私たちが住んでいる地球に、今もなおエネルギーを注ぎ続けてくれている太陽
その太陽は、計8つの惑星を従えており、
その惑星のうち、地球より1つ内側に存在しているのが
今回お話しする「金星」です。
この金星は、地球とほぼ同じ大きさの天体であり、重力もわずかにしか違いがありません。
そのため、そこだけを見れば、地球人にとってはまさに移住に最も適した星と言えるのですが、
実際は、金星大気はそのほとんどが二酸化炭素で、
さらにその上には分厚い濃硫酸の雲が存在しており、
その地表の気圧は地球の90倍にもなるため、
とてもじゃありませんが人間が住む惑星としては適していません。
この気圧は、地球の水深900mで感じる圧力に相当します。
また、その二酸化炭素等による温室効果によって、
金星表面の平均温度は460℃にも達します。
そんな過酷な環境であるため、金星はまだ十分な探査が進んでいるとは言えず、いまだに分かっていない謎が残されています。
そこで、その金星へと向かったのが、
日本初の金星探査機「あかつき」です。
【放送予定】2月6日(金) 14:00~ 金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入 及び観測計画に関する記者説明会を中継 http://t.co/QqYok54i7j #nvslive : image(c)Go Miyazaki pic.twitter.com/ZtsTeHbWoT
— ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ (@nvslive) 2015年2月5日
このあかつきは2010年の5月21日に打ち上げられたのですが、
果たして現在はどこで何をしているのでしょうか?
このあかつきがもたらした成果と併せて、詳しく解説いたします。
日本初の金星探査機「あかつき」:その現在は?
世界で初めて金星調査のために向かった探査機は、1966年にソ連によって打ち上げられたものでしたが、
日本初となる金星探査機「あかつき」が飛んだのは、それから半世紀以上たった2010年のことであり、
宇宙航空研究開発機構「JAXA」によって開発されました。
このあかつきの開発にかかった費用は146億円であり、まさに一大ビッグプロジェクトとして開発され、
2009年10月に「あかつき」という名前が与えられ、その翌年に金星へと旅立ちました。
このあかつきは、金星の表面に着陸するものではなく、その金星の周回軌道上から、金星の気候を観察すべく打ち上げられた探査機でした。
しかし、2010年5月21日に打ち上げられたあかつきは、2010年12月7日にその金星の周回軌道に突入するはずだったのですが、メインエンジンの不具合によってこれに失敗。
その後、再投入できる機会を待ち、
なんと5年も経過した後の、2015年の12月7日に再投入が行われ、
これに成功し、ようやく周回軌道上に入ることが出来ました。
そんなあかつきの現在は?というと、
その投入から3年近くが経過した現在も、
あかつきはより良いデータ収集のために、金星の周りを飛んでいます。
では、現在までに、そのあかつきはどのような成果をもたらしてくれたのでしょうか?
あかつきの成果は?金星最大の謎を解き明かすヒントを発見!
地球は1日で1周自転を行いますが、
金星は、実は非常に不思議な特徴を持った星であり、
243日という非常に長い時間をかけて自転を行っています。
しかしそれにも関わらず、
その上空には、秒速100mにもなる高速の風が吹いており、
この「スーパーローテーション」と呼ばれる現象は、長らく金星最大の謎の1つとされてきました。
分かりやすく説明すると、大気が大地の60倍もの速さで動いているのです。
これは、その自転速度からすると見合わない速度であり、非常に不思議な現象です。
しかし、金星探査機あかつきは、その成果として、その謎を解き明かすヒントを発見しました。
それは何かというと、
このあかつきの調査によって、
金星の赤道付近には、風速が80~90mになるジェット気流が吹いていることが分かったのです。
ただ、それでも現在わかっているのは、このジェット気流が吹いたり消えたりすることだけで、これがなぜ発生するのかはわかっていません。
そのため、スーパーローテーション全体の仕組みを解き明かす上で、今回の発見は全体の1割が分かった程度にしかならないとも言われていますが、
ただ、このジェット気流の存在は、過去のソ連やアメリカの調査でもわかっていなかったことですので、とても重要な成果であると言えるでしょう。
また、このあかつきは、
金星の厚い濃硫酸の雲に、微生物が存在する可能性を示す兆候も発見しています。
金星は、その地表の温度はとてつもなく高いですが、
上空に行くにつれてその温度は下がり、
雲の中には生物が存在できる可能性のある空間があること、
水があること、
生物にとって餌となりえる成分があることが判明したのです。
これはあくまで可能性の域を出ない推測ではありますが、そのあたりも今後徐々に明らかにされていくと考えられますので、
あかつきは、今後もまだまだ興味深いニュースを届けてくれることになりそうです。
まとめ
今回の記事では、日本初の金星探査機「あかつき」の現在と、その成果などについてまとめました。
あかつきが打ち上げられたのはもう随分と前のことですが、
実際にこれが本格的な観測を行うようになったのは、2016年に入ってからのことなので、まだまだ調査はこれからが本番というところです。
地球の双子星といわれることもある金星ですが、その実態はいまだに謎に包まれており、それを少しずつあかつきが明らかにしていってくれることでしょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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