私たち人類は、今から約600万年ほど前に、森に棲んでいた猿の仲間から分離して、独自の進化を遂げることに成功しました。
しかし、そのベースはやはり猿なので、その時現生人類に分化しなかった猿達も、人間ほどではありませんが、その進化の過程で高い知能を身に着けることに成功しています。
しかしそれらの「類人猿」と呼ばれる動物の中で、特に人間に近い生物であり、高い知能を示すのが
「チンパンジー」であり、
さらに、その仲間の
「ボノボ」という動物は、
本当に驚くほど高い知能を示すことが過去の実験からわかっています。
では、その知能の高さを裏付ける証拠にはどのようなものが挙げられるのでしょうか?
また、そのボノボが人間でいうと何歳レベルの知能を持っているのか、ということについても詳しく解説します。
ボノボの特徴について解説!他の類人猿との違いとは?
ボノボは、ピグミーチンパンジーとも呼ばれるチンパンジーの仲間であり、
「チンパンジー属」に属する動物は
- ボノボ(ピグミーチンパンジー)
- チンパンジー(ナミチンパンジー)
の2種で構成されています。
ただ、チンパンジーの方には、その中で生息地域の違いなどからさらに4つの亜種の存在が確認されています。ただ、それら計5つの種のチンパンジーに比べると、ボノボは独自の進化を遂げた、
チンパンジーとは区別される動物
ということになっているのです。
ボノボと通常のチンパンジーはその特徴はやや異なり、チンパンジーに比べて体が比較的小さく、そして何より
温厚な性格をしていることがわかっています。
この温厚というのは、なんとなく優しいという程度のものではなく、他の類人猿と比較してみるとその違いがよくわかります。
例えば、類人猿は人間に近い動物とは言え、
しばしば子殺しや強姦をする習性が見られます。
例えば、オランウータンはその強姦がしばしば起こり、普段は優しい性格といわれるゴリラでさえ、群れを乗っ取る際には子殺しを行います。
そして、ゴリラやオランウータンよりももっと近い種であるチンパンジーは、もっと暴力的な動物です。
チンパンジーをペットとして飼う方もいますが、過去にはそのペットに顔や指をちぎられてしまった飼い主もいます。
そして、チンパンジーでは、同種殺し、子殺し、強姦という特徴もみられ、さらに共食いをする動物としても知られています。
チンパンジーの握力は200以上。過去には野生のチンパンジーの群れに襲われ死亡する事件が何度も起きており、非常に危険な生物なのです。
一方ボノボはというと、ぱっと見その姿はチンパンジーと大差ないように思えますが、
過去にそのボノボの群れの中で子殺しが観察されたことがありません。
さらに、無理やり交尾をしようとするオスもおらず、オスとメスの関係はほぼ対等であるといわれています。そして、例えばオス同士の争いというものもほとんど起こらないのです。
ボノボの高い知能を示す実験とは?人間でいうと何歳レベル?
このボノボが高い知能を持っているということは、
「カンジ」と名付けられたボノボが様々な実験において驚くべき結果を残したことから、広く知られるようになりました。
このカンジは、靴ひもをほどいたり、木の枝を集めたり、火をつけたりということを、飼育員の指示に従って行います。
そして、なんとこのカンジが覚え英単語の数は1000語以上に上り、単語だけではなく、文章の意味まで理解することができるのです。
そのカンジの普段の様子を映したものが、以下の動画です。カンジはキャンプファイヤーが大好きで、動画ではそのシーンから始まります。
このカンジはいつもそばにいる飼育員の女性だけではなく、その他の人物が発する英単語でさえも理解できることから、その飼育員の癖や表情などからその言葉の内容を理解しているわけではないということが証明されました。
実は、この部分が過去に言葉を教えたチンパンジーにはできないことであるということが実験の結果わかっています。
ある特定の飼育員が目の前で言うことは理解できても、ヘッドフォン越しに聞く英単語は、チンパンジーはなかなか理解することができないのです。
つまり、チンパンジーは英単語をそのまま理解しているというよりも、その言葉の発音に加え、目の前の人物の視線、表情などから総合的に判断し、正解を導きます。
こういった実験を、ボノボと、チンパンジーとで比較して行うことによって、ボノボの方が非常に高い知能を示すということが示されました。
では、そんなボノボは人間でいうと何歳レベルの知能を持っているのかというと、それは正確に何歳と説明されているような文献はないのですが、
一般的によく言われるのが、チンパンジーは人間でいうと3~4歳程度の知能を持っているということ、
しかし、ボノボはそれ以上の知能を持っていることは間違いないので、無理やり当てはめるととすれば、5歳、6歳レベルと言えるのではないでしょうか?
ただ、これは何を基準にして考えるかで変わってくるので非常に難しいところですね。チンパンジーが人間の3歳レベルというのも、いささか怪しい情報ですので(笑)
ボノボは愛情深い動物
実は先ほどの動画に登場したカンジというボノボは、
実の母親に育てられていません。
というのも、実はそのカンジが生まれて間もないころ、カンジは目の前に母親がいるにも関わらず、他の子供好きなボノボの方になついてしまい、そっちのボノボに育てられたのです。
しかし、母親も育児放棄をしたわけではなく、カンジを引き寄せようとしますが、カンジはその赤の他人のボノボの方に戻ってしまいます。そして、その子供好きなボノボは、自分の子供ではないにも関わらず、背中に乗せて可愛がって育てるのです。
その様子に、実の母親は腹をたてた様子を見せますが、無理やり子供を引きずったり、その別のボノボに暴力的に危害を加えるようなことはしません。あきらめたのか、その母親代わりのボノボの横に座り、寄り添って子供を見守ります。
このように、ボノボは種として非常に愛情深い動物として知られ、そこがチンパンジーとの大きな違いなのです。子供が母親以外のボノボになつくというのも、愛情あるからこその現象です。
しかも、実はカンジは、その大人の方のボノボに言葉を教えている実験をそばで見て、自然と単語を覚えていったといいます。まさに、人間がその成長過程で自然と言葉を身に着けていくのと同じです。
人間に最も近く、愛情深いボノボ。
このボノボが、今後どのような進化を遂げていくのか、気になりますね(^^)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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