巨大化した理由とは?
酸素濃度が巨大化を引き起こすかもしれないと聞くと、恐竜がまさにその例なのかな?と思ってしまいますが、実は恐竜が巨大化したのと、酸素濃度は全く関係がありません。
というのも、実は恐竜が生まれる前の時代、つまりメガネウラたち巨大な昆虫が生息していた時代は、大規模な火山活動やその後に訪れた寒冷によって収束を向かえ、
これによって地球上の90%以上の生物が死に絶えたと考えられています。
これが今までに何度か起こっている大量絶滅の1つです。
そして、その火山活動によって噴出したものと酸素が結びつき、空気中の酸素濃度はどんどん低くなっていったと考えられています。
その結果、恐竜が生きていた時代は、今よりももっと酸素濃度が低いくらいです。
では、なぜ恐竜は巨大化を起こしたのかというと、
それはやはり、
巨大化したほうが有利であり、エサが豊富にあったから
というのが大きな理由です。
ただ、忘れてはいけないのが、やはり恐竜の中にも、小型のものはいたということ。
なので、例えば現代でいえば、キリンは高いところにある葉っぱを食べやすいように首を伸ばしたとされていますが、恐竜の一部が巨大化したのもそれと同じような理由です。
その恐竜たちが生息した場所で、生き残るための進化の1つが、巨大化だったのです。
ただ、約6500万年前の隕石の衝突によって、その巨大な恐竜はすべて滅びることになりました。
ですので、その時代を有利に生きるためには巨大化は1つの方法として有利ですが、
種として生き残るためには、巨大化は必ずしも良い方法であるとは言えなかったようです。
また、人間のような知能を発達させた生物が登場したことで、巨大化は自然界ではあまり意味をなさないものになってきてしまいました。
今から約1万年ほど前には、体長が8mにもなるナマケモノの仲間がいましたが、人間の祖先の狩りなどの影響で絶滅してしまったのです。
まとめ
今回の記事では、生物の巨大化と酸素濃度の関係を解説しました。
ただ、ついつい忘れてしまいますが、私たち人間もまだまだ進化の途中で、今後何千年、何万年と生きる間にもっと姿を変えていくことになるのでしょう。
また、そのうちいまだかつてないような気候の変動が起こり、食糧難などによって人類はついに滅んでしまうのかもしれません。
未来には何が起こるかわかりませんが、地球は今後どうなっていくのでしょうか…!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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