※火星の大気が希薄な理由は「太陽風」と「重力」にあり

1969年、人類が初めて月面着陸に成功した話は非常に有名ですが、

それから約半世紀がたった今、人類が次に有人着陸を目指しているのが、

地球の1つ外側をまわっている「火星」です。

ちなみに、アメリカが本格的に宇宙開発に乗り出したのは1958年のことで、

この年に、あの「NASA」が発足したのですが、

それから、たったの10年あまりで月面着陸に成功したというのは、本当に素晴らしい偉業です。

しかし、それから約50年経った現在でも、NASAでさえ火星への有人着陸に成功していないということからもわかりますように、

火星に行くというのは、月に行くよりもはるかに難しいことなのです。

しかし火星には、月よりも豊富な水(現在は主に氷)があり、人類にとって現時点では最も移住に適した星であるため、行く価値は十分にあります。

ただ、こちらの記事をご覧の方はもうすでにご存知かと思いますが、

その火星には、地球の100分の1以下の本当に希薄な大気しか存在しておらず、

酸素の存在比はほぼ0なので、そのままでは生きていくことが出来ません。

しかし、最近の研究から、

火星にもかつては豊富な大気が存在し、一面に海が広がっていたと考えられています。

では、なぜ火星の大気は希薄になってしまったのでしょうか。

今回の記事では、その理由を詳しく解説していきたいと思います。

スポンサードリンク

目次

太陽風と重力が原因!火星の大気が希薄な理由について

火星は現在、生物が誕生していた可能性がある惑星としても知られていますが、

そんな火星は現在、その地表の平均温度はマイナス60℃にもなり、とても複雑な生物が生きていけるような環境ではありません。

これには、その大気の希薄さが大きく関係しており、

せっかく太陽の光を浴びても、大気による温室効果が得られないために、すぐに熱が逃げて行ってしまうのです。

そのため、赤道付近では気温が20℃になるような場所もあるのですが、星全体としての平均気温はマイナスとなっています。

では、なぜ火星の大気は現在ほぼなくなってしまったのかというと、

それを説明するうえで重要なのが、

太陽風」と「火星の重力」です

簡単に言えば、

火星は重力が弱い為に、かつて火星を覆っていた大気は火星の表面から逃げて行ってしまい、

さらに、太陽から吹き付けるプラズマ粒子「太陽風」が、その火星の大気をはぎ取ってしまったのです。

これについて、さらに具体的に解説いたします。

火星の重力について

皆さんはすでにご存知かと思いますが、

火星は地球に比べるとかなり小さな天体です。

この2つの天体が、実際どのくらい違うのかというのは以下の表を参考にしてください。

地球火星
直径12,742 km6,779 km
質量59.72 × 10^23 kg6.39 × 10^23 kg
重力9.807 m/s²3.711 m/s²

このように、地球の直径は火星の約2倍で、重力に関しては地球が約3倍の大きさにもなります。

そしてこれが、火星が地球にはなれなかった理由のほぼすべてといっても過言ではありません。

私たちの身の回りには普段、主に窒素と酸素を主成分とする空気が至る所に存在していますが、

そういった空気ももちろん質量を持ち、重力の影響を受けています。

しかし、火星はその大気を自らの惑星の表面上に留めておくだけの力を持っていなかったため、

徐々に宇宙空間へと流出していってしまったのです。

ちなみに、この後説明する太陽風も確かにその火星の大気の流出に関係していますが、

火星の大気が希薄になってしまった主な理由は、この重力の弱さであると考えられています。

ちなみに、火星も地球と同程度か、それ以上に大きくなる可能性のある天体でしたが、

太陽系の惑星が形成される段階で、

火星の1つ隣にある木星が、一度火星の軌道上付近にまで接近した可能性があることが分かっており、

これが、火星が大きくなるための小天体を弾き飛ばしてしまったことが、その火星の小ささにつながっているのではないかとも考えられています。

これさえなければ、火星はまさに2つ目の地球になっていたのかもしれません。

スポンサードリンク

太陽風の影響について

火星の大気の流出には、太陽風の影響も関係しているものと考えられています。

太陽風とは、太陽から吹き出す非常に高温な「プラズマ」のことで、

このプラズマとは、高温のために分子が電離を起こし、陽イオンと陰イオンに分かれた状態で運動している粒子のことを言います。

太陽の表面には、温度が100万度以上にもなる大気があり、

ここからプラズマ粒子が放出され、

これが、秒速数百kmというすさまじい速度で、地球や火星へと衝突するのです。

太陽の重力でさえ引き留めておくことが出来ないことからもわかりますように、この粒子はとてつもない速さで運動しています。

そして、これが火星などにぶつかる際に、その衝撃が大気を少しずつはぎ取っているのではないかと考えられているのですが、

地球も確かにその影響を受けるのですが、それは火星ほどではありません。

何故なら、地球にはその太陽風から地球を保護する役割を果たす

磁場」が存在しているためです。

地球に磁場が存在するというのは皆さんご存知だと思いますが、

これは北極と南極をつなぐように流れ、地球の周りに存在しており、

これが、太陽から吹き付けるプラズマから星を保護する役割を担っています。

そしてこの磁場は、

地球内部に存在する鉄やニッケルを含んだ核の流動物質が、

地球の自転と熱対流によって回転することで電流を生じ、

この電流が磁石・発電機のようにふるまうことで、生成されています。

一方、火星の内部ではそのような活動がほぼ起こっていないとされており、磁場も弱く、安定していません。

そのため、地球に比べて直接的に太陽風の影響を受けてしまい、これがまたその大気の流出の原因になってしまったと考えられています。

まとめ

今回の記事では、火星の大気が希薄な理由について解説しました。

ちなみに、太陽風自体は目に見えるものではありませんが、

私たちは、その太陽風の存在を感じることは可能であり、

この太陽風によって見えるのが、あの神秘的なオーロラ現象であると考えられています。

このオーロラの原理はまだ完全には解明されていないのですが、

主な原理としては、その太陽風のプラズマが地球の磁力線に沿って降下し、

大気中の酸素や窒素を励起することで、発光が生じるのではないかと考えられています。

つまり、プラズマによって酸素と窒素にエネルギーが与えられ、それが光エネルギーとなって放出されているのです。

画像で見ても綺麗ですから、一生のうちに一度は生で見てみたいですよね(^^)

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

こちらの記事はいかがですか?⇒灼熱の水星に氷?なぜ蒸発しないのか?

スポンサードリンク

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter アカウント
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次