最近、財務省内部では、文書の改ざんや、セクハラ問題など不祥事が相次いでいますが、
こういった問題を受け、辞任を表明した「佐川宣寿国税庁長官」と「福田淳一事務次官」は、いわゆる官僚といわれている人間です。
官僚とは、超難関の国家公務員試験を合格して入省、また入庁した国の役人のことであり、国の法律を作るための事務手続きや、その法律に基づき国を統治する「行政」を担当しています。
そして、数ある省の中でも、今問題となっている財務省はまさにエリート中のエリートしか入ることを許されない行政機関であり、だからこそ、今回の一連の騒動というのは過去に前例のないような大スキャンダルなのです。
さて、そしてじゃあ「政治家」とはいったい何者なのかというと、政治家は、そういった行政機関のさらに上に立ち、「立法」を行う集団です。
すなわち、政治家が政策を打ち出し、それに基づき官僚が事務手続きを行い法案を作成し、それを最終的に吟味して法律を成立させるのが、政治家の役割なのです。
自民党の政治家である麻生太郎氏は現在「財務大臣」を担当していますが、その財務大臣の下にいるのが、「財務省」に所属する国の役人、官僚たちなのです。
ということで、ここまでその政治家と官僚の役割の違いについてさらっと説明しましたが、実際にはその関係はもう少し複雑です。
しかも、この話だけを聞くと力関係的に政治家の方が上のように感じますが、実際にはその力関係も結構複雑なんです。政治家も官僚も、お互いがお互いに気を遣ったり配慮をしているんです。
よくドラマなどでもみられるような政治家や官僚の悪だくみは、こういう側面があるからこそ起こりうることなんです。ということで、今回はそのあたりを詳しくまとめていきたいと思います。
政治家と官僚の役割の違いとは?日本の三権分立制度について解説!
「三権分立」という言葉は、おそらく小学生くらいの時から1度は耳にしたことがあるでしょう。我が国日本は、この三権分立制度というもので成り立っています。
そして、その三権とは「立法」「行政」「司法」の3つです。こういった権利を3つに独立させることによって、国の力が暴走しないようにしているのです。
ということで1つずつ解説していきます。
立法
立法は、その名前の通り国の「法律」を「成立」させる権利です。立法の権利は国会が握っており、国会は衆議院と参議院から成り立ち、さらにその衆議院と参議院は政治家から成り立っています。すなわち、国の法律が新たに成立するかどうかは、国民の代表である政治家にかかっています。
行政
この行政というものは、簡単に言えば、立法によって成立した法律に基づき、国の運営、政務活動を行う権利のことを言います。政務は、行政事務とも言います。
そして、この行政を担当しているのが国の役人である官僚です。ただ、官僚は立法が成立するまでの作業、「どんな法律にするか」「どんな文面にするか」ということを実質行っているので、そういう意味ではかなり立法に深く関係しています。
司法
そして、最後の司法は国の法律に基づき、国で発生した訴訟に対してそれを裁定する権利のことを言います。つまり、裁判を行うことですね。
そして、今説明した3つの権利において、
- 「立法」は国会が有する権利
- 「行政」は内閣が有する権利
- 「司法」は裁判所が有する権利
と定められています。
こういった三権がもし独立していなかったら?と考えると、それがいかに怖いことかということは簡単にわかりますよね。
誰かがもし1人でこの権利を握っていたら、自分の都合の良いように「立法」「行政」を行い、自分の匙加減で「司法」に基づき人を裁くことができてしまいます。こういうことがないように、国はその権利を分散させているのです。
ということで、ここまで読んでいただければわかりますように、定義上は政治家と官僚はその役割が違います。
政治家は、国をよくするために政策を打ち出し、最終的に立法を行う人々。
官僚はその法律に基づき、国の中の様々な事務手続きを行う人々です。
いわば、「国の頭」として動くのが政治家で、その「手足」となって動くのが官僚なのです。
こう見るとその力関係は政治家の方が上のように感じてしまいますが、
実は、ここには結構複雑な理由が絡んでいます。
政治家と官僚の力関係について!
