よく、自分と同じ顔をした人間は世界に3人いるとも言われ、
そういう存在を「ドッペルゲンガー」と言いますが、
クローン人間を作り出すことは、まさにそういう同じ顔をした人間を作り出すということになります。
しかし、実際は人間は成長の過程の違いによって顔つきも変化しますので、
例えクローン人間を沢山作ったとしても、皆が皆全く同じ顔にはならないのですが、
やはり、似たような環境で育てればその顔つきはほとんど同じものになりますし、
体の内部に至っては、クローン人間はみんな同じ遺伝子をもった細胞でできた臓器を持っています。
つまり、クローン同士で臓器提供を行っても、そこに拒絶反応などはありません。
クローン人間を作るということは、
簡単に言えば「一卵性双生児」を意図的に作り出すということと同じです。
双子にも「一卵性」と「二卵性」がありますが、
一卵性の場合にはそのDNA情報は全く同じなので、この双子はまさにお互いがクローンのような存在なのです。
ただ、一卵性の双子でも、微妙に顔つきが異なるのは、先ほども言いましたように、成長の過程の違いによるものです。
しかし、クローン技術を駆使した場合には、「双子」にとどまらず、3つ子、10つ子、100つ子さえ理論的には作ることが可能です。
よく、SF映画に登場するような謎の液体の中で赤ちゃんを育てるわけではありませんが、
例えば同じ遺伝子を持った「胚」を作り、それを100人の女性にお腹の中で育ててもらい、同時期に生んでもらえば、
年齢がほぼ同じの100つ子赤ちゃんの誕生です。
ただ、こんなことは実際にはあり得ない話です。
倫理的に問題があるのは明白で、私も絶対にこんなことは許されない話だと断言できます。
そもそも、双子だってお互いに別々の自我を持った2人の人間ですから、その関係がクローンだなんて言葉では片づけられないでしょう。
しかし、クローン技術によって作られたクローン人間がすでに実在しているのか、
そもそもクローン人間を実現させることは可能なのかということについて気になるのは確かです。
という訳で、前置きが少々長くなってしまいましたが、
今回の記事ではこのクローンに関する歴史について振り返りながら、
その実在の可能性、実現が可能なのかを詳しくまとめていきたいと思います。
クローン人間は実在しているのか
まず、クローン人間は現時点でそもそも実在しているのかという話ですが、
これについては、公にクローン人間を作ったと公表している研究者は今のところはいません。
なので、実在しているかどうかで言ったら、今のところは実在していないということになるでしょう。
しかし、これは表向きの話は実在していないという話であって、本当のところはどうなのかということはわかりません。
もしかすると、世界のどこかでは、秘密裏に人間の「クローン胚」を育てている研究機関が、ないとは言い切れません。
というより、可能性としてはわりと十分にあり得る話です。
というのも、実は過去には、そういった人間のクローンを作ろうと研究に乗り出していた研究者は何人もおり、
そういう経緯があったからこそ、現在ではそのクローン人間の作成を法律や規制で取り締まっている国がほとんどなのです。
ということで、ここで過去にクローン人間をめぐり起きた事件についてご紹介しましょう。
哺乳類のクローンが誕生したのは1996年
生物のクローンに関する研究については今から100年以上前には行われてしましたが、
そんな中で、全く同じ遺伝情報を持った哺乳類が初めて誕生したのは、今から約20年前の1996年のことです。
この年、スコットランドにあるロスリン研究所のイアン・ウィルムット、ケイス・キャンベルらの研究グループは、
「羊」の乳腺から取り出した細胞を使って、全く同じ遺伝情報を持ったクローンの羊を作ることに成功しました。
この羊は「ドリー」と名付けられ、約6年間生きた後、2013年に亡くなりました。
今では、クローンといってもその細かい作り方は色々と違いがあるのですが、
大まかな方法としては、「クローン胚」というものを人為的に作り、そこからその胚を分化させて成長させていくことで、同じ遺伝子を持ったクローンを作り出します。
私たちは皆最初は「胚」という状態から始まり、それが分裂を繰り返していくことで1つの生命となっていくのですが、
クローンの作成では、人の体細胞などから取り出した「核」を、「未受精卵」に取り込ませ、
