我々現生人類は、他の動物よりも早くに道具を使うことを覚え、「知能」を発達させたことから、実質的にこの地球上を支配することに成功した動物です。
今世界中に住んでいる人間は皆、生物学的には
「ホモ・サピエンス・サピエンス」
という種の猿の仲間です。
ホモ・サピエンスという種にはもう一種
「ホモ・サピエンス・イルダトゥ」
という亜種もいたのですが、こちらは今から約16万年ほど前に絶滅してしまいました。
しかし、その厳しい競争を勝ち抜いてきた現生人類である我々も、もしも銃もナイフも持たずにアフリカの野生動物が沢山生息する地域に放りだされれば、たちまち巨大な哺乳類や爬虫類に襲われて死んでしまうでしょう。
もちろん、人間はそのような厳しい環境に対応できるように進化していないので当たり前のことですが、もともと道具を使うことで狩りをしてきた種の猿なので、
こと純粋な「力の強さ」という面で考えれば、どれだけ鍛えてもなかなか他の野生動物には勝てないのです。
では、「哺乳類」よりももっと範囲を絞って、
「霊長類」
にその範囲を限定してみたら、その中で最強の動物は果たして何なのでしょうか?
普通なら、「ゴリラあたりが最強かな?」と思いますよね。
ゴリラは普段は温厚な性格をしていますが、その力は霊長類の中で随一であり、握力はなんと推定で500キロあると考えられています。
しかし、実は霊長類最強の動物は、そのゴリラではなく、
過去に絶滅してしまった、
「ギガントピテクス」
という動物でした。
このギガントピテクスは、まるでゴリラなど太刀打ちできないようなかなり巨体の動物であったと考えられています。
霊長類最強の動物はゴリラではなかった…!「ギガントピテクス」について解説!
「サル・人類史年表3」~大型化・凶暴化して制覇種となった類人猿 https://t.co/GdGD6cGLrH
これはギガントピテクス。 pic.twitter.com/132q1VKgON— 火中の栗 (@kakachunokuri) 2016年1月12日
霊長類の仲間にも、チンパンジーやオランウータンなど様々なものがいますが、現在生き残っている霊長類の中で最も大型で、最強の動物であると考えられているのは、やはりゴリラです。
ゴリラはその身長は約180cm。体重は最高で200Kgにもなり、ヒトを除けば霊長類で最大の動物です。
ヒトを除けば、というように、実際には身長と体重ともにそのゴリラを上回る人間がいるのも事実ですが、野生で生きることに特化したゴリラは、人間とは桁違いのパワーを持っています。
しかし、今から約30万年ほど前に絶滅してしまったギガントピテクスは、その化石を解析した結果、
身長は3mにもなり、体重は500Kgにも達したであろうと考えられています。
ゴリラをゆうに超えてしまうサイズを誇るギガントピテクスは、現時点で痕跡が見つかっている霊長類の仲間の中で、最も巨大な種類のものとして知られています。
このギガントピテクスは、中国、インド、ベトナムなどに住んでいましたが、
その巨大な体が逆にあだとなり、エサなどが足りず、環境変化にも耐えられなかったことから、次第に数が減り、絶滅してしまったと考えられています。
体が大きいためおそらく霊長類では敵なしだったと思われるギガントピテクスですが、自然の厳しさに勝つことができなかったようです。
ただ、ギガントピテクスは30万年前に絶滅してしまったと聞くと、それはかなり遠い過去のようにも感じますが、実は我々人類(ヒト属)の進化の過程をたどってみると、その30万年前というのはそれほど昔の出来事ではありません。
類人猿って何?我々人間はどのように進化したのか?
霊長類といえば一般的には猿のことを言いますが、そんな猿の仲間は現在世界中に約220種類いることがわかっています。
その内、「類人猿」と呼ばれるものは、その祖先が人間の祖先と比較的近代まで共通していた種類のものを言います。
例えば、以下の画像はその我々人間やその他の猿の祖先がいつまで同じだったのかを示す系統図ですが、この図には含まれていませんが、約4,000万年前までは、クモザル科に属する種類の猿とも同じ祖先であったことが分かっています。
つまるところ、霊長類に属する猿の仲間はもともと皆同じ祖先であり、
その分化が一番遅かったのが、チンパンジーです。
このチンパンジーの祖先と人間の祖先が分化したのが今からおよそ600万年前であると考えられていますが、
それに比べれば、ギガントピテクスが絶滅した30万年前なんて本当にごく最近のように感じますよね。
また、そういった猿たちの中で、比較的人間に近い種類の猿たちを
「類人猿」
と呼びます。
そして、もしもギガントピテクスが今生きていたとしたら、これはまさにその類人猿に分類される動物であったと考えられています。
具体的には、上の図で考えると、ギガントピテクスはオランウータンよりもヒト属に近縁で、ゴリラほど近縁ではない生物であったと考えられています。
なので、約1,700万年前~約800万年前のどこかで、その祖先がのちに人間になるものと、ギガントピテクスになるものとに分かれたということになりますね。
オランウータンよりも近いということで、それほど遠い親戚ではありません。
歴史上淘汰されていった巨大生物
今から約6600万年前、直径10Kmにもなる巨大隕石の衝突によって地球上の80%もの生物が死に、さらに恐竜の多くも絶滅したと考えられていますが、
この恐竜が生きていた時代が終わった後も、陸地には巨大な動物が何種も存在していました。
そして、ギガントピテクスもまさにその一種ですが、
他にも、あのナマケモノの仲間の中には、全長が最大で8m、体重が3トンにもなるメガテリウムという生物が、今から約1万年ほど前まで生息していたと考えられています。
しかし、それもまた気候の変動や、エサの不足、人間の仲間による狩りによってその数が減少し、やがて絶滅してしまったと考えられています。
大きいことは優位ではありますが、標的にもなりやすいため、人間のような知性を持つ生き物の前では、大きな体もそれほど役には立たなかったようです。
それらが今生きている姿を是非見てみたかったですね。おそらく、その再現自体は技術的に可能になる日は来るでしょう。ただ、倫理的な観点から反対されそうですが…!
それでは、今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)!
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