「国の頭」が政治家
その「手足」となって動くのが官僚、と言いましたが、
実際のところは、その力関係は全く上下関係がはっきりしているという訳ではありません。
これはなぜかというと、その1つの理由は、
国の手足となって動く官僚の方が、正直政治家よりも全然頭が良いからです。
ちなみに、先日セクハラ疑惑で辞任した財務省事務次官の福田淳一氏は、東京大学在学中に司法試験にも合格してしまったという、ある種天才とも呼べる人間でした。
もちろん政治家の中にも頭がよろしい方は沢山いますが、国の重要な手続きを行う官僚に選ばれるような人、さらにそのトップである事務次官を務めるような人は、皆東大主席クラスの人間ばかりです。
ちなみに、省のトップは「事務次官」といいますが、なぜトップなのに「次官」なのかというと、その上には立場上「麻生財務大臣」のような政治家が立っているからです。そして、そのさらにトップに、安倍総理大臣が立っています。
というわけで、官僚の方が頭が良いからという理由を上げましたが、単純に頭が良いから政治家も引け目を感じているとかそういうわけではありません。具体的には、先に申し上げましたように、国の法律を作る際、その法律を最終的に決定する(立法する)のは国会、すなわち政治家ですが、
その法律をどのような法律にするのかというのは、行政を担当し、そういった政務の専門家である官僚に一度託されるんです。
ここが非常に重要で、ということはつまり、日本の法律というものはすべて官僚の匙加減で決まってしまうということなんです。自分たちが有利な法律にしたり、政治家がかなり不利になるような法案を作成することも可能ですよね、という話になってくるわけです。
しかし、そういったことをさせないために行われているのがまさに三権分立制で、例えば政治家がかなり不利になるような法律案を官僚が作成し、それを持って行ったとしても、政治家の集まりである国会がそれを承認するわけがありません。
しかし、そこまで偏った法案ではなくても、官僚が少々自分有利にしたり、政治家を不利にしたりといった法案を作って持っていくことは可能です。だからこそ、政治家は立場上官僚の上に立っていても、その官僚の人間をむげに扱うことはできません。
また、官僚は官僚で、政治家に対してあまり反発するようなこともしません。この政治家とどれだけうまく付き合っていくかが、自分の出世にも関わってくるからです。
しかし、実際は現在も、「官僚支配」という言葉が使われています。先ほど言ったような理由から、実質国の権利を握っているのは官僚であるといっても差し支えないからです。
官僚も総理大臣には気を遣う
さて、ということで実際はそんじょそこらの政治家よりはかなり力を握っているともいえる官僚。
特に、財務省はエリート中のエリートで、税金に関しては最重要の機関ですから、この財務省には様々な企業や機関からそのトップが足を運びに来るのです。つまり、税金などについて便宜を図ってはくれませんか?ということですね。
もちろんそういうのは大っぴらには言いませんが、そういう見返りとして、「天下り」というものがあるわけです。すなわち、財務省で定年になるまで働いた後に、ある企業の重要なポストとして迎え入れますよというような優遇措置です。
だからこそ、財務省というのは、国の役人を目指すものならば1番に入りたいといってもいい機関なんです。しかし、先に申し上げましたようにかなりの頭の良さがないと入れません。
さて、ただ財務省に限らず国の役人である官僚、さらにそのトップである事務次官はかなり頭が良い集団なわけですが、そんな官僚でさえ、政治家のトップである総理大臣には気を遣います。
だからこそ、森友学園問題や、それに伴う文書書き換え問題のような起こるのです。あれは、森友学園への国有地売却において8億円が値引きされ、あとで文書の中から名誉校長に就任するはずだった安倍昭恵夫人の名前などが消されていたという問題ですが、それは財務省内で起こった出来事でした。
だからこそ、財務省が総理大臣に配慮をした結果が、ああいうかたちであらわれたのではないか?そして、そうするように総理大臣、政府の側から官僚に圧力がかかったのではないか?ということで、「行政がゆがめられた」なんていう報道がでていたんですね。
まとめ
今回の記事では、政治家と官僚の役割の違いや、その力関係などについて解説しました。
その力関係をどう読み解くかというのは非常に難しいところですが、立場でいえば官僚は政治家の下です。さらに、官僚が表立って政治家を批判するといったことは基本的にはありません
実際に政治家や官僚になってみないことにはわかりませんが、彼らが普段どんな付き合いをしているのかというのは非常に気になりますよね。
ただ、セクハラ問題で辞任した福田事務次官は、あれだけの頭の良さがありながら、政治家にはかなり物腰の低い方で、この人は出世するだろうと前々から言われていたみたいですよ。
事務次官…誰でもなれるわけじゃないのに、本当に勿体ないですね。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!(*^-^*)