国内では、唯一三重県の「鳥羽水族館」でのみその姿を見ることができる、
水棲哺乳類の「ジュゴン」
鳥羽水族館にいるジュゴンは「セレナ」と名付けられたメスのジュゴンであり、推定年齢1歳の頃に、フィリピンのパラワン島付近で迷子になっているところを保護され、その翌年に鳥羽水族館にやってきました。
ジュゴンは光や音に非常に敏感な動物であり、非常に飼育が難しい動物なのですが、セレナは2017年4月15日に来館30年を迎え、今も元気な姿を見せてくれています。ちなみに、ジュゴンの寿命は、大体70年くらいといわれています。
このジュゴンは、以前は沖縄の周辺の海で数十頭~数百頭あまりの数が生息していましたが、現在ではその数はわずか3頭あまりしか観察されておらず、未確認のものを含めても10頭以下だろうと考えられています。
そのため、国内ではこのジュゴンが絶滅危惧種に指定されているのですが、
では、いったいなぜジュゴンはこれほどまでにその数が減ってしまったのでしょうか?
今回は、そのジュゴンが絶滅危惧種になるまでに追い込まれてしまった原因、理由についてまとめます。
ジュゴンの現在の保全状況
ジュゴンは、現在ではめっきりその姿を見せなくなってしまいましたが、
今から200年ほど前までは、日本近海でも非常によく見られる一般的な動物であったと考えられています。
しかし現在の日本では、このジュゴンは
「絶滅危惧(CR)」
に指定されています。
このCRは「絶滅寸前」を意味しています。
また世界的に見ても、ジュゴンは
「絶滅危惧(VU)」
に指定されており、
VUは「野生絶滅の高い危険性がある種」と定義されています。
このように、世界的に見てもジュゴンの個体数は段々と減少傾向にあるのですが、
日本ではその数はもはや10頭未満であり、絶滅はもはや時間の問題であると考えられています。
一体なぜ?ジュゴンが絶滅危惧種になってしまった原因、理由とは?
では、ジュゴンが絶滅危惧種になってしまった原因、理由はいったい何だったのかというと、
まずその1つの原因、理由として挙げられるのが
食用や革製品にするための
「乱獲」です。
私たちの食卓に、ジュゴンの肉が出てくるということはあまり一般的なことではありませんが、
以前はジュゴンの肉は食料として多用され、世界的には今も食料とするために捕獲している地域もあります。
しかしながら、日本では2003年より鳥獣保護法によってその捕獲や殺傷は禁止されるようになりました。
また、これと似たような原因として
「混獲」も挙げられます。
混獲とは、漁業の際に誤って意図しない獲物をとってしまうことを言い、この混獲によってもジュゴンを捕獲してしまい、死亡させてしまうということが相次ぎました。
その結果、1800年代後半~1900年代初頭にかけては、約200頭あまりのジュゴンが捕獲、混獲されてしまい、その数が激減することになったのです。
また、1979年から2004年の間に、沖縄だけで18頭のジュゴンが、混獲の被害にあって死亡したり、漂着してしまったという報告もあります。
また、もう1つ重要な理由となるのが
「環境汚染」です。
沖縄の周辺の海は非常に綺麗な印象がありますが、それでもやはり徐々にその海は人の手によって汚されており、生活排水が流れ込んだり、海岸開発などの影響から、徐々にその沖縄周辺の海域は汚染されてしまうようになりました。
その結果、ジュゴンが生息していた海域では彼らの食物となる海草が減少してしまい、エサ不足に陥り、死んでしまうか、日本の海域からは消えるようになってしまったのです。
ちなみに、ジュゴンは非常に偏食な動物であり、基本的には「甘藻(アマモ)」という海草しか食べず、しかもそれを1日に数十キロも食べます。
そのため、豊富な食糧がないと生きていけないため、少しでも海が汚れ、甘藻が育たなくなると、もはやその地域では生きていけなくなってしまうのです。
残り少ないジュゴンのために…!
日本のジュゴンは残り僅か数頭。
そのため、ここからまたジュゴンを繁殖させ、その個体数を増やしていこうということはもはや絶望的な状況となってしまいました。
そのため現時点では、その残り少ないジュゴンに、
「いかに長く生きてもらうか」
という部分が非常に重要視されています。
環境汚染はあっという間に進みますが、その汚染された環境をまた綺麗な状態に戻すということは中々一朝一夕でできることではありません。
しかしできることなら、また他の海域からもジュゴンが遊びに来てくれるくらい綺麗な海に、少しずつ戻していけるといいですね…!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)!
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