それを融合させることで、そのドナーと全く同じDNA情報を持った胚を作りだすことができるのです。
ですので、このクローン胚をその後通常の胚と同じように分裂させて育てていけば、ドナーと全く同じ遺伝子を持った生命が生まれてくるということになります。
そして、1996年のドリーの誕生というのは、まさにクローン人間を実現をぐっと身近にする非常に大きな発見となりました。
しかし、このドリーの誕生から、日本でクローン人間の作成が禁止されるようになるまでには、約4年の歳月が開いています。
具体的には、日本では西暦2000年に、
「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」という法律が公布され、クローン人間の作成を全面的に禁止しました。
もしこれを破った場合には、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金がその罰として与えられます。
そして、その事件とも呼べる出来事は、まだ世界的にそういった規制が進んでいなかった1998年に起こったのですが、
この年、アメリカの科学者である
「リチャード・シード」は、
なんと、自分のクローンを作るということを公に宣言したのです。
これが、クローン人間の規制を加速させる1つの大きなきっかけになりました。
しかし、最終的にこのリチャードの計画は失敗に終わっており、初のクローン人間は誕生しませんでした。
では、なぜ彼の計画は成功しなかったのでしょうか?
クローン人間を実現させることは可能なのか?
リチャード・シードは結果的にクローン人間を実現させることはできませんでしたが、
実はその当時、場合によってはクローン人間を実現させることは十分に可能でした。
しかし、なぜ彼はそのクローン人間を実現させることができなかったのかというと、
そのクローン人間を出産してくれる代理母が見つからなかったというのがその大きな理由です。
この当時、クローン人間の作成はまだ法律などでは規制されていませんでしたが、
既に倫理的な問題というものは提唱されていましたので、誰もその計画に手を貸してくれなかったのです。
しかし、彼はそれだけではその実現をあきらめきれず、
その自分のクローン胚を、なんと自分の奥さんのお腹の中で育てようと決意し、実際に子宮に移植しました。
しかし、リチャードは当時年齢はすでに68歳。
妻も高齢だったこともあり、結果妻の子宮でその子供が育つことはありませんでした。
しかし、もしこの計画がうまく言っていたら、この地球にはすでに1人クローン人間が誕生していることになります。
そして、こういった倫理的にやってはいけないことを今後する人が現れないように、その後こういった行為を法律で規制する国が増えたのです。
まとめ
今回の記事では、クローン人間は現時点で実在するのか、その実現は可能なのかということについて詳しくまとめました。
クローン人間を実際に作り出すことは、実際には技術的にはもうすでに十分に可能です。
そして、クローンを作ることは人間では禁止されていますが、実は動物では禁止されておらず、
今年2018年の1月には、中国科学院で世界初となるクローンの「サル」が誕生し、話題となりました。
1996年に哺乳類のクローンが誕生したわけですが、今年に入って、さらに人間に近い「霊長類」のクローンが作られたというわけです。
こういう経緯を踏まえると、人間のクローンを作り出すことは十分に可能と言えるでしょう。
もしかしたら、今も世界のどこかで人間のクローンを作り出す研究が行われてしまっているのかもしれません。
これは、決してあり得ない話ではないのです。
また、実はそのクローン技術はビジネスとしても利用されており、
海外の資産家の中には、自らの愛犬をクローンとして蘇らせてほしいと依頼し、
実際にそのクローン作製を請け負う医師の方もいます。
ちなみに、そのペットのクローンを作る費用は1000万円程度だそうなので、決して手を伸ばせないという額でもありませんよね。
こういった技術が、いずれ人間にも適応されてしまうことがないのか、少々怖い話でもあります。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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