ジュゴンは、今から5000万年以上前に「ゾウ」との共通祖先から分岐し、海へと進出した動物の子孫です。
今から6550万年前、地球には直径10kmの巨大隕石が衝突し、さらにそれに伴う大規模な気候変動によってティラノサウルスを含む大型の恐竜はすべて絶滅してしまいましたが、
当時海の中を占拠していた大型の爬虫類たちもここで絶滅することとなったため、
海の中にも幾分かの「空き」ができ、
ジュゴンの祖先は、しばらくは水辺を住処としたのちに、その一部が完全に海へと進出していったのです。
しかし、それから5000万年以上の時を経て、
ジュゴンは今、徐々にその個体数が減りつつあります。
その理由としては、狩猟や乱獲などの影響が挙げられ、
さらに、彼らの「食事」にもその秘密が隠されています。
というのも、ジュゴンは食べ物の好き嫌いが激しく、基本的には決まった海草しか食べないため、
自分の住んでいる海域から主食としている海草が無くなると、その地域では絶滅してしまうのです。
そして、そんな偏食家であるジュゴンは、食事のお世話が超大変。
そこで今回の記事では、ジュゴンと食べ物との関係を中心に、その生態についてまとめていきたいと思います(^^)
決まった食べ物しか食べないジュゴン!鳥羽水族館では食事のお世話が大変なもよう…!
ジュゴンは現在、日本では絶滅危惧種に指定されている希少な動物ですが、
そんなジュゴンを見ることができるのは、日本だと三重県にある
「鳥羽水族館」だけです。
ここで飼育されているのが、
推定年齢が32歳、
現在鳥羽水族館で31年以上にわたって飼育されている
「セレナ」と名付けられたメスのジュゴンです。
鳥羽水族館の人気者ジュゴンの「セレナ」は今春、フィリピンから来て丸30年になります。国際的な保護動物で捕獲が制限され、国内で飼育されるジュゴンはこの1頭だけ。水族館は健康に細心の注意を払いつつ、いっそうの長期飼育を目指しています。 https://t.co/AxzT81jqNs pic.twitter.com/IUf0bR7Z2A
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) 2017年1月19日
セレナは1986年に、フィリピンのパラワン島付近で迷子になっているところを保護され、翌年鳥羽水族館にやってきました。推定年齢と飼育期間がほぼ同じですから、保護された当時は、まだ幼い小さなジュゴンだったんですね(^^)
ただ、ジュゴンを飼育している施設が少ないのは、ジュゴン自体が非常に希少な動物であるということも確かにその1つなのですが、
ジュゴンは決まった食べ物しか食べず、食事のお世話が大変で、水族館で飼育されている動物の中では1番費用がかかるために、なかなかその飼育を行う施設は少ないようです。
ちなみに、鳥羽水族館でのジュゴンのエサ代は、
なんと年間で2000万円もかかるそうです。
日本人なら、単純にご飯を食べるということなら1年で100万円もあれば生きていけそうですが、
ジュゴンは食事の費用だけで2000万円もかかってしまうので、その他の水槽のメンテナンスや水代、管理費などを合わせれば、ジュゴンにかけるお金だけで相当な額になってしまうでしょうね(^-^;
そんなジュゴンが主に主食としている食べ物は、
甘藻(アマモ)
という海草で、
ジュゴンのためにわざわざ韓国から空輸しています。
しかも、ジュゴンは鮮度の良い甘藻しか食べないというグルメっぷりなので、お世話は大変です。
ただ、セレナは甘藻の他に、ロメインレタスも食べるようになってくれたそうなので、今はその食事の3分の1をロメインレタスで賄っているそうです。
鳥羽水族館の人気者「セレナ」
日本で飼育されているジュゴンは、鳥羽水族館にいるセレナだけですが、
実は、鳥羽水族館を含め、世界でジュゴンを飼育しているのはわずか4施設だけで、
合計で、5頭のジュゴンしか飼育されていません。
そんなセレナは2017年の4月15日に来館30周年を迎えたため、甘藻とロメインレタスで作った大きなケーキが贈られ、来館者含め多くの方から祝福されたようです。
ちなみに、鳥羽水族館には、このジュゴンとともに、非常によく似た姿をしている
「マナティ」も飼育されています。
マナティの顔…(((*≧艸≦)ププッ#鳥羽水族館 pic.twitter.com/a9LyGA6nRL
— pikayadon (@pikayadon) 2015年1月25日
ジュゴンとマナティは、今から2000万年ほど前に海の中で分化したとされる別の動物で、その姿かたちは非常によく似ていますが、
マナティには少しだけ毛が生えていたり、しっぽの形が異なるなどの違いがあります。
マナティとジュゴンの違いをまとめてみました#マナティ #ジュゴン #動物 #海洋生物 #水族館 pic.twitter.com/oaA5mhxDYw
— Bages (@Bagesxtc) 2018年6月2日
ジュゴンとマナティ、どちらも非常に可愛らしい動物ですが、この両方を見ることができる貴重な施設は、日本だと鳥羽水族館だけです。
もし、三重の方に行かれる用事がありましたら、是非鳥羽水族館に足を運んでみてはいかがでしょうか?(^^)
まとめ
今回の記事では、ジュゴンの食事、食べ物に関する情報や、そのジュゴンの特徴などについてまとめました。
ジュゴンやマナティは哺乳類なので、もちろんその子供は母乳を与えられて育ちます。
海の中で母乳をもらうなんて非常に不思議な動物ですが、飲みづらくないのかとなんだか心配になりますね(^-^;
ちなみに、鳥羽水族館には以前もう1頭「じゅんいち」というジュゴンがいましたが、
こちらは、2011年に惜しまれつつも亡くなってしまいました。
ジュゴンはその飼育が非常に難しい動物としても知られていますが、人気者のセレナには、是非長生きしていただきたいですね(^^)